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死亡事故

2018年01月30日

【交通事故】親族が死亡事故の被害にあった場合の解決までの流れ

親族が交通事故で亡くなった場合、突然のことで何をすべきか考えられないかもしれませんが、葬儀の手配や保険金の請求など、進めなければならないことは少なくありません。

  • 死亡事故の遺族がまずやること
  • 保険会社との示談交渉の流れ
  • 加害者に厳罰を望む場合にできること

ここでは、こうしたポイントについて触れつつ、死亡事故の争いの解決までの流れを詳しく解説します。

目次

  1. 親族が交通事故で死亡したときにまずやること
  2. 任意保険会社との示談交渉
  3. 示談交渉がまとまらない場合
  4. 加害者の刑罰/行政上のペナルティ

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親族が交通事故で死亡したときにまずやること

交通事故の連絡を受けて病院に駆けつけたら、遺体と対面し、本人確認が済んでいない場合には本人確認を行います。 警察による遺体の確認が終わると、死亡診断書または死体検案書が渡され、遺体を返してもらえます。 死亡診断書または死体検案書を添付して死亡届を役所に提出すると、火葬許可証がもらえますので、葬儀を行うことができます。 葬儀の手続きは、葬儀会社と打ち合わせをして進めていきます。葬儀会社は病院が紹介してくれることもあります。

葬儀費用も賠償金として支払ってもらえる

葬儀費用をいったん自分で支払ったとしても、後で加害者に賠償金として支払いを求めることができます。領収書など、支払った金額の証拠となるものは保管しておきましょう。 実際に「どのような形で、いくら支払ってもらえるのか」という点や、「葬儀費用を立て替えるお金が足りない場合はどうすればよいのか」といった疑問については、次の記事で詳しく説明しています。

葬儀の他にやっておくべきこと

年金や健康保険、携帯電話やクレジットカードの解約など、死亡に伴う手続きも忘れないようにしましょう。

相続との関係

被害者が亡くなった場合、被害者の財産(遺産)について相続の手続きもしなければなりません。 被害者が生前に遺言書を残していれば、原則として遺言の内容に従って遺産を相続することになります。 一方、遺言書がない場合、誰がどの程度遺産を相続するかは、法律のルールで決まります(法定相続)。 alt 誰が法定相続人にあたるかは、配偶者(夫・妻)や子どもがいるかなど、亡くなった方(被相続人)の家族構成によって異なります。 まず、どのような家族構成であっても、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。 その他の相続人は、大きく「子ども」「親」「きょうだい」という3つのグループに分けられます。 この3つのグループには、相続できる権利について優先順位がつけられています。一番優先順位が高いのが、子どものグループ(第1順位)、次が親のグループ(第2順位)、最後がきょうだいのグループ(第3順位)です。 「優先順位が高い」というのは、「優先順位の高いグループがいる場合、優先順位の低いグループは相続人にならない」という意味です。 たとえば、被相続人に子どもが一人でもいる場合、被相続人の親(もしくは祖父母)が健在であっても、相続人にあたりません。親は、子ども(もしくは孫)がいない場合に、はじめて相続人になることができます。 同様に、きょうだいは、被相続人に子どもがおらず、親(もしくは祖父母)が一人もいない場合のみ、相続人にあたります。 相続手続きについて詳しくは、次の記事で解説しています。

遺族への事情聴取

死亡事故の場合、加害者は過失運転致死罪などの罪に問われる可能性があるため、警察が刑事事件として捜査をします。捜査の一環として、遺族に事情を聞くことがあります。 事情聴取では、「被害者がどのような人物だったか」「被害者が事故当時何をしていたか」「加害者に厳罰を望むか」といったことなどが聞かれます。 捜査機関に思いを伝えられる数少ない機会なので、遺族の気持ちをしっかりと伝えた方がよいでしょう。

任意保険会社との示談交渉

加害者が任意保険に加入している場合、事故の賠償金は保険金の形で支払われることになります。 死亡事故の場合、四十九日が過ぎた頃、保険会社の担当者から保険金の支払いについて連絡が来ることが一般的です。 死亡事故の示談交渉を開始するタイミングについては、次の記事で詳しく解説しています。

任意保険と自賠責保険

加害者は通常、交通事故に備えて保険に加入しています。交通事故が起きた場合、加害者の代わりに、保険会社の担当者が保険金の支払いについて手続きを進めることになります。 そもそも、保険金がどのような形で支払われるのか、基本的な部分を確認しておきましょう。 交通事故の賠償に関する保険は2種類あります。1つは「自動車損害賠償責任保険(自賠責)」で、すべての自動車が加入することが法律で義務づけられています。 もう1つは、ドライバーがそれぞれ任意で加入する損害保険(任意保険)です。 自賠責から支払われる保険金には限度額があります。事故の損害が限度額を超える場合、その超える部分の賠償金が任意保険から支払われます。 加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社の示談代行制度によって、保険会社の担当者が示談交渉を代行してくれるため、被害者側が加害者本人と示談交渉することは原則としてありません。 任意保険会社の担当者は、自賠責から支払われる賠償金も含めて保険金の提案をします。先に被害者にまとめて支払いをしてから、後で自賠責の分を自賠責保険会社に請求します。このような任意保険会社の対応を「一括対応」といいます。 一括対応は、被害者からすれば、任意保険会社だけを手続きの相手にすればいいので、「手続きの負担が軽い」というメリットがあります。 しかし、話合いがまとまらない場合には、保険金の支払いが遅くなるというデメリットもあります。 被害者遺族としては、必要な手続きの対応をしつつ、提案された賠償額について保険会社と話し合うことになります。このように話合いで解決することを「示談」といいます。 保険金は通常亡くなった方の相続人に対して支払われます。相続人が複数いる場合には、窓口となる代表者を選び、保険会社との交渉を代表者へ委任することで、代表者と保険会社の担当者が交渉することになります。

