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DV

2018年10月01日

DV被害から身を守る「保護命令」の利用方法を詳しく解説

DV被害から身を守るために配偶者から離れて生活している場合、配偶者が自宅に押しかけてきたりしないように、裁判所から配偶者に対して「近寄ってはならない」などの命令(保護命令)を発してもらうことができます。 配偶者が命令に従わなかった場合は、配偶者に罰金や懲役などの刑事罰が科されることになります。 保護命令を発してもらうためには、最寄りの裁判所に申し立てて、保護命令を出してもらう必要性などを主張していく必要があります。 この記事では、保護命令の内容や申立て手続きの方法などを解説します。

目次

  1. 保護命令とは
  2. 具体的な手続きの流れ
  3. DVの証拠を集める
  4. 生活が落ち着いたら離婚に向けた準備を進めよう

保護命令とは

配偶者の暴力から身を守るために離れて暮らしていても、配偶者から連絡をとってきたり、家を訪ねてくるのではないか、と不安を感じる人もいるでしょう。 そうした危険を防ぐために、裁判所に申し立てて、自分と連絡をとったり、自宅に近寄らないよう命令してもらえる制度があります。「保護命令」といいます。 保護命令を出してもらうためには、裁判所に申し立てて、DVによって生命・身体に重大な危害を受ける可能性が高いことなどを認めてもらう必要があります。 保護命令の内容は5種類あります。 alt 配偶者が保護命令に違反した場合には、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に科されます。 保護命令の期間が終わった後も、配偶者から暴力を振るわれたり、子どもを連れ去られたりする可能性がある場合などは、再度保護命令を申し立てることができます。 「男女共同参画白書」(2018年度)によると、2017年に、配偶者の暴力などに対する保護命令事件として処理された2293件のうち、実際に保護命令が発令されたのは1826件でした。 内訳は、被害者に関する保護命令のみ発令されたものは29.4%、子への接近禁止命令のみが発令されたものは38.3%、子と親族などへの接近禁止命令が同時に発令されたものは21.3%となっています。

具体的な手続きの流れ

申立て前には、原則として事前の相談が必要

alt 保護命令を申し立てるには、あらかじめ配偶者暴力相談支援センター か、警察署の生活安全課などに、DVについて相談をしておく必要があります。 保護命令の申立書には、これらの相談機関で、配偶者から暴力を受けたことなどを相談した事実を記載する必要があります。 DVについて事前に相談をしていない場合は、公証役場で「公証人面前宣誓供述書」という書類を作成・提出する必要があります。 「公証人面前宣誓供述書」とは、配偶者から暴力などを受けたことを記載した書面です。公証人の前でその書面の内容が真実であることを公証人に宣誓して作成します。

申立て先

事前の準備や相談が完了したら、地方裁判所への申立てを行います。申立て先は、以下の地方裁判所のどれかです。

  • 配偶者の住所地を管轄する地方裁判所
  • あなたの住所地を管轄する地方裁判所
  • DVシェルターなど、あなたが一時的に滞在している場所を管轄する地方裁判所
  • 暴力が行われた場所を管轄する地方裁判所

裁判所の管轄区域はこちらから確認できます。

申立てに必要な書類

保護命令の申立てには、以下の書類が必要です。

  • 申立書とそのコピー ※裁判所のホームページからダウンロードできます。

  • 申立人と相手方の関係を証明する資料(夫婦の戸籍謄本、住民票など)

  • 暴力や脅迫を受けたことを証明する資料(医師の診断者や写真、録音、配偶者からいつ、どこで、どのように暴力や脅迫を受けたかを書いた陳述書など)

  • 相手方から今後、身体的暴力を振るわれて、生命、身体に重大な危害を受ける可能性が大きいことを証明する資料(本人や第三者の陳述書、メールや手紙のコピーなど)

子どもへの接近禁止命令を求める場合

子どもへの接近禁止を求める場合で、対象となる子どもが15歳以上ときは、その子の同意書が必要になります。雛形は裁判所のホームページからダウンロードできます。

親族などへの接近禁止命令を求める場合

  • 接近禁止の対象者の同意書
  • 対象者が15歳未満の場合または成年被後見人の場合は、その法定代理人の同意書
  • 申立人との関係を証明する書類(対象者の戸籍謄本・住民票など)
  • 対象者への接近禁止命令が必要な事情を明らかにする対象者作成の陳述書など(証拠書類)

