財産分与

弁護士監修記事 2018年10月01日

将来の退職金も財産分与の対象になるのかl取り分の計算方法を詳しく解説

離婚をする際の財産分与の対象には、配偶者に支払われる退職金も含まれます。配偶者がまだ働いていて、退職金が支払われていない場合でも、将来支払われる予定の退職金を計算して、その一部を支払ってもらえる可能性があります。 どのような場合に支払ってもらえるのかということと、金額の計算方法について、詳しく解説します。

目次

  1. 将来支払われる予定の退職金も財産分与の対象になる
  2. 取り分の計算方法
    1. 1.離婚する時点での退職金の額を財産分与の対象とする方法
    2. 2.将来支払われるであろう退職金の額を財産分与の対象とする方法
    3. 3.実際に退職金が支払われた時点で財産分与する方法
    4. どの方法がよいのか

将来支払われる予定の退職金も財産分与の対象になる

alt 結婚している間に貯めた預金や、手に入れた不動産、車などの財産は、一方の名義になっているような場合でも、夫婦が共同で所有する財産(共有財産)と考えられています。 そのため、離婚するときは、それらの財産を一定の割合で分けるよう、配偶者に要求することができます(財産分与)。 配偶者にのみ収入があり、自分は専業主婦(夫)の場合でも、家事や育児をすることで、配偶者が収入を得ることに貢献してきたと考えられるため、財産分与を受けることができます。 一般的には、その財産を得るための夫婦の貢献度はそれぞれ50%と考えて、2分の1ずつ現金を分け合うことが実務上の運用となっています(「2分の1ルール」などと呼ばれています)。 配偶者に支払われる退職金も、財産分与の対象です。すでに支払われている退職金だけではなく、将来支払われる予定の退職金も財産分与の対象になる可能性があります。 退職金は、日々の労働に対する給与の一部が積み立てられ、退職するときにまとめて支払われる、給与の後払いとしての性質があると考えられています。 したがって、退職金も給与と同様に、夫婦2人が協力して築いた財産と考えられるため、財産分与の対象になると考えられます。

取り分の計算方法

alt では、配偶者に将来支払われる予定の退職金について、財産分与の際、どのくらいの金額を求めることができるのでしょうか。 裁判例では、主に次の2つ方法で計算することが一般的です。

1.離婚する時点での退職金の額を財産分与の対象とする方法

離婚する時点で自己都合退職をした場合に受け取れる退職金の額を試算し、その金額を財産分与の対象として離婚時に清算する方法です。 計算式は以下のようになります。 退職金額 × 婚姻期間/勤務年数 = 財産分与の対象額 たとえば、50歳で離婚するとして、その時点で退職すれば退職金を1500万円受け取れるとしましょう。 勤務期間が30年、婚姻期間が20年の場合、1500万円 × 20年/30年=1000万円が財産分与の対象になり、分与割合を2分の1とすると、500万円を自分の取り分として求めることができます。

離婚時に退職するとどのくらいの退職金が支払われるかは、勤務先の就業規則や退職金に関する規定を参考にして試算します。

2.将来支払われるであろう退職金の額を財産分与の対象とする方法

定年退職をしたときに支払われるであろう退職金の額を基準に財産分与を認めた裁判例もあります。 ただし、将来受け取るはずの退職金の額を基準にした場合、「ライプニッツ係数」という係数を使って、財産分与の対象になる退職金の額を差し引くといった調整をすることになります。 調整する理由は以下のとおりです。 将来受け取るはずのお金を現在受け取ることで、投資などを通じて本来よりも多くのお金を手に入れる可能性がでてきます。つまり「もらいすぎ」の状態です。 その「もらいすぎ」の分を、法定利率(年5%)で計算して、将来受け取る退職金から差し引いて、財産分与の対象となるお金を算出します(中間利息控除)。 中間利息控除は、「ライプニッツ係数(原価表)」という数値を用いて算出します。

退職までの年数 ライプニッツ係数 退職までの年数 ライプニッツ係数
1 0.9524 44 0.1169
2 0.9070 45 0.1113
3 0.8638 46 0.1060
4 0.8227 47 0.1005
5 0.7835 48 0.0961
6 0.7462 49 0.0916
7 0.7107 50 0.0872
8 0.6768 51 0.0831
9 0.6446 52 0.0791
10 0.6140 53 0.0753
11 0.5847 54 0.0717
12 0.5568 55 0.0683
13 0.5303 56 0.0651
14 0.5051 57 0.0620
15 0.4810 58 0.0590
16 0.4581 59 0.0562
17 0.4363 60 0.0535
18 0.4155 61 0.0510
19 0.3957 62 0.0486
20 0.3769 63 0.0462
21 0.3589 64 0.0440
22 0.3418 65 0.0419
23 0.3256 66 0.0399
24 0.3101 67 0.0380
25 0.2953 68 0.0362
26 0.2812 69 0.0345
27 0.2678 70 0.0329
28 0.2551 71 0.0313
29 0.2429 72 0.0298
30 0.2314 73 0.0284
31 0.2204 74 0.0270
32 0.2099 75 0.0258
33 0.1999 76 0.0245
34 0.1904 77 0.0234
35 0.1813 78 0.0222
36 0.1727 79 0.0212
37 0.1644 80 0.0202
38 0.1566 81 0.0192
39 0.1491 82 0.0183
40 0.1420 83 0.0174
41 0.1353 84 0.0166
42 0.1288 85 0.0158
43 0.1227 86 0.0151

たとえば、離婚する時点で退職まであと5年という場合で、定年退職すれば退職金が3000万円受け取れる場合を考えてみましょう。 この場合、3000万円の退職金に5年のライプニッツ係数(0.7835)を乗じた金額が財産分与の対象となる金額になります。 3000万 × 0.7835 = 2350万5000円

3.実際に退職金が支払われた時点で財産分与する方法

離婚時ではなく、「実際に配偶者に退職金が支払われた時点で支払え」という判断をした裁判例もあります。たとえば、夫の退職金が2年後に支払われる予定だったとき、「(夫が)退職金の支払を受けたとき、(元妻に)金500万円を支払え」という判決が下されたケースがあります。(東京高裁平成10年3月18日判決)。

どの方法がよいのか

3の方法は、支払いが将来になるため、退職した時点で実際に支払ってもらえるのかどうか不確実な側面があります。 一方で、離婚時に退職金を精算して支払ってもらう方法(1と2)は、離婚時にお金が支払ってもらえます。 しかし、実際に退職金が支給される前なので、分与額が高額になると、その分を用意できない可能性があります。 どの支払い方法にするかは、配偶者の財産の状況や、退職までの年数がどの程度残っているのかなどを考慮しながら、お互いが納得できる地点を目指して話合いを進めていきましょう。

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