交通事故裁判

弁護士監修記事 2016年05月26日

交通事故裁判の流れ・期間・費用と遅延損害金について - 示談がまとまらないときの対処法

交通事故の被害者となり、保険会社と慰謝料や過失割合で示談しているものの、納得できない条件でまとまらないということも多いでしょう。裁判を起こすまで被害者の過失割合が100%であるとして譲らない保険会社さえ存在するのです。 裁判と聞くと躊躇してしまうかもしれませんが、交通事故の裁判は基本的に書面でのやりとりが多く、出廷回数も少ないのが特徴です。交通事故裁判の流れや費用、期間について学び、示談がまとまらないときには裁判も検討してください。

目次

  1. 交通事故裁判の流れ
    1. 方針の決定
    2. 提訴
    3. 争点整理
    4. 和解協議
    5. 判決
    6. 控訴・上告
  2. 交通事故裁判の期間
  3. 交通事故裁判の費用
    1. 訴訟費用
    2. 弁護士費用
  4. 遅延損害金の請求

交通事故裁判の流れ

保険会社との示談がまとまらないときには、最終的には訴訟を起こして裁判での解決を図ります。裁判は法律の素人が一人で闘うのが困難なため、弁護士に依頼することがほとんどです。まずは信頼できる弁護士を探しましょう。 裁判の流れは次のようになります。

  1. 方針の決定
  2. 提訴
  3. 争点整理
  4. 和解協議
  5. 判決
  6. 控訴・上告

それぞれ詳しく見ていきましょう。

方針の決定

裁判を起こす前に、保険会社とある程度のところまで示談を進めている場合がほとんどでしょう。もしまだ示談をしていない場合には、弁護士の方から一旦示談交渉に臨むよう促されるかもしれません。それは裁判を前に、保険会社から証拠を集めるという意味もあるのです。 また、示談を行えば、保険会社の提示額を知ることができます。裁判を起こした場合に予想される賠償額との差を考慮して、示談をまとめるのか、訴訟を起こすかを判断します。

提訴

裁判を選択した場合は、訴状を作成して裁判所に提訴します。弁護士に依頼している場合には、書類の準備が弁護士に一任でき、依頼者に負担は生じません。 ただし、この時点で弁護士費用は明確にしておいた方がよいでしょう。そして後日トラブルとならないように、委任契約書を作成します。

争点整理

裁判所に提訴すると、その1か月程度先に第1回期日が設定され、被告(保険会社)に訴状が送られます。それを受けて被告が「準備書面」や「答弁書」で争点を明らかにし、以降は弁護士と被告とが準備書面にて主張を闘わせます。 月に一度程度期日が設定され、弁護士が出廷し準備書面を提出します。期日では弁護士と被告、そして裁判官を交えて今後の進行ついて協議し、争点整理を進めます。 交通事故裁判では、テレビドラマのような法定での激しい弁論はなく、基本的には準備書面と証拠で闘うこととなるのです。

和解協議

争点整理が進み、証拠が出揃うと、多くの場合は裁判所から和解案が提示されます。和解となった場合には、一定の譲歩が必要となり、遅延損害金や弁護士費用を賠償金に含めることができないことも多い一方で、判決では原告の主張がどこまで認められるか不安なケースもあるでしょう。 判決となった場合の見通しを弁護士に聞き、和解に応じるかどうかを慎重に検討します。和解が成立すれば裁判はただちに終了し、保険会社からは保険金の支払いが行われます。

判決

和解に応じなければ判決が下ることとなります。証拠だけでは結論が出せない場合には、本人尋問や証人尋問が行われるケースもあります。判決が出て、敗訴した側が控訴しなければ裁判は終了となります。

控訴・上告

判決で一部でも敗訴した側は、2週間以内に控訴することが可能です。控訴する側が「控訴理由書」を、相手方が「答弁書」を提出して審理を行います。ほとんどの場合は1度の期日で終了し、再度和解協議を行うことが多くなっています。この場合も和解か判決という決着となります。 最高裁に上告することも可能ですが、最高裁では憲法違反などの特殊な事件のみを扱うため、交通事故の裁判は控訴止まりの「二審制」と考えてよいでしょう。

交通事故裁判の期間

交通事故裁判の期間は、地裁で和解した場合は半年強で終わることが多く、本人尋問などを経て判決となった場合では10か月から1年程度となるでしょう。近年では和解での解決が7割程度に上っており、他の事件に比べて短期間で解決すると言えます。

交通事故裁判の費用

裁判に必要な費用は、手数料や訴状の郵送料金などの訴訟費用と、弁護士費用の二つになります。交通事故の場合は、請求する金額が大きくなるので、どちらも高額になるケースが多いでしょう。しかし、勝訴すれば訴訟費用は全額被告が負担し、弁護士費用も請求額の10%まで被告に負担してもらうことが可能です。

訴訟費用

訴訟費用には、手数料に当たる印紙代や訴状の送付に必要な郵便料金、証人の旅費などが含まれます。手数料は請求する金額に応じて変わるため、裁判所の「早見表」をご覧ください。 郵便料金も裁判所によって異なりますが、概ね800円〜1,000円程度となります。

弁護士費用

弁護士費用は弁護士に相談した際に直接確認すべきですが、あらかじめ相場がわからないと相談すべきかどうかも不安な方も多いでしょう。弁護士ドットコムに掲載されている弁護士の料金表から、交通事故の弁護士費用の相場をまとめたので、詳しくは「交通事故の弁護士費用 - 示談や裁判、後遺障害認定などケース別の報酬相場」をご覧ください。

遅延損害金の請求

裁判では遅延損害金も賠償金に上乗せして請求することができます。遅延損害金とは、損害が事故の時点から発生しているのにも関わらず、未だ賠償金が支払われていないことに対して請求できる、言わば延滞料のことです。 交通事故では、事故日から賠償責任が発生すると考え、弁護士費用を含めた賠償額全体に対して、年率5%の単利計算を行います。一部賠償責任の発生日が事故日ではない場合もあるため、遅延損害金の計算は少々複雑になります。詳しくは依頼した弁護士にお聞きください。 賠償金額が大きい場合には、遅延損害金だけでも無視できない大きな金額となります。しかし、示談や和解の場合は、遅延損害金や弁護士費用の負担を加害者に求めることができないケースが多いのが実情です。遅延損害金も視野に入れて、示談、和解、判決の判断を行いましょう。

交通事故裁判は、他の事件に比べてハードルが低いと言えるでしょう。裁判を起こすことによって初めて適切な賠償を受けられるケースも多く、交通事故の被害に遭った場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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