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不当解雇

2017年03月31日

「不当解雇」は違法で無効…不当解雇の基準、争うための手段を詳しく紹介

「あなたは能力不足」「リストラする必要がある」ーー。解雇の理由はさまざまですが、一見もっともらしい理由があっても、条件をみたしていない解雇は、違法で無効な「不当解雇」です。 「不当解雇」と認めてもらえれば、復職することや、解決金を得るといったことが可能となります。少しでも「おかしい」と思う点があれば、この記事を参考に対処法を検討してみてください。次のポイントを詳しく紹介します。

  • 不当解雇を判断するためのチェックポイント
  • 不当解雇を争う手段(あっせん、労働審判、裁判など)
  • 不当解雇と認めてもらうことのメリット(復職、解決金など)

目次

  1. 仕事で重大なミス…それでも解雇までは認められなかった
  2. リストラや懲戒解雇は、さらにハードルが高い
  3. 「不当解雇」だと認めてもらうと、どんなメリットがあるのか
  4. 「労働審判」「裁判」「あっせん」etc…手続きはどれを選べばいいのか?
  5. どんな証拠を用意する必要があるのか
  6. 弁護士に相談したほうがいいの?

仕事で重大なミス…それでも解雇までは認められなかった

解雇は簡単にできることではありません。立場の弱い労働者を守るために、法律や判例などで厳しいハードルが設けられています。不当解雇の判例として有名な「高知放送事件」を例にみてみましょう。 ある放送局の宿直勤務のアナウンサーが、寝坊してラジオニュースの生放送に穴をあけたことなどを理由に解雇されました。2週間という短期間にこうした「事故」を2回起こしたことや、事実と異なる報告書を提出したことなどが問題視されました。裁判では、解雇が有効かどうかという点が争われました。 最高裁の判決は、「アナウンサーとしての責任感に欠ける」など、アナウンサー側にも非があることは認めつつも、次のような事実等に着目して「解雇は無効」という判断を示しました。

  • 遅刻はわざとではなかった
  • 先に起きてアナウンサーを起こす役目だった社員も寝過ごしていた
  • アナウンサーを起こす役目だった社員が受けた処分は軽かった(けん責処分)
  • 中断した時間が5〜10分と比較的短かった
  • これまでの勤務態度は悪くなかった
  • 過去、放送事故で解雇された例がなかった

生放送に穴をあける(しかも2回)ということは、アナウンサーとして重大なミスとも思えますが、「解雇まではやりすぎ」と判断されたのです。

二つの条件をみたさない解雇は「無効」

では、具体的にどんな条件があると「解雇はやりすぎ」ということになるのでしょうか。労働契約法は次のように定めています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、 その権利を濫用したものとして無効とする。

労働契約法第16条

つまり、解雇は(1)「客観的に合理的な理由がある」、(2)「社会通念上相当である」という両方の条件をみたしてなければ、有効ではないということです。 それぞれどんな意味なのか、「営業成績が悪いという理由で解雇された」というケースで考えてみましょう。 解雇された労働者が、「目標として定められた数字をまったく達成しておらず、他の社員と比べて著しく劣っている」といった事情があれば、「客観的に合理的な理由があった」といえる可能性はあるでしょう。 しかし、過去の同様のケースでは労働者が解雇されていなかったり、減給など軽い処分にとどまっていたりするという事情があれば、今回のケースだけ解雇するのは「やりすぎ」という判断(=社会通念上相当ではないという判断)になる可能性があります。 つまり、(1)「客観的に合理的な理由がある」けど、(2)「社会通念上相当」ではないということで、解雇が無効になる可能性があるということです。

[参考]解雇制限

このほかにも、解雇はさまざまな法令で制限されています。たとえば、次のような理由で解雇することは不当解雇にあたります。

  • 国籍・信条・社会的身分(*1)
  • 性別(*2)
  • 労働組合の組合員であること、労働組合を結成しようとしたこと等(*3)
  • 会社が労働基準法等の労働保護立法に違反していることを、労働基準監督署などに申告したこと(*1)
  • 育児・介護休業などを申し出たこと、取得したこと(*4)
  • 女性労働者が結婚・妊娠・出産したこと、または産前産後の休業をしたこと等(*2)

また、病気や産休中など、理由を問わず解雇が禁止されている期間もあります。

  • 仕事が原因による怪我・病気(業務上災害)のために療養中の休業期間と、その後30日間(*1)
  • 産前・産後の休業期間と、その後30日間(*1)

