交通事故

弁護士監修記事 2018年03月02日

後遺障害等級認定の結果に納得できない場合の対処法【異議申立て】

後遺障害等級認定を受けたけれど結果に満足できない場合、等級認定を審査した機関に異議を申し立てることによって結果を変更してもらえる可能性があります。

  • 異議申立ての手続きの流れ
  • 変更を認めてもらうためのポイント
  • 異議申立て以外の手段

記事ではこうした点について解説します。等級認定の結果に不満がある方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 異議申立てとは?
    1. 後遺障害等級認定の申請を審査した機関と同じ機関が担当する
    2. しっかりとした準備が必要
    3. 異議申立書の書き方
    4. 必要書類を提出する機関
    5. 審査結果
    6. 異議申立ての結果に納得できない場合
  2. 異議申立て以外の対処法
    1. 自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理を申請する
    2. 裁判手続きを利用する

異議申立てとは?

異議申立ては、後遺障害等級認定結果に納得できない場合、もう一度審査してもらいたいときに利用する手続きです。 異議申立ては、保険会社を通じて、「損保保険料率算出機構(損保料率機構)」に審査を申し立てます。 alt 損保料率機構は、提出された書類をもとに、後遺障害等級認定の結果が妥当かどうか判断します。

後遺障害等級認定の申請を審査した機関と同じ機関が担当する

そもそも後遺障害等級認定は、自分で申請手続きを進める場合(被害者請求)には、加害者の加入する自賠責保険会社に申請して、損保料率機構に調査してもらうという手続きの流れです。 alt 加害者が加入する任意保険会社に手続きを任せる場合(事前認定)でも、調査するのは、やはり損保料率機構です。 alt つまり、異議申立てでは、等級認定を審査した機関と同じ機関が、等級の変更を認めるかどうか審査することになります。

しっかりとした準備が必要

異議申立てで望む結果を得ることは難しいが…

異議申立てによって、自分が望む等級に変更してもらうことは容易ではありません。 その難しさは、統計からもわかります。損保料率機構の平成26年度の統計によると、審査件数12,193件のうち、等級が変更されたのは760件のみです(異議申立て事案以外も含む)。 こうした統計を見ると、「異議申立てをしてもほとんど結果が変わらないのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。 しかし、等級を変更すること(あるいは非該当から等級を認めること)がもっともなケースまで異議申立てが認められないわけでありません。 たとえば、等級認定を申請するときに提出した「後遺障害診断書」の記載がそもそも十分でなかった場合や、必要な検査が実施されていなかったという場合です。 これらのケースは、本来であれば、等級認定に考慮されるはずの理由を審査機関に対してしっかり示せていなかったことになります。 異議申立てで、十分に記載された後遺障害診断書や必要な検査結果の書面を示せば、認定の結果が変更される可能性はあるといえるでしょう。

どんな準備が必要なのか

具体的には、新たに医師の診断を受け、検査を受けることなどによって、望む等級を認めてもらうための根拠となる書類を集めることです。 異議申立ては、提出された書類だけをもとに審査されるため、書類の準備が重要になるのです。 改めて主治医の診断を受け、自分の症状を正確に述べ、等級認定で納得のいっていない点を伝えましょう。 そのうえで、必要な検査があれば実施してもらい、その結果を反映した後遺障害診断書を書いてもらいましょう。医師の考えを述べた「意見書」を書いてもらうこともできれば、併せて提出しましょう。 これまでの主治医だけでなく、別の医師からセカンドオピニオンを得ることを検討してもよいでしょう。

異議申立書の書き方

異議申立ての際は、新たな証拠とともに、「異議申立書」という書面を提出します。書式は、後遺障害等級認定の結果を知らせる通知に同封されていることが一般的です。 alt 異議申立書には、次の項目を記入します。

保険会社名

後遺障害等級認定の手続きを自分で行った場合(被害者請求)は、加害者が加入する自賠責保険会社に提出します。 後遺障害等級認定の手続きを任意保険会社に任せていた場合(事前認定)は、加害者が加入する任意保険会社に提出します。

申立人

自分の住所、氏名、電話番号を記載し、氏名の横に印鑑を押します。

証明書番号

自賠責保険の証券番号を記載します。証券番号は、「交通事故証明書」に記載されています。 交通事故証明書は、簡単に言えば「交通事故があったこと」を証明する書類です。事故の発生日時や当事者、現場の状況などの情報がまとめられています。

事故発生年月日

事故が起きた日を記載します。

添付資料

異議申立書と一緒に提出する新たな資料の名称を記載します。

異議申立ての趣旨

後遺障害等級認定の結果が通知された書面に、認定結果と理由が記載されています。結果や理由部分のどの部分に異議があるのか、自分の意見とその理由を記載します。 たとえば、しびれやまひなどの神経症状の後遺障害について、認定結果が14級(神経症状)だったケースを、12級(頑固な神経症状)に変えてほしいケースを考えてみましょう。 この場合、「腕の神経症状について、14級と認定されたが、12級が相当である」などと主張し、検査結果や医師の所見、本人の自覚症状などを記載します。

必要書類を提出する機関

後遺障害等級認定の手続きを自分で行った場合(被害者請求)

加害者の加入する自賠責保険会社に提出します。

任意保険会社に任せた場合(事前認定)

加害者が加入する任意保険会社に提出します。

審査結果

各保険会社を通して通知されます。

異議申立ての結果に納得できない場合

異議申立てに回数の制限はありません。異議申立ての結果に納得できない場合、何度でも異議申立てができます。 ただし、繰り返し異議申立てを行ったとしても、望む等級に変更してもらえる可能性が高まるわけではありません。 また、異議申立てを繰り返している間に、交通事故の賠償を求める権利が時効で消えてしまうリスクもあります。 新たに追加する証拠などがない場合は、別の手段を検討することをお勧めします。

