婚姻中の名字を使い続ける「婚氏続称届」の書き方を記入例で解説

離婚届と一緒に出したいけれど、どの欄に何を書けばいいのか分からない。「変更前の氏」には何を書くのか、用紙はどこで手に入るのか、と迷う方は少なくありません。 実は、婚氏続称届は、離婚届と同時に出すか後から出すかで、書き方が変わる欄があります。 この記事では、欄ごとの書き方を記入例で示したうえで、用紙のダウンロード先や提出先、必要なものまでわかりやすく解説します。

目次

  1. 婚氏続称届とは?用紙の正式名称は「離婚の際に称していた氏を称する届」
  2. 婚氏続称届の書き方と記入例
  3. 婚氏続称届の用紙はどこでもらえる?窓口とダウンロード先
  4. 婚氏続称届の提出先と必要なもの|戸籍謄本と印鑑は原則不要
  5. 婚氏続称届を出すタイミングと方法|離婚届と同時提出・郵送・時間外
  6. 婚氏続称届の書き方・提出に関するよくある質問(FAQ)

婚氏続称届とは?用紙の正式名称は「離婚の際に称していた氏を称する届」

離婚すると、結婚で名字を変えた人は、原則として結婚前の名字に戻ります。婚氏続称届(こんしぞくしょうとどけ)は、離婚した後も結婚していたときの名字を使い続けるために、役所へ出す届です。 役所でもらう用紙には「離婚の際に称していた氏を称する届」と書かれており、自治体のサイトでは「戸籍法77条の2の届」と案内されていることもあります。呼び方が違っても、中身は同じです。 出す人と期限は、次のとおりです。

項目 内容
出す人 結婚で名字を変えた本人
期限 離婚の日から3か月以内
離婚の日 ・協議離婚:離婚届が受理された日
・調停離婚:調停が成立した日
・裁判離婚:判決が確定した日

届書に署名するのは本人だけで、元配偶者が署名する欄はありません。そのため、元配偶者に反対されていても、承諾を得ずに出すことができます。 3か月目の最後の日が土日や祝日に当たるときは、その次に役所が開く日が期限になります。もっとも、離婚届と同じ日に出すなら、期限を気にする必要はありません。離婚届と同時に出すか、後から出すかの考え方は、「婚氏続称届を出すタイミングと方法|離婚届と同時提出・郵送・時間外」で見ていきます。 3か月を過ぎると、役所に届を出すだけでは結婚していたときの名字に戻れず、家庭裁判所に名字の変更を認めてもらう手続き(氏の変更許可)が必要になります。 この手続きでは、名字を変えたい事情を裁判所に説明することになります。進め方に迷う場合は、弁護士への相談などで見通しを聞いてみるのも選択肢です。

名字を変えるかどうかをまだ決めかねている場合や、3か月を過ぎたときの家庭裁判所の手続きについては、次の記事で詳しく解説しています。

関連記事離婚で苗字を変えない割合は約46%|婚氏続称の手続き・期限とデメリット →
みんなの法律相談に寄せられた相談

離婚の際の婚氏続称届について

相談者の疑問 婚氏続称届について質問です。近々離婚を考えています。職場や周りに離婚について知られないように婚氏続称届を出そうと考えています。>>> 質問の続きを見る

原田 和幸の写真 弁護士の回答原田 和幸弁護士 > 1 婚氏続称届を出す事のメリット、デメリットについて教えてください。

メリットは、姓が変わりませんので、周りに影響がないと思います。>>> 回答の続きを見る

婚氏続称届の書き方と記入例

婚氏続称届は、氏名や住所、本籍などを記入する書類です。 多くは戸籍や住民票の内容をそのまま書けば足りますが、離婚届と同時に出すか、後から出すかで書き方が変わる欄があります。 婚氏続称届の書き方と記入例

