DV

弁護士監修記事 2018年10月01日

DVから身の安全を確保するためにできること

配偶者などからの暴力(DV)に苦しんでいるなら、まずは警察や公的機関に相談し、配偶者から離れて身の安全を確保しましょう。 この記事では、DV被害の相談先や、裁判所に保護命令を申し立てる方法について詳しく解説します。

目次

  1. 身の安全の確保することを最優先に
  2. DV被害の相談先と受けられるサポートの内容
    1. 配偶者暴力相談支援センターでカウンセリングや一時保護を受ける
    2. 警察への相談で逮捕などの措置が取られることがある
    3. 弁護士に依頼して配偶者との窓口になってもらう
    4. DVシェルターに避難する
  3. 「保護命令制度」を利用できる場合がある
    1. 保護命令制度とは

身の安全の確保することを最優先に

alt 配偶者からDVの被害を受けている場合、身の安全を確保することを最優先に行動しましょう。警察や弁護士への相談、DVシェルターを利用するなど複数の手段があります。詳しい利用方法やサポート内容について、以下で解説していきます。

DV被害の相談先と受けられるサポートの内容

alt 「DVから逃れたい」「離婚したい」と思っても、配偶者と一つ屋根の下で暮らしながら離婚を切り出したり、配偶者への法的な措置を取ろうとしたりすると、相手が逆上してDVがエスカレートする恐れがあります。 そこで、まずは配偶者と別居するなどして、自分や子どもが危険にさらされない状況を確保しましょう。離婚に向けた手続きなどは、その上で進める方が安全です。 収入が少なく、別居後の生活が不安な人もいるでしょう。別居中の生活費は、配偶者に請求することができます。金額の目安や、配偶者が支払いを拒否した場合の対処法は、次の記事で詳しく解説しています。

安全な別居先が見つからない場合や、今すぐに配偶者から離れたいといった場合は、配偶者暴力支援センターや警察に相談すると、一時保護などの措置を受けられる場合があります。 DVの主な相談先としては、次の4つがあります。それぞれサポート内容が異なるので、複数の相談先の利用を検討するとよいでしょう。

  • 配偶者暴力相談支援センター
  • 警察
  • 弁護士
  • DVシェルター

相談先ごとにどのようなサポートを受けられるのか、詳しく見ていきましょう。

配偶者暴力相談支援センターでカウンセリングや一時保護を受ける

配偶者暴力相談支援センター は、全国の婦人相談所などに設置されている機関です。DV被害のカウンセリングや一時保護などの措置を受けることができます。 内閣府男女共同参画局の「DV相談ナビ 」(全国共通の電話番号:0570-0-55210)に電話すれば、最寄りの相談窓口を案内してもらえます。 配偶者暴力相談支援センターでは、暴力や離婚に対するカウンセリング、離婚後の自立のための情報提供、このあとで説明する「保護命令制度」についての情報提供などが受けられます。 緊急の場合には、行政や民間団体が管理・運営するDVシェルターを避難先として紹介してもらえることもあります。

ただし、危険が迫っている場合は、迷わず警察(110番)へ連絡してください。

警察への相談で逮捕などの措置が取られることがある

DVの被害は警察にも相談できます。相談先は「生活安全課」です。 警察相談専用電話(#9110)に連絡すると、地域を管轄する各都道府県の相談窓口に直接つながります。 全国どこからでも、携帯電話でも利用可能です(受付け時間は平日8:30~17:15。土日・祝日と時間外は、一部の県警を除き、当直または音声案内で対応)。 相談への対応は専門の相談員(警察官、元警察官など)が、相談者のプライバシー保護や心情などに配慮しながら行います。法テラスや女性相談所など別の専門機関への引継ぎや紹介をしてもらえることもあります。 ただし、身の危険が迫っている場合は110番通報するか、最寄りの警察署や交番、駐在所に駆け込んでください。 警察は、DVを行う配偶者に対して、暴行罪、傷害罪などを理由に逮捕などの措置をとることがあります。 また、被害者の安全確保のための情報提供や、とくに緊急性が高いと判断される場合には、一時保護などの措置を行うことがあります。 身体的な暴力はもちろん、暴言などの精神的な暴力を受けている場合も、警察の保護を受けることができます。

