面会交流

弁護士監修記事 2018年10月01日

面会交流がルール通りに行われない場合

面会交流について調停や審判でルールが決まったにもかかわらず、その通りに面会交流が実施されない場合、裁判所の手続きによって、子どもとともに暮らす親(元配偶者)に実施を促すことができます。 この記事では、面会交流がルール通りに行われない場合の対処法について、詳しく解説します。

目次

  1. 条件どおりに面会交流が実施されない場合の対処法
    1. 履行勧告
    2. 間接強制
    3. 間接強制が認められるケース
  2. 再び調停を申し立てて条件を話し合う道もある

条件どおりに面会交流が実施されない場合の対処法

alt 調停や審判で面会交流のルールが決まった場合、原則として、そのルールのとおりに面会交流を実施することになります。 元配偶者がルールのとおりに面会交流を実施してくれない場合、裁判所から面会交流をするよう促してもらったり(履行勧告)、一定の金銭をペナルティとして徴収してもらったりする(間接強制)といった手段を取ることが考えられます。 履行勧告や間接強制といった措置をとってもらえるのは、調停か審判で面会交流の条件を定めていた場合に限ります。 当事者の協議で面会交流の条件を合意していた場合は、これらの措置をとってもらうことはできません。面会交流の条件を定める調停を申し立てる必要があります。

履行勧告

家庭裁判所に申し出ることにより、「履行勧告」という措置を求めることができます。履行勧告の申出には費用がかかりません。 履行勧告を申し出ると、家庭裁判所の調査官が、面会交流を行うよう、元配偶者に対して、電話や手紙、訪問などの方法で勧告をします。 履行勧告に法的な強制力はありませんが、元配偶者に条件を守ってもらうために、一定のプレッシャーをかける意味はあるでしょう。

間接強制

家庭裁判所に申し出ることにより、「間接強制」という措置をとってもらうことができる場合があります。 間接強制とは、元配偶者が面会交流の条件を守らない場合に、条件を守らない期間に応じてお金を支払わせることです。 面会交流自体を強制的に行うことはできませんが、元配偶者に、お金の支払いというプレッシャーをかけることで、条件どおりに面会交流が実施されることが期待できます。

間接強制が認められるケース

間接強制の措置は、申し出たから必ずしてもらえるわけではありません。面会交流の条件が調停や審判できちんと決められていること(「給付の特定」といいます)が必要だと考えられています。 平成25年3月28日の最高裁の決定では、主に以下の3点が具体的に決められていることが必要だという基準が示されています。

  1. 面会交流の日時または頻度
  2. 各回の面会交流時間の長さ
  3. 子の引渡しの方法

最高裁のケースでは、以下のような面会交流の条件が、審判で定められていました。

  • 面会交流は、月1回、毎月第2土曜日の午前10時から午後4時までとし、場所は、父親の自宅以外で父親が決めた場所とする
  • 子どもの受渡し場所は、母親の自宅以外の場所とし、話合いで決める。話合いで決まらないときは、JR甲駅東口改札付近とする
  • 母親は、面会交流開始時に、受渡し場所で子どもを父親に引き渡し、それ以降は、面会交流に立ち会わない。父親は、面会交流終了時に、受渡し場所で子どもを母親に引き渡す

最高裁は、これらの条件は、面会交流の条件が具体的に定められている、つまり給付は特定されているとして、間接強制をおこなうことを認めました。 この最高裁判決が出た以降に、間接強制が認められたケースとしては、たとえば以下のような事案があります。

間接強制を認め、面会交流の不履行1回につき4万円の支払いを命じた裁判例(大阪家裁平成28年2月1日判決)このケースでは、親権者として子どもとともに暮らす母親に対して、父親が、面会交流の間接強制を申し立てました。

以下のようなケースです。

・父親と子どもの面会交流については、家庭裁判所の審判で条件が決まった
・審判では、父親は毎月2回子どもと面会交流ができ、日程や時間帯、代替日、子どもの引渡し方法と場所なども具体的に決められた
・試験的な面会交流が行われたとき、子どもは楽しそうにしていた
・家庭裁判所調査官は、審判において、「父子関係に問題はなく」「早期に面会交流を実施することが望ましい」などと書いた調査報告書を出している
・母親は、面会交流の実施日に、審判で決まった引渡し場所に子どもを連れて行こうとした。しかし、父親と会うことを告げられた子どもが自宅を出ることを嫌がったため、子どもを引渡し場所に連れて行くことができなかった
・父親は面会交流が約束どおり実施されなかったことから、母親に対して間接強制を申し立てた

裁判所はこのような事実を認定したうえで、審判で面会交流のルールを具体的に決めていることから、給付は特定できているとして、母親に対して間接強制をすることができると判断しました。そして、母親に対して、面会交流の不履行1回につき、4万円を支払うことを命じました。

再び調停を申し立てて条件を話し合う道もある

alt 間接強制では、元配偶者に対してプレッシャーを与える効果はありますが、面会交流の実施を強制することはできません。 場合によっては、お金も支払われず、面会交流も実施されないという可能性もあります。 そうした場合、親同士も子どもも納得したうえで面会交流が実施できるよう、調停を再び申し立てて、改めて条件について話し合うことを検討してもよいでしょう。

面会交流のルールを変更する方法などは、この記事の下の「あわせて読みたい関連記事」で詳しく説明しています。

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