交通事故証明書とは?
交通事故証明書は、「交通事故があったこと」を証明する書類で、「自動車安全運転センター」という機関が発行しています。 証明書のサンプルはこちらから確認できます(山梨県の自動車安全運転センター発行)。 交通事故を警察に届け出ると、警察は、実況見分や現場の確認などをおこない、資料にまとめます。交通事故証明書は、この資料をもとに作成されています。 そのため、警察に事故を届け出ておかないと、発行してもらうことができません。 交通事故証明書は、保険会社に保険金を請求するときや、裁判になったときなど、さまざまな場面で必要になる重要な書類です。 どんな軽微な事故でも、交通事故にあった場合は必ず警察に連絡しましょう。
交通事故証明書の入手方法
交通事故証明書の発行を申請できる人
交通事故証明書の発行を申請できるのは以下の人です。
- 交通事故を起こした加害者
- 交通事故の被害者
- 交通事故証明書の交付を受けることについて正当な利益がある人
「正当な利益がある人」とは、たとえば、被害者が未成年の場合の親権者や、保険金の受取人などです。この他、代理人が申請する場合は、委任状が必要です。
交通事故に関わる書類の申請は、加害者や加害者が加入している任意保険会社がおこなってくれることが一般的です。加害者側が協力しない場合や、自賠責保険に被害者請求をおこなうときは、被害者が発行の手続きをすることになります。
申請の流れと費用
申請の方法は3つあります。
ゆうちょ銀行・郵便局で申し込む
申込み用紙は、自動車運転安全センターの事務所か、最寄りの警察署、交番、駐在所などで手に入れることができます。 必要事項を記入して、最寄りのゆうちょ銀行・郵便局に手数料を添えて申し込みましょう。 交付手数料は1通につき600円です。この他、払込手数料がかかります。 一回の申込みで同一の証明書は何通でも発行してもらうことができます。ただし、交付手数料は1通ごとに加算されます。 交通事故証明書は、申請した人の住所か、郵送を希望する宛先へ郵送してもらうことができます。申請をしてから10日ほどで届きます。
自動車安全運転センター事務所窓口での申込み
自動車安全運転センターの窓口で、窓口にある申請用紙に必要事項を記入の上、交付手数料を添えて申し込みます。申請用紙の書式は、都道府県ごとに異なります。 交通事故に関する資料が警察署から届いていれば、原則として即日発行してもらえます。 まだ警察から交通事故に関する資料が届いていない場合は、後日、申請者の住所か、郵送を希望する宛先に郵送してもらうことができます。 交通事故の発生場所がどの都道府県であっても、最寄りの自動車安全運転センター事務所で申し込むことができます。ただし、その場合は後日郵送されることなるのが一般的です。 全国の自動車安全運転センターの所在地は、この記事の後半にまとめています。 ゆうちょ銀行・郵便局と同様に、申請書1通で何通でも申込みが可能です。
インターネットからの申込み
自動車安全運転センターのホームページの中にある申請ページから申請します。 インターネットによる申請には以下のような注意事項があります。
- 交通事故の当事者本人(被害者・加害者)以外は申請できません。
- 交通事故発生時に警察に届け出た住所に現在も住んでいる場合に限り、申請できます。
申込み方法の流れは以下の通りです。
自動車安全運転センターのホームページの中にある申請ページに必要事項を入力して、交通事故証明書の発行を申し込みます。
申込みが完了すると、メールが送信されてくるので確認します。
交付手数料を支払います。1通につき600円で、コンビニ、金融機関のペイジー、ネットバンキングを利用して支払うことができます。
コンビニから支払う場合は、払込手数料として1通につき132円かかります。ペイジー支払いなどの場合は各金融機関への払込手数料が必要です。
交付手数料などの支払いは申込みから7日以内に行う必要があります。7日を過ぎると自動的にキャンセル扱いになります。
交通事故証明書は、原則として入金が確認されしだい郵送されます。入金確認から10日ほどで手元に届きます。
発行してもらえる期限
交通事故証明書は、人身事故については事故の発生から5年、物損事故については事故の発生から3年経過すると、原則として発行してもらうことができなくなります。
交通事故証明書に書く情報と甲乙欄の書き方
交通事故証明書には、交通事故の発生日時と場所、当事者の住所・氏名、事故類型(正面衝突や接触といった事故のパターン)などを記載します。 当事者の情報を書く欄には、甲と乙という2つのスペースがあります。一般的には、甲に加害者(過失割合が大きい方)、乙に被害者(過失割合が小さい方)の情報を書きます。 ただ、甲乙欄に書いた内容が、裁判などでの過失割合の判断に影響を与えることは考えにくいようです。甲に情報が書かれているというだけで、加害者(過失割合が大きい)と確定することはないでしょう。
相談者の疑問
交通事故の過失割合で揉めています。後々裁判になると思うのですが、交通事故証明書の甲乙記載欄は重要視されますか?