婚氏続称届を離婚届と同時に出す場合の書き方

上の記入例は、離婚届と同時に出す場合のものです。欄ごとの書き方は次のとおりです。

欄 書くこと
届出日・宛先 提出する日と、提出先の市区町村長(例:「港区長」)
氏名 離婚前の氏名(結婚中の氏)とフリガナ・生年月日
住所 住民登録をしている住所(同時に転居・転入の手続きもする場合は新しい住所)
本籍 離婚前の本籍と筆頭者の氏名(戸籍のとおり)
氏 変更前・変更後とも結婚中の氏
離婚年月日 離婚の日(協議離婚なら離婚届を出す日)
新しい本籍 離婚後の本籍と、筆頭者となる自分の氏名
その他 通常は空欄
届出人署名 結婚中の氏名を本人が自署(用紙の「変更前の氏名」にあたる。押印は任意)
連絡先 日中につながる電話番号

新しい本籍は、土地の地番か、住居表示の街区符号(「〇丁目〇番」の部分)があれば、国内のどこにでも置けます。 記入には黒のボールペンを使い、書き間違えた場合は二重線で訂正します。修正液や修正テープは使えません。 2025年5月26日には用紙の様式が変わり、世帯主の氏名は書かなくてよくなりました。古い用紙に欄が残っていても、空欄で構いません。

婚氏続称届を離婚届の後に出す場合の書き方

離婚届を先に出し、3か月以内に婚氏続称届を出す場合は、名字がいったん結婚前のものに戻っています。そのため、同時に提出するときとは次の欄の書き方が変わります。

欄 書くこと
氏名 現在の氏名(結婚前の氏)
本籍 離婚後の本籍と筆頭者の氏名
氏 変更前:結婚前の氏・変更後:結婚中の氏
新しい本籍 親の戸籍に戻った場合は、新たに作る戸籍の本籍と自分の氏名。すでに自分が筆頭者の戸籍にいて、ほかに同じ戸籍の人がいなければ空欄
届出人署名 現在の氏名(結婚前の氏名)を本人が自署

特に間違えやすいのが「氏」の欄です。変更前には今の名字、変更後には結婚中の名字を書くので、離婚届と同時に出す場合は、変更前・変更後の両方が結婚中の名字になります。

離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄はどう書く?

一方、婚氏続称届を後から出す場合は、離婚時にいったん結婚前の名字に戻るため、親の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るかを選んで記入します。

離婚届のほかの欄の書き方や必要書類は、次の記事で記入例つきで解説しています。

関連記事離婚届の書き方【令和8年版・記入例つき】必要書類と提出前の注意点を解説 →

婚氏続称届の用紙はどこでもらえる?窓口とダウンロード先

婚氏続称届の用紙は、市区町村役場の窓口か、自治体のサイトから全国共通の様式を入手できます。

役所の戸籍の窓口でもらう

婚氏続称届の用紙は、市区町村役場の戸籍の窓口や、一部の自治体では出張所でも受け取れます。 離婚届と同時に提出する予定なら、両方の用紙をまとめてもらっておくと、改めて取りに行く手間を省けます。

自治体のサイトからダウンロードする

婚氏続称届の用紙をPDFで公開している自治体もあります。たとえば大阪市では、「離婚の際に称していた氏を称する届」のページからダウンロードできます。 住んでいる自治体のサイトで見つからない場合は、正式名称の「離婚の際に称していた氏を称する届」や「戸籍法77条の2の届」で検索してみましょう。用紙の様式は全国共通なので、ほかの自治体が公開している用紙も使えます。

印刷するときは、A4サイズの白い紙を使用してください。 用紙サイズが違ったり、文字がかすれていたりすると、自治体の窓口で受け付けてもらえない場合があります。

婚氏続称届の提出先と必要なもの|戸籍謄本と印鑑は原則不要

婚氏続称届は、本籍地のほか、住所地や一時的な滞在先の市区町村役場にも提出できます。離婚届と同時に出す場合は、同じ窓口で一緒に提出しましょう。 必要なものは、次のとおりです。

持っていくもの 内容
婚氏続称届 記入した届書
本人確認書類 運転免許証やマイナンバーカードなど。窓口で提示を求められる場合があるため、持参する
戸籍謄本 原則不要
印鑑 不要(押印は任意)