加害者が任意保険や自賠責に入っていない場合

このように、加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社が手続きの窓口になってくれますが、任意保険に加入していないドライバーも一定数存在します。 そのような場合は、遺族自ら加害者本人と交渉を進めたり、自賠責の保険金を請求する手続きをしたり必要がある場合もあります。 また、なかには、自賠責にすら加入していないというケースもあります。 加害者が保険に加入していない場合の対処法、手続きの進め方については、次の記事で詳しく解説しています。

誰が話合いをするのか

示談交渉できるのは本来、被害者本人ですが、死亡事故の場合には被害者が亡くなっています。そこで、遺族のうち、被害者の財産などを相続する権利を持つ人(相続人)が、保険会社と交渉することになります。

相続人は誰か?

もし遺言がある場合には、遺言の指示に従います。遺言がない場合に誰が相続人となるかについては、次の記事で詳しく解説しています。

賠償額を提案される

保険会社から提案される賠償額の内訳(費目)は、大きく次のとおりです。

  • 死亡にいたるまでの治療費
  • 葬儀費用
  • 逸失利益
  • 慰謝料

死亡にいたるまでの治療費

被害者が亡くなる前に治療を受けていた場合には、その間の治療費と、治療で働けなかった期間の休業損害も賠償金に含まれます。

葬儀費用

葬儀費用には、式典にかかる費用の他に、お墓を建てる費用や仏壇を購入する費用も含まれることがあります。式典に参列する人のために用意する食事の費用や、香典返しは含まれません。

慰謝料

慰謝料とは、精神的な苦痛に対する賠償金のことをいいます。被害者本人が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は、相続人が相続して請求することができます。 本人の慰謝料とは別に、被害者に近い関係にあった人が被害者が亡くなったことにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料(遺族固有の慰謝料)も認められています。 遺族固有の慰謝料が認められるのは、次のような人です。

法律で認められている・父母
・配偶者
・子

裁判例で認められている・祖父母
・兄弟姉妹
・義理の妹
・姪
・内縁の配偶者
・養子縁組をしていない夫の連れ子

これらの立場にある人にすべて遺族固有の慰謝料が認められるわけではなく、事案ごとに認められるかどうか判断が分かれています。

具体的にどのような場合に認められるのかという点については、次の記事で詳しく解説しています。

慰謝料の金額がいくらになるのかについては、次の記事で詳しく解説しています。

逸失利益

逸失利益とは、被害者が生きていれば得られたはずの利益のことをいいます。被害者の年齢や収入、生活費に応じて金額が変わります。 たとえば、次のような男性の場合、裁判で逸失利益として認められる額は、約6150万円となります。

・男性
・40歳
・会社員
・年収600万円
・67歳まで働けた
・妻と子どもあり

単純に、年収600万円に27年(67-40)をかけると、1億6200万円になるはずですが、なぜこうした額の差が生じるのでしょうか。具体的な計算方法は次の記事で詳しく解説しています。

逸失利益は賠償金の中でも金額が大きい費目なので、保険会社から提案された額が、どのような計算で算出されたのか、自分でも理解できるようにしておいた方がよいでしょう。

保険会社と交渉するときに知っておくべき賠償額の基準

任意保険会社は、これまで説明してきた葬儀費用、慰謝料、逸失利益、死亡にいたるまでの治療費をまとめて賠償額として提案します。 任意保険会社が提案する賠償額は、裁判で認められている賠償額(裁判基準)よりも低いことが一般的です(任意保険基準)。 そのため、任意保険会社と交渉を進める上で、「裁判基準であれば賠償額はいくらなのか」ということを把握しておくことが重要といえるでしょう。 裁判基準とは、裁判例をもとにした基準で、日弁連交通事故相談センターが発行している「損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)という本で見ることができます。そのため、「弁護士基準」「日弁連基準」と呼ばれることもあります。

自賠責が定める自賠責基準という基準もあります。被害者救済のための最低限の金額が保証されています。自賠責基準はインターネット上で見ることができます。

任意保険会社からの提案に納得しない場合

  • 裁判基準で賠償額を計算してほしい
  • 逸失利益の計算の元となる年収などの額がおかしい
  • 過失割合に納得できない

それぞれの場合の対応について説明します。

裁判基準にしてほしい

裁判基準を確認すると、任意保険会社からの提案が低額に思えて納得できないことが多いと思います。 この場合、まずは任意保険会社の担当者に、裁判基準ではこのくらい認められるはずだということを伝えてみましょう。 事案によっては、賠償額を増額してくれる場合もあります。