弁護士に依頼して配偶者との窓口になってもらう

DV被害について、弁護士や、全国の弁護士会の相談窓口 にも相談をすることができます。また、法テラス のサポートダイヤル(0570-079714)でも、様々な支援制度や、刑事手続の流れなどの情報提供が受けられます。 すぐに保護措置が必要な場合は、弁護士から一時保護のためのDVシェルターの紹介や、保護命令の申立てのサポートなどを受けることができます。 配偶者との離婚に向けた交渉や手続きを弁護士に依頼した場合、弁護士は、配偶者に対し、内容証明郵便などで「受任通知」を出すことになります。 受任通知には「今後は本件については当職(弁護士)が窓口になりますので、通知者本人に対する直接のご連絡はお控え下さい」といった文言が書かれています。 これによって、配偶者からの連絡はすべて弁護士宛てになることが期待できます。配偶者と直接交渉しなくてもよくなることは大きなメリットでしょう。 受任通知を送ったにも関わらず、配偶者から直接連絡がきた場合も、受任通知を理由に、「弁護士宛てに連絡してほしい」と伝えて話合いを拒絶しやすくなります。

DVシェルターに避難する

DVを受けた場合の避難先として、DVシェルターという施設があります。DVの被害者を、配偶者から隔離し、保護するための施設です。 DVシェルターには、配偶者暴力相談支援センターとしての機能がある婦人相談所、女性センター 、福祉相談所などが管理する公的シェルターと、民間のNPO法人や社会福祉法人などが運営する民間シェルターがあります。 DVシェルターでは、配偶者から身を守る場所を提供してもらえるだけではなく、弁護士や福祉事務所(全国の福祉事務所一覧はこちらから確認できます) などと連携しながら、新しい住まいへの入居や生活保護受給の手続き、就職活動などのサポートをしてくれる場合もあります。 また、DVシェルターの住所は非公開になっているなど、被害者の安全を確保するための対策がされているので、安心して利用することができます。

配偶者に居場所を知られないよう、手紙の投函や、携帯電話の使用、友人や親族に所在を知らせることなどは避けましょう。

DVシェルターを利用するには

DVシェルターを利用したい場合は、まず、各都道府県の配偶者暴力相談支援センター、女性センター、福祉事務所、最寄りの警察署のいずれかに連絡をします。暴力の防止や被害者保護のために必要だと判断されれば、紹介してもらうことができます。

DVシェルターにはどのくらい滞在できる?

各団体や個々の事情にもよりますが、DVシェルターの利用期間の目安は2週間ほどです。無料で利用できます。 DVシェルターは、あくまで一時的な保護が役割です。その後は、通常は民間の賃貸住宅へ移ることになります。 民間の賃貸住宅のほか、婦人保護施設(県や社会福祉法人などが運営)や母子生活支援施設(県や市などが運営)も利用できる場合があります。 施設によっては、子どもと一緒に入居できる場合もあります。入れない場合は、児童相談所の一時保護を利用することを検討してみましょう。 中でも、児童福祉法に基づいて設置されている「母子生活支援施設」は、滞在期間が2年以内と、長期間利用することができます。 窓口は、住んでいる地区の福祉事務所です。子どもと一緒に避難したい場合は、相談を検討してみてもいいでしょう。

DVシェルターに持っていくとよいもの

DVシェルターを利用するときには、以下のようなものを持っていくとよいでしょう。

・現金・預金通帳(自分名義、子ども名義)
・印鑑
・キャッシュカード
・健康保険証(コピーでもOK)
・年金手帳
・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
・衣類(子どものおむつなども)
・常備薬など生活に必要なもの
・調停・裁判で証拠となる書類や財産に関する書類(相手方の給与明細や源泉徴収票、預金通帳のコピーなど)