弁護士の回答中井 陽一弁護士
確かに、一般的には、甲欄の方が加害者側で、乙欄の方が被害者側という記載になることが多いようです。
しかしながら、交通事故証明書自体は、双方の過失について客観的に証明するものではないですし、甲欄・乙欄の記載が過失割合に影響を与える可能性はまずないと考えてよいでしょう。
以前、裁判官との研修会の際に、裁判官に「交通事故証明書の甲欄・乙欄が、過失割合の判断に影響を与えるか?」と質問したことがありますが、裁判官の答えは「全く影響ありません」とのことでした。
自転車事故でも必要?
交通事故証明書は、自転車事故に遭った場合でも発行してもらうことができます。
相談者の疑問
自転車で、道路の横断歩道のない部分を横断しようとした際、車の陰から走ってきたバイクと接触しそうになり、自転車を避けてバランスを崩したバイクが転倒しました。
接触はなく、自分と自転車は全く無事でした。警察を呼ぼうか迷ったのですが、転倒したバイクの運転手は目立った怪我もなく接触もなかったので、連絡先を交換し、後日バイク修理代の請求書を送ってもらうということでその場は別れました。
このような軽微と思われる事故でも警察を呼ぶべきなのでしょうか?警察を呼ばなかったことで考えられるリスクなどはあるでしょうか?
弁護士の回答大西 康嗣弁護士
何らかの事故があった場合は、とりあえず警察を呼ぶべきと考えます。警察を呼んでいないと、事故証明書が出ませんので、本来なら保険が使える場合でも、使えないなどのリスクが考えられます。
自転車事故の場合でも、交通事故証明書がなければ、保険が適用されないなどのリスクを負う可能性があるようです。警察への連絡と交通事故証明書の申請を忘れないようにしましょう。
都道府県別の交通事故証明書関連リンク集
都道府県によっては、警察署や県の公式サイトに、交通事故証明書の申請方法や使用例などの情報が記載されている場合があります。下記にリンクをまとめました。
青森県 | 青森県警察の公式サイト |
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秋田県 | 秋田県警察の公式サイト |
山形県 | 山形市の公式サイト |
福島県 | 福島県警察の資料 |
茨城県 | 茨城県警察の公式サイト |
栃木県 | 栃木県の公式サイト |
千葉県 | 千葉県警察の公式サイト |
神奈川県 | 神奈川県戸部警察署の公式サイト |
新潟県 | 新潟県の公式サイト |
山梨県 | 山梨市の公式サイト |
滋賀県 | 滋賀県警察の資料 |
京都府 | 京都府の公式サイト |
大阪府 | 大阪府警察の公式サイト |
兵庫県 | 兵庫県警察の公式サイト |
奈良県 | 奈良市の公式サイト |
和歌山県 | 和歌山県警察の公式サイト |
鳥取県 | 鳥取県の公式サイト |
島根県 | 島根県警察の公式サイト |
高知県 | 高知県の公式サイト |
福岡県 | 福岡県警察の公式サイト |
長崎県 | 長崎県警察の公式サイト |
鹿児島県 | 鹿児島県警察の公式サイト |
全国の自動車安全運転センターの所在地一覧
交通事故証明書の申請方法などについて疑問がある場合は、交通事故が起きた都道府県のセンター事務所に問い合わせることができます。地図や電話番号は以下のリンクから確認してください。 なお、北海道内には複数の自動車安全運転センターがあります。北海道警察ホームページを参照し、交通事故を取り扱った警察署が所属する方面のセンター事務所にお問い合わせください。
まとめ
「交通事故に遭ったが、加害者とどうやって交渉すればいいのかわからない」「保険会社から提示された賠償金が妥当な額なのか判断できない」…。このような悩みを抱えている人は、弁護士への相談を検討しましょう。 交通事故の賠償金の計算は複雑で、専門知識が必要です。また、示談交渉や後遺障害等級申請についても、ノウハウや経験の有無によって最終的な結果が変わる場合があります。 弁護士に依頼することで、加害者との示談交渉をはじめ、様々な手続きを代わりにおこなってもらうことができます。交通事故案件に精通した弁護士のサポートを受けることで、自分一人で奮闘するよりも手間やストレスをかけずに、より満足できる結果を得られるでしょう。