逸失利益の計算の元となる年収などの額がおかしい

逸失利益を計算するには、年収や、年齢、家族構成、仕事をすることができた期間など、様々な数値が必要です。 たとえば、被害者が会社員で年収が一定の場合には、逸失利益は計算しやすいでしょう。 もし被害者が個人事業主で、年収が年によって変動する場合には、年収をいくらとして計算するかについて意見の対立が生じやすくなります。 また、年収以外の数値についても、書き間違いによる計算間違いということもあるので、間違いがないか1つ1つ確認しましょう。 もし年収が違うと思ったり、書き間違いなどがあった場合には、まずは任意保険会社の担当者に伝えましょう。書き間違いであれば訂正してもらえるでしょう。 年収については、年収を証明する書類の提出が求められます。源泉徴収票や確定申告書などを用意して、論理的に担当者を説得できることが必要です。

過失割合に納得できない

過失割合とは、加害者と被害者のどちらにどれだけの落ち度があったかという割合のことです。この割合に応じて、賠償額の減額がされます。 たとえば、加害者の過失が90%、被害者の過失が10%、賠償額が1000万円の場合、加害者が被害者に支払う賠償金は900万円となります。 このように過失割合に応じて賠償額を減額することを「過失相殺」といいます。 死亡事故の被害者でも、たとえば赤信号無視や脇見運転など、過失があったとされる場合には、過失割合を多く取られることがあります。 過失割合は、慰謝料や逸失利益などと同じように、裁判基準によってある程度定型化されています。 過失割合に疑問がある場合、裁判基準で似たような状況の過失割合を調べて、任意保険会社の提案が妥当かどうか検討するとよいでしょう。 事故当時の状況がわかる証拠を集めることも必要です。事故当時のドライブレコーダーの録画や、目撃者の証言などがあれば役に立つでしょう。 その他に有力な証拠として、刑事裁判の判決や、警察や検察が集めた証拠をまとめた刑事記録があります。 刑事記録が必要となる場合は、不起訴処分や判決が確定するまで話合いを待つ場合があります。 刑事裁判が行われずに不起訴になった場合には、検察庁に刑事記録のコピーを求めることができます。

事故状況に争いがあり、刑事記録が証拠として必要になるような紛争では、交渉の過程で専門的な知識が必要となることも少なくありません。保険会社と交渉を進めていくことに不安がある方は、刑事記録の入手も含めて紛争の解決を弁護士に依頼することを検討してもよいでしょう。

刑事記録を手に入れるべきかどうかは慎重に判断を

加害者に対して不起訴処分の判断がされる、あるいは刑事裁判で判決が確定するまでは、時間のかかるケースが少なくありません。 また、せっかく刑事記録を取り寄せても、思ったとおりの事情が書かれておらず、自分の言い分を通すための証拠としては決め手にならない場合もあります。 時間をかけてでも刑事記録を取り寄せるべきかどうかは、事前によく検討した方がよいでしょう。

示談交渉に時間がかかるが、経済的に余裕がない場合

話し合いに時間がかかってしまうけれど経済的に余裕がない場合、当面の生活費などにあてるお金を受け取る方法が大きく2つあります。 1つは、任意保険会社の担当者に、保険金の一部を先に支払ってもらう方法です。 先ほども述べたように、任意保険会社は、通常、任意保険会社が支払うお金と自賠責保険会社が支払うお金の両方をまとめて被害者に支払い、自賠責の分を後から自賠責保険会社に請求するという対応をとります(一括対応)。 自賠責の範囲内であれば自賠責保険会社から回収できるため、交渉次第で任意保険会社が先に支払いをしてくれる可能性はあります。 任意保険会社の担当者に交渉してみたけれど応じてもらえない場合には、「被害者請求」という手続きを進めることが考えられます。 被害者請求とは、被害者側自身が自賠責の保険金支払いの手続きを進めることをいいます。任意保険の示談交渉がまとまらない段階でも、先に自賠責から賠償金を支払いを受けることができます。 被害者請求で支払ってもらえる金額は、被害者1人につき3000万円が上限です。ひとまず3000万円の範囲で賠償金を受け取ることで、3000万円を超える部分について、時間をかけて任意保険会社と示談交渉ができるようになります。 具体的な手続きについては、次の記事で詳しく解説しています。

任意保険会社の提案を受け入れる場合

もちろん任意保険会社が提案した賠償額が裁判基準よりも低額だとわかった上で、あえて任意保険会社からの提案を受け入れることも可能です(示談成立)。 この場合のメリットは、示談交渉が早く終わるということです。また、裁判費用や弁護士費用がかからなくて済むということも考えられます。 裁判となれば、1年以上かかるケースも少なくありません。 ただし、示談が一度成立してしまうと、原則として後からやり直すことはできません。保険