
秘密は守られる?弁護士の守秘義務とは
弁護士は依頼人の利益を最優先にする法律の専門家ですが、正直に話せる相手だと思えなければ、安心して相談・依頼することは難しいでしょう。
依頼人の不安を解消するポイントとして、弁護士には守秘義務があります。依頼人のプライベートな事情を含めた秘密は、依頼人以外に漏れることはまずありません。
以下では弁護士の守秘義務について確認しましょう。
目次
弁護士の守秘義務とは
弁護士は「職務上知りえた秘密は守らなければならない」と法律上で義務づけられています。これを守秘義務といい、依頼人のプライベートな事情を含めた秘密は全て弁護士から外に漏れることはありません。
なぜ弁護士には守秘義務があるのか
弁護士にとって、守秘義務はなくてはならない義務であり、守秘義務が守られなければ成立しない職業ともいえます。
依頼人から見た守秘義務のメリット
弁護士に依頼する際は、秘密やプライペートな情報など他人に知られたくない情報も事細かにさらけ出さなければならない場合もあります。他人に喋ってしまう弁護士では安心して任せることはできません。
守秘義務があるからこそ、依頼人は安心して弁護士に依頼することができます。
弁護士から見た守秘義務のメリット
弁護士は依頼人からできる限り正確な情報を得ることで、正しい判断ができます。依頼人が「秘密が外に漏れるかも…」と思っているために正直に話せなければ、弁護士としても職務を全うできません。
得られる情報が少なければ少ないほど、依頼人の利益のために100%活動することはできないでしょう。守秘義務があることで、「秘密は守るので安心して相談してください」と言うことができ、弁護士は依頼人から全ての情報を包み隠さず伝えてもらいやすくなるのです。
家族にも秘密は守られる?守秘義務が及ぶ範囲とは
依頼人にとって、相談・依頼内容によっては「家族にバレるのでは?」と不安なケースもあるでしょう。基本的には、家族にも情報が漏れることはなく、秘密は守られます。
刑事事件などで「家族と情報を共有したい」場合も、その旨を弁護士に話して家族への守秘義務を解除するように申し出ない限り、相談・依頼内容が家族に漏れることはありません。
ただし「家族に内緒にしたい」と話して相談した場合に、事案によって依頼を受けてくれるか否かは弁護士によって判断が分かれる場合もあります。その場合は他の弁護士にも相談して意見を聞くとよいでしょう。
無料の法律相談にも適用される
金銭が発生するかは関係なく、例えば初回無料の法律相談で話した内容についても、その後、正式な依頼に至らなかったとしても守秘義務は適用されます。
他の弁護士にはバレないのか
相談・依頼内容によっては、同じ弁護士事務所内で最低限の情報が共有される可能性はあります。
ただし、争いがある場合に、依頼人と相手方が同じ弁護士に相談することはできません。また、弁護士が相手方の弁護士に情報を漏らすことはありません。そのため弁護士に相談・依頼したからといって、相手方の弁護士に情報が筒抜け、という状態はありえません。その他の無関係な弁護士にも情報が漏れるということはないでしょう。
弁護士が守秘義務に違反した場合
弁護士会の懲戒事由に該当するため、弁護士会から懲戒処分が科せられる可能性があります。場合によっては除名も考えられるでしょう。
悪質な場合は弁護士資格の剥奪も
弁護士法だけではなく、刑法にも守秘義務に関する規定があります。「秘密を漏らした」とみなされた場合は、罰則として「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。
また、弁護士法の定めにより、禁錮以上の刑(禁錮、懲役刑)となった場合は弁護士資格が剥奪されてしまいます。
このように、守秘義務に違反するとかなり重い処分となるため、「守秘義務は弁護士にとって重要な義務である」と思ってよいでしょう。