「保護命令制度」を利用できる場合がある

alt

保護命令制度とは

保護命令とは、配偶者からの身体的暴力を防ぐために、配偶者に対して、被害者に近寄らないことなどを命令する制度です。 DVによって生命・身体に重大な危害を受ける可能性が高い場合に、被害者が地方裁判所などに申し立てることで、命令が出されます。 保護命令の内容は5種類あります。 alt 配偶者が保護命令に違反した場合には、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられます。 保護命令の期間が終わった後も、配偶者から暴力を振るわれたり、子どもを連れ去られたりする可能性がある場合などは、再度保護命令を申し立てることができます。

申立て前に相談が必要

保護命令を申し立てるには、あらかじめ配偶者暴力相談支援センターか、警察署の生活安全課などに、DVについて相談をしておく必要があります。 保護命令の申立書には、これらの相談機関で、配偶者から暴力を受けたことなどを相談した事実を書きます。 DVについて事前に相談をしていない場合は、公証役場で「公証人面前宣誓供述書」という書類を作成・提出する必要があります。

「公証人面前宣誓供述書」とは、配偶者から暴力などを受けたことを記載した書面です。公証人の前でその書面の内容が真実であることを公証人に宣誓して作成します。

申立て先

保護命令の申立ては、以下の地方裁判所のどれかに対して行います。

  • 配偶者の住所地を管轄する地方裁判所
  • あなたの住所地を管轄する地方裁判所
  • DVシェルターなど、あなたが一時的に滞在している場所を管轄する地方裁判所
  • 暴力が行われた場所を管轄する地方裁判所

裁判所の管轄区域は、こちらから確認できます。

保護命令の申立てに必要な書類

保護命令の申立てには、以下の書類が必要です。

  • 申立書とそのコピー

※申立書は、裁判所のウェブサイトのリンクからダウンロードできます。

  • 申立人と相手方の関係を証明する資料(夫婦の戸籍謄本、住民票など)

  • 暴力や脅迫を受けたことを証明する資料(医師の診断者や写真、録音、配偶者からいつ、どこで、どのように暴力や脅迫を受けたかを書いた陳述書など)

  • 相手方から今後、身体的暴力を振るわれて、生命、身体に重大な危害を受ける可能性が大きいことを証明する資料(本人や第三者の陳述書、メールか手紙のコピーなど)

  • 子どもへの接近禁止命令を求める場合…接近禁止の対象となる子どもが15歳以上のときは、その子の同意書

※子の同意書は、裁判所のウェブサイトのリンク からダウンロードできます。

  • 親族などへの接近禁止命令を求める場合…接近禁止の対象者の同意書(対象者が15歳未満の場合または成年被後見人の場合は、その法定代理人の同意書)、対象者の戸籍謄本、住民票、その他申立人との関係を証明する書類、対象者への接近禁止命令が必要な事情を明らかにする対象者作成の陳述書など(証拠書類)

※接近禁止の対象者の同意書は、裁判所のウェブサイトのリンクからダウンロードできます。 このほか、手数料として1000円分の収入印紙を申立書に貼り付けます。また、郵便切手を合計2500円分(内訳:500円切手3枚、280円切手1枚、100円切手2枚、82円切手5枚、10円切手10枚、1円切手10枚)、裁判所に提出する必要があります。

申立て後の手続きはどうなる?

地方裁判所に保護命令を申し立てると、その日のうちに裁判所の面接が行われます。通常はその1週間後に、配偶者の意見を聞く面接の日程が組まれます。 裁判所は、配偶者の言い分を確認し、証拠と照らし合わせた上で、保護命令を出すかどうかを決定します。 早ければ、配偶者が出頭した日に保護命令が言い渡されることもあります。また、急を要する場合は、配偶者の面接を行わずに、保護命令が言い渡されることもあります。

裁判所から事前に取下げを勧められたら

申立てを却下する決定が出る場合、裁判所から、事前に申立てを取り下げるよう勧める連絡が来ることがあります。 配偶者が「自分の行為はDVに該当しないと裁判所からお墨付きを得た」と勘違いし、暴力行為などがエスカレートする場合があるためです。 裁判所から申立ての取下げを勧められた場合は、勧めにしたがった方が無難でしょう。 その後もさらに加害行為が続くなど、何らかの事情の変更があれば、再度保護命令を申し立てることもできます。

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