- 不当解雇
突然の解雇を争い、解決金の支払いを受けて退職した事例【労働者側】
相談前の状況
相談者は、地元企業で長年勤務していた方でした。勤務を続ける中で、会社との関係が徐々にぎくしゃくする場面はあったものの、それまで重大な懲戒処分を受けたことはなく、突然職を失うような事情があるとは考えていませんでした。ところがある日、会社側から「勤務態度に問題がある」「これ以上雇用を継続することはできない」などと告げられ、事実上、出勤を拒まれる状態となりました。
もっとも、会社からは解雇理由を具体的に整理した書面が直ちに交付されたわけではなく、過去の注意指導の内容や改善の機会についても曖昧な説明にとどまっていました。相談者としては、突然収入の途を断たれたこと自体が大きな打撃であったうえ、長年勤務してきた職場から十分な説明もないまま排除されたことに強い精神的苦痛を感じておられました。再就職活動を始めるにも、そもそも今回の扱いが法的に有効なのか分からず、不安の中で当事務所にご相談いただきました。
解決への流れ
ご相談後、まず行ったのは、会社からの説明内容、これまでの勤務経過、注意指導歴の有無、就業規則の内容などを丁寧に整理することでした。解雇の有効性が争点となる事案では、会社側が主張する理由に客観性があるか、その理由が解雇という重い処分に値するか、改善の機会が与えられていたかといった点が重要になります。そこで、相談者から関係資料を収集し、会社側の対応を法的観点から検討しました。
その結果、本件では、会社側の説明に抽象的な部分が多く、具体的事実の裏付けや指導経過の整理にも不十分な点が見受けられました。そこで当事務所は、会社に対し、解雇理由の明示、雇用終了に至る経過の説明、未払賃金その他の精算関係の明確化を求める通知を行いました。その上で、解雇の有効性には相当程度疑義があること、安易な処理では紛争が長期化する可能性があることを指摘し、交渉を開始しました。
交渉の過程では、相談者にとって、必ずしも元の職場に復帰することだけが最善とは限らないという現実的な問題もありました。既に信頼関係が大きく損なわれていたこと、今後の生活再建をできるだけ早く進める必要があったことから、法的な主張は維持しつつ、経済的補償を伴う解決の可能性も視野に入れて協議を進めました。最終的には、会社側も訴訟化のリスクや紛争長期化の負担を考慮し、未払賃金相当額や解雇をめぐる紛争解決金として相応の金額を支払う内容で合意に至りました。相談者は一定の補償を受けたうえで退職し、新たな生活に向けて動き出すことができました。
舛本 行広 弁護士からのコメント
解雇は、会社が「辞めてもらいたい」と思ったからといって自由にできるものではありません。日本の労働法では、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要とされており、説明が曖昧なままの解雇や、手続を欠いた解雇には大きな問題があることが少なくありません。
もっとも、解雇トラブルでは、「復職を目指すのか」「金銭解決を目指すのか」によって戦い方が変わります。早い段階で資料を整理し、会社とのやり取りを適切に管理できるかどうかが、その後の見通しを大きく左右します。突然の解雇や退職強要に直面した場合には、感情的に対応する前に、一度法的な見通しを確認することが大切です。適切な初動により、より納得できる形での解決につながる可能性があります。
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