不倫慰謝料

弁護士監修記事 2018年10月01日

不倫慰謝料の相場と金額に影響を与える事情

配偶者の不貞行為によって精神的ダメージを受けたことを理由に、配偶者に対して慰謝料を請求することができます。 不貞行為を理由に求めることができる慰謝料の金額は、裁判例の積み重なりで、ある程度の相場が形成されています。 この記事では、どのようなケースで、いくらくらいの慰謝料を支払ってもらえるのか、といったことについて、詳しく解説します。

目次

  1. 慰謝料の金額に影響する事情
    1. 不貞行為以外にも原因があるケース
    2. その他の事情
  2. 不貞行為の慰謝料請求には時効がある
    1. いつから時効のカウントがはじまるのか
    2. 時効が進むこと止める方法
    3. 除斥期間の進行を止めることはできない

慰謝料の金額に影響する事情

alt 慰謝料の金額はケースバイケースですが、不貞行為が原因で離婚に至ったようなケースの裁判では、一般的に100万〜300万円程度の慰謝料が認められています。一方で、500万円を超えるような慰謝料が認められるケースも中にはあります。 裁判所が、配偶者に対する慰謝料の金額を判断する際、一般的には以下のような事情があると、慰謝料を高額に判断する傾向があります。

  • 不貞行為を理由に離婚することになった
  • 不貞行為の期間が長かった
  • 不貞行為の頻度が高かった
  • 結婚していた期間が長かった
  • 夫婦に子どもがいた

こうした事情に加えて裁判例では、さまざまな事情が、慰謝料を増額する、あるいは、反対に減額する事情として考慮されています。 参考に、東京地裁で出された比較的最近の裁判例で認められた慰謝料の金額を、いくつか紹介しておきます。

  • 不貞期間が約3年のケース…300万円(東京地裁平成26年7月11日判決)
  • 不貞期間が約2年半のケース…220万円(このうち20万円は弁護士費用)(東京地裁平成26年9月18日判決)
  • 不貞期間が約2年のケース…300万円(東京地裁平成26年5月19日判決)
  • 不貞期間が約1年半のケース…200万円(東京地裁平成26年4月30日判決)
  • 不貞行為が約1年のケース…385万円(東京地裁平成24年3月21日判決)
  • 不貞期間が約半年のケース…200万円(東京地裁平成26年9月3日判決)
  • 不貞期間が約5か月のケース…200万円(東京地裁平成26年5月16日判決)
  • 不貞期間が約3か月のケース…300万円(東京地裁平成26年7月4日判決)

単純に不貞期間の長さだけで慰謝料の額が決定するわけではありませんが、不貞期間が数年間にわたっているような場合は、高額の慰謝料が認められるケースがあるようです。 不貞行為が長期間にわたって継続的に行われていることを証拠で示せれば、慰謝料を増額する事情として判断してもらえる可能性があるでしょう。

不貞行為以外にも原因があるケース

不貞行為に加えて、配偶者から暴力を受けているなど、別の事情もある場合、不貞行為だけが原因の場合と比べて高額な慰謝料が認められる場合があります。 たとえば、不倫をやめるように求めた妻に対して、夫が、暴言をはいたり、物を投げつけるなどの暴行をしていたというケースで、夫に500万円の慰謝料の支払いを命じた裁判例があります。(仙台地方裁判所平成13年3月22日判決) 不貞をした配偶者から暴力も受けている場合、不貞行為の証拠とともに、暴力を受けた時の映像や録音、ケガの写真や診断書などの証拠も集めておくとよいでしょう。

その他の事情

不貞行為が理由で「うつ病」などの症状が出たような場合は、病院で診断書を取得しておくことも有効です。 極端な例ですが、たとえば、不貞行為にショックを受けて自殺未遂を図ったような事実があれば、それは、精神的苦痛が強かったことを示す証拠をなるでしょう。 ただし、そうしたセンシティブな情報を調停や裁判で公にしたくない人もいるでしょう。裁判で争う際にそうした証拠まで提出するかどうかは、よく検討するようにしましょう。

不貞行為の慰謝料請求には時効がある

alt 不貞行為を理由とした慰謝料は、一定の期間を過ぎると請求する権利が消滅します。次の2つの期間のうち、どちらかが過ぎると、慰謝料を請求する権利がなくなります。

  • 配偶者が不貞行為をしていたことと不貞行為の相手方を知ったときから3年間(時効)
  • 配偶者の不貞行為が始まったときから20年間(除斥期間)

いつから時効のカウントがはじまるのか

「どの時点から時効期間のカウントをはじめるのか(時効の起算点)」という点については、「離婚が成立した時点」と考える裁判例もあります。 このように考えた場合、「離婚が成立した時点から3年」で時効が完成することになり、不貞行為の時点からカウントすると時効が完成しているようなケースでも、慰謝料を請求できる可能性があります。 ただし、「離婚が成立した時点」を時効の起算点とする主張が認められるかどうかは、ケースごとの事情によって異なる可能性があります。 慰謝料をもとめる権利が時効にかかっているのかどうか、自分では判断が難しい場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

時効が進むこと止める方法

このように、離婚して月日が経ってから「自分のケースは慰謝料を請求できるケースだったのかも…」と考えても、時効によって権利が消滅しているという事態があります。 こうした事態を防ぐために、時効が進むことを止める手段があります。時効の「中断」と呼ばれる手続きで、離婚した元配偶者に対して裁判を起こすことや、元配偶者と話し合って慰謝料を支払ってもらう権利があることを認めてもらうことで時効の進行は止まります。 対応がすぐに難しいという方は、内容証明郵便などで、元配偶者に対して「慰謝料を支払ってほしい」という意思を表明すれば、一時的に時効が進むことを止めることができます。「催告」という手段です。 ただし、「催告」は6か月間に限って時効が進むことを止める一時的な対処法です。また、「催告」は繰り返すことはできません。 6か月後になって、もう一度内容証明郵便を送ったとしても、そこからまた6か月間時効を止めることはできないのです。 そのため、「催告」で時効が進むことを止めている間に、調停や裁判など、具体的に慰謝料を請求するための準備をしましょう。

除斥期間の進行を止めることはできない

一方、除斥期間については、その進行を止めることはできません。そのため、配偶者の不倫を知った時(=不法行為が始まった時)から20年が経過した場合は、慰謝料を請求することはできなくなります。

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