※参考:1…労動基準法 2…男女雇用機会均等法 3…労働組合法 4…育児・介護休業法

リストラや懲戒解雇は、さらにハードルが高い

リストラ(整理解雇)や懲戒解雇は、さらに厳しい条件があります。

「リストラ」を理由に解雇された場合

裁判例の多くはリストラについて、通常の解雇よりも厳しく、次の4点に着目して総合的に有効かどうかを判断しています。

  • 経営上、必要な人員削減だったのか。
  • 会社はリストラを回避する努力をしていたのか。
  • リストラ対象者の選び方は妥当だったのか。
  • 解雇までのプロセスは適正だったのか(労働者と十分に話し合っていたのかなど)。

たとえば、「会社を立て直すために人員削減が必要」という理由でリストラされたのに、大量の新卒者を採用していたーー。そんな事情があった場合には、「必要な人員削減ではなかった」として、リストラは無効となる可能性があります。

「懲戒処分」を理由に解雇された場合(懲戒解雇)

懲戒解雇は、会社の秩序を乱したことに対する、いわば「制裁」としての解雇です。懲戒処分の中で最も重い処分で、退職金が支払われない場合があることや、次の就職に影響する可能性があるなど、その後の影響も小さくありません。 そのため、労働者に弁解の機会をあたえる必要があり、また、懲戒解雇しても仕方がないという事情が、慎重に判断される傾向があります。

「不当解雇」だと認めてもらうと、どんなメリットがあるのか

あなたの解雇が「不当解雇」である場合、解雇は違法・無効です。その場合、解決としては大きく二つのパターンが考えられます。

  • 復職はせず、未払い賃金や慰謝料など金銭で解決する
  • 元の職場に復職する

不当解雇を争う場合、かたちとしては「解雇の無効を主張する」=「復職を求める」ということになりますが、会社との関係がこじれ、復職が現実的でない場合が少なくありません。その場合は金銭解決を求めることになります。実際のケースでは、金銭解決を求めることが多いです。 金銭解決を選択した場合、解雇処分を下された後も就労の意思があったこと、また、その解雇処分が無効であることが判断されれば、「解雇されずに働いていれば、本来支払われるはずだった賃金」が支払われます。

復職を望まない場合でも、解雇は無効と判断されると、労働者としての地位が復活します。その場合、解決金を受け取り、会社との合意で改めて退職するという形をとることが考えられます。

「労働審判」「裁判」「あっせん」etc…手続きはどれを選べばいいのか?

「訴える」というと裁判をイメージするかもしれませんが、不当解雇を主張する手段は裁判だけではありません。どのような解決を望むのかによって、ベストな手段は異なります。 不当解雇のフロー図

金銭解決を希望する場合

金銭解決を希望する場合は、労働審判を選択することがあります。 労働審判は、労働問題について詳しい裁判官、労働審判委員、会社側の代表者、労働者などの関係者がひとつのテーブルに集まり、話し合いでお互いに納得できる妥協点を探る解決手段です。 労働審判は原則として3回以内の日程で、話し合いで解決を試みる手続きですので、裁判よりも比較的短い期間で結論をだすことができます(平均70日程度)。

会社との対立が深刻で、話し合いでの解決が難しい場合は、裁判で解決するしかないケースもあります。ただし、裁判は手続きや審理が複雑で、決着まで1年以上の時間がかかることも少なくありません。弁護士費用もその分高額になるケースもあります。こうした負担に留意しておく必要があります。 解雇の有効性を会社と争う間、生活費などに不安を感じる方のために「仮給付」という制度が用意されています。失業手当は本来、失業したことを前提に受ける制度ですが、仮給付は、解雇の有効性を争っていても受けることができます。

復職したい場合

復職を望む場合、会社との関係をいたずらに悪化させたくはありません。そのため、会社との対立がはっきりする裁判などの公的な手段を選ぶのではなく、よりソフトな手段を試みるのが適切だと考えられます。 まずは、会社の相談窓口への相談、もしくは労働組合が団体交渉してくれないか検討してみましょう。 社内の手段で解決が難しい場合でも、都道府県の労働局・労働委員会などに「あっせん」などの手段を活用することも考えられます。

どんな証拠を用意する必要があるのか

どの手続きを利用するとしても、「解雇された事実」を明らかにすることが出発点になります。まず「解雇された」事実を証明する証拠(解雇通知書や解雇理由証明書)を用意しましょう。 この他にも、不当解雇を争うための証拠はさまざまですが、選ぶ手続きによってそろえるべき証拠は変わってきます。

弁護士に相談したほうがいいの?

会社という組織と労働者個人では、交渉力・情報収集力などの面で圧倒的な差があります。自分で会社と交渉しようとしても、対等にことを進めることは容易ではありません。「不当解雇」を争おうと考えた場合、どの手段を選択するとしても、弁護士に相談することをおすすめします。

不当解雇が問題となるケースでは、同時に残業代や退職金が未払いになっていることが少なくありません。あわせて相談すれば、解雇の無効と同時に、こうした割増賃金・退職金を会社側に請求する手続きをとることができます。

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