異議申立て以外の対処法

自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理を申請する

紛争処理も、後遺障害等級認定の結果が妥当だったかどうかについて、あらためて審査する手続きですが、審査する機関が異議申立てと異なります。 異議申立てを審査する機関は損保料率機構で、後遺障害等級認定を審査する機関と同じ機関でした。一方、紛争処理は、自賠責保険・共済紛争処理機構という機関が実施します。 alt 後遺障害等級認定を審査した機関とは異なる機関が審査するため、客観的で公正な審査が期待できます。 一方、異議申立ては何度でも申し立てることができるのに対し、紛争処理は一回しか利用することができません。 この他、必要書類や手続きの詳細については、自賠責保険・共済紛争処理機構の公式ホームページで詳しく紹介されています。

裁判手続きを利用する

異議申立てや紛争処理を利用しても望む等級に変更できなかった場合、最終的には裁判で争うことになります(異議申立てや紛争処理をせずに、最初から裁判で争うことも可能です)。 裁判所は、損保料率機構で認定された後遺障害等級認定の結果を証拠として参考にするため、裁判で主張する等級を認めてもらうことは容易ではありません。 また、異議申立てや紛争処理と異なり、裁判所は、後遺障害等級認定が適切だったかどうかという点だけを判断するわけではありません。 事故に対する責任の程度(過失割合)や後遺障害以外の損害額など、その交通事故で争点となっている全ての点について、判決という形で判断を示します。 こうした点からすると、法律家ではない個人が裁判で裁判官を納得させるだけの証拠を示し、望む結果を勝ち取ることは非常に難しいといえるでしょう。裁判で等級認定の結果を覆したいと考えている方は、弁護士に依頼することをおすすめします。

次に読みたい記事

交通事故紛争の交渉を弁護士に依頼するときに必要な費用の相場

交通事故の被害にあって保険会社(加害者)に賠償を求めて示談交渉などを進めていく際、弁護士に交渉を依頼することを考える人もいるでしょう。 この記事...

交通事故の被害回復を弁護士に依頼することのメリット

交通事故の被害にあって保険会社と示談交渉するとき、弁護士に交渉を依頼することで適切な賠償(保険金)を受けられる可能性が高まります。 * 交渉を任せ...

あわせて読みたい関連記事

【交通事故】後遺障害等級認定が認められる可能性を弁護士が症状別に解説

交通事故のケガの治療、医師から症状固定(これ以上治療を続けても症状が改善しない状態)を告げられた後は、後遺障害等級認定の手続きを進めていくことにな...

被害者請求で後遺障害の等級を認めてもらうためのポイントと手続きの流れ

被害者請求は、交通事故の被害者自身が、自賠責保険の請求を行うことです。後遺障害の等級を認定してほしい場合は、等級認定の申請手続きも進めていくことに...

解決までの流れ

解決までの全記事

解決までにすべきことを確認する

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼
費用対処方針比べて選ぶことができます。

  • 弁護士費用がいくらかかるか知りたい
  • 弁護士の選び方がわからない
  • 弁護士が何をしてくれるか知りたい
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

交通事故を扱う弁護士を探す

交通事故に関する法律相談

  • 娘のおこした事故の賠償金は支払い能力がないと車の所有者である親に請求くるのでしょうか?

    娘が任意保険未加入で事故をおこしました。信号待ちで停車中の車に低スピードで接触し相手の方が首の痛みを訴えられて人身事故となりました。自賠責保険の方で対応してもらいましたが相手の...

    4弁護士回答
  • 人身事故 検察呼び出し

    人身事故の検察呼び出しについて教えてください。 人身事故でも過失運転致傷の場合、不起訴率が高いようですが、検察呼び出し後に不起訴になることが一般的な流れでしょうか? それとも検...

    3弁護士回答
  • 今年始めた店舗の休業補償

    損害賠償請求は昨年の年収等で算出するそうですが 今年商売を始めたばかりの店舗に車が突っ込んで店が壊れたら 店は直してもらっても 店舗の休業損害は 昨年実績がないと 保証してもらえ...

    2弁護士回答
  • 今までありがとうございました 刑務所

    刑務所前の相談。ひき逃げと無免許運転の代償相談… 半年前 通勤途中車同士で軽く接触しましたが場離れてしまいひき逃げになりました。 すぐに警察連絡し 現場に戻りましたがだめでし...

    1弁護士回答
  • 事故による後遺症が認定されるのか教えてください

    事故により、右足甲を骨折し右足甲にしびれが残りました。 主治医は改善される見込みはあるが極めて低いというコメントでした。 足の甲は感覚神経の異常だそうです。レントゲン、MRIともに所...

    2弁護士回答
1 2 3 4 5 ... 30 ... 50

法律相談を検索する

交通事故の法律ガイド

関連カテゴリから解決方法を探す

弁護士に相談しようと思ったら…

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼

  • 最短3分で依頼完了
  • 依頼内容は非公開
  • 分野に詳しい弁護士から見積り依頼が届く
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

交通事故のニュース

  1. 「いじめの時効」はいつか…中学時代の同級生...
  2. 国内最悪「時速235キロ」で高速道路暴走した...
  3. 高速道路の落下物「年30万件」以上…タイヤ原...
  4. 高齢ドライバー対策、自動ブレーキ車など「限...
  5. 東名夫婦死亡事故、進路妨害した容疑者の「危...
  6. ひき逃げ事件「人をひいた認識はない」男性に...
  7. うちの車に便乗したがる図々しい「ママ友」、...