戸籍謄本は、2024年3月1日から、提出先の役所で本籍地の戸籍を確認できるようになったため、原則として添付不要になりました。 また、2021年9月から届書への押印も任意となっており、本人が署名すれば印鑑なしで提出できます。

婚氏続称届を出すタイミングと方法|離婚届と同時提出・郵送・時間外

婚氏続称届は、離婚届と同時か、離婚した日から3か月以内に提出します。 窓口に行けない場合は、郵送するか、家族などに代わりに提出してもらうこともできます。

離婚届と同時に出せば、名字は一度も変わらない

婚氏続称届を出すタイミングを示した図 離婚届と同時に婚氏続称届を出すと、結婚中の名字のまま自分が筆頭者の新しい戸籍が作られるため、戸籍上の名字は一度も変わりません。 一方、後から出す場合は、いったん結婚前の名字に戻り、婚氏続称届が受理されると再び結婚中の名字に変わります。名字を変えないと決めているなら同時に提出するほうが手間を省けますが、まだ迷っている場合は、離婚届だけを先に出して3か月以内に決めることもできます。

窓口に行けないときは、郵送や家族に頼んで出せる

窓口に行く時間が取れないときは、婚氏続称届を郵送で出すこともできます。 ただ、郵送では役所に届いた日が受理日になるので、3か月の期限が迫っているなら早めに送りましょう。窓口と違ってその場で不備を確かめてもらえないため、送った後に、受理されたかどうかを役所に電話で確認しておくと安心です。 家族などに届書を窓口へ持っていってもらう方法もあります。この場合も、届出人の署名欄だけは本人が自分で書いておきます。

夜間や休日に出すと、預かり扱いになる

夜間や休日でも、時間外窓口で婚氏続称届を受け付けている自治体があります。ただし、その場では届書を預かるだけで、内容の確認は次の開庁日になります。 不備がなければ、時間外窓口に提出した日が受理日となりますが、記入漏れなどがあると後日訂正を求められる場合があります。離婚届と同時に提出する場合や、期限が迫っている場合は、できるだけ開庁時間内に届け出るほうが確実です。

婚氏続称届のほかにも、離婚の前後には健康保険や年金、子どもに関する手続きがあります。全体の流れは、次の記事で確認できます。

関連記事女性が離婚を決めたらすること|離婚前後のやることリスト →

婚氏続称届の書き方・提出に関するよくある質問(FAQ)

∨ Q1. 婚氏続称届の用紙はどこでダウンロードできますか?

自治体のウェブサイトからダウンロードできます。たとえば大阪市の「離婚の際に称していた氏を称する届」のページで公開されています。

様式は全国共通なので、ほかの自治体の用紙でも使用できます。印刷するときはA4サイズの白い紙を使ってください。

∨ Q2. 婚氏続称届は、離婚届と別の日に出してもいいですか?

離婚の日から3か月以内であれば、別の日でも提出できます。

ただし、後から出す場合は名字がいったん結婚前のものに戻るため、「氏」の欄の変更前には結婚前の名字を書くなど、同時提出とは書き方が変わります。

∨ Q3. 婚氏続称届を出せば、子どもも自分の戸籍に移りますか?

いいえ。婚氏続称届を出しても、子どもは離婚前の戸籍に残ります。

子どもを自分の戸籍に移すには、親子で名字が同じでも、原則として家庭裁判所で「子の氏の変更」の許可を得たうえで、役所に入籍届を出す必要があります。

∨ Q4. 3か月を過ぎてしまったら、結婚中の名字はもう使えませんか?

3か月を過ぎると、役所に婚氏続称届を出すだけでは、結婚中の名字を名乗れなくなります。

それでも結婚中の名字を使いたい場合は、家庭裁判所に氏の変更の許可を申し立てることになります。許可が出れば、役所に氏の変更届を出して結婚中の名字に変えられますが、認められるかどうかは、名字を変えたい事情を見て裁判所が判断します。

この記事は、公開日時点(2026年10月21日)の情報や法律に基づいています。

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