※接近禁止の対象者の同意書は、裁判所のホームページからダウンロードできます。 このほか、手数料として1000円分の収入印紙を申立書に貼り付けます。また、郵便切手を合計2500円分(内訳:500円切手3枚、280円切手1枚、100円切手2枚、82円切手5枚、10円切手10枚、1円切手10枚)、裁判所に提出する必要があります。

申し立てた後の手続きの流れ

申立てが受理されると、原則としてその日のうちに裁判所の面接が行われます。通常はその1週間後に、配偶者の意見を聞く面接の日程が組まれます。 裁判所は、配偶者の言い分を確認し、DVの証拠と照らし合わせた上で、保護命令を発令するかどうかを決定します。 早ければ、配偶者が出頭した日に保護命令が発令されることもあります。また、急を要する場合は、配偶者の面接を行わずに、保護命令が発令されることもあります。

裁判所から取下げを勧められることがある

保護命令の申立ては、必ずしも受理されるとは限りません。 申立てを認めない判断がでる可能性が高い場合、裁判所から、事前に申立てを取り下げるよう勧める連絡が来ることがあります。 配偶者が「自分の行為はDVに該当しないと裁判所からお墨付きを得た」と勘違いし、暴力行為などがエスカレートする場合があるためです。 裁判所から申立ての取下げを勧められた場合は、勧めにしたがった方が無難でしょう。 その後もさらに加害行為が続くなど、何らかの事情の変更があれば、再度保護命令を申し立てることもできます。

DVの証拠を集める

DVの被害を実際に受けたことを客観的に証明できる証拠を提出することで、保護命令を発令してもらえる可能性をより高めることができます。 DVの証拠を集められる状況にある人は、以下のようなものを集めておくとよいでしょう。

診断書

DVでケガをして病院で治療を受けた場合は、診断書をもらっておきましょう。初診時にもらわなかった場合も、後から発行してもらうことができます。 治療のとき、医師には「配偶者の暴力によってケガをした」ということを伝えて、カルテに記載してもらいましょう。

写真

DVによって身体にあざや傷ができた場合は、写真を撮っておきましょう。ケガをした日付がわかる場合は併せて記録しておきましょう。 配偶者が家の中で暴れたりした場合は、荒らされた部屋の様子や、壊された家具などの写真も撮っておくとよいでしょう。

録音・録画

脅迫や暴力の様子の録音・録画はDVの重要な証拠になります。配偶者との通話や留守番電話の録音も証拠として使えるので、消去せずに残しておきましょう。

メール

配偶者とのメールのやりとりも、内容によってはDVの証拠になります。消去したくなるかもしれませんが、暴言などをメールで浴びせられた場合は、残しておくことでDVの証拠として裁判所に提出することができます。 裁判所への提出時には、プリントアウトしたものや、メールの画面を撮影したものを出すことになるでしょう。

日記

DVがいつ、どこで、どんなふうに行われたかを書いた日記やメモも、1つの証拠になります。 どのような暴力を受けて、その結果どのようなケガをしたのか、記録が具体的であるほど証拠としての効力があるでしょう。

配偶者が書いた念書

DVを受けて別居し、配偶者が謝罪したため家に戻ったけれど、再び暴力が繰り返されているという状況の人もいるかもしれません。 このようなケースで、配偶者が「二度と暴力は振るわない」といった念書を書いている場合、その念書も重要な証拠になります。

陳述書

配偶者からいつ、どこで、どのように暴力や脅迫を受けたかを書いた陳述書も証拠になります。 陳述書とは、自分が体験したことを記載し、署名押印をした書類です。書き方に決まりはなく、直筆でも、パソコンなどで作成してもかまいません。 DVを目撃している第三者がいる場合には、その人が書いた陳述書も証拠として提出しましょう。 第三者の協力を得られる場合は、いつ、どこで、どのようにDVが行われたのか、時系列で書いてもらうとよいでしょう。署名押印も忘れずにしてもらいましょう。

生活が落ち着いたら離婚に向けた準備を進めよう

保護命令を申し立てるなどして、身の安全を確保し、避難先での生活が落ち着いたら、離婚に向けた準備を進めていきましょう。 配偶者と離婚の話合いを進めるときには、離婚するかしないかということだけではなく、財産の分け方や子どものことなど、離婚後の生活に関することも決めておく必要があります。 しかし、配偶者からDVを受けて避難している状況では、それらを配偶者と話し合って決めることは難しいでしょう。 そうした場合でも、離婚調停や審判の手続きを利用して、配偶者とできる限り接触せずに離婚の条件について解決に向けた話合いをすることができます。 離婚に向けて話し合うことや、離婚調停の申立て方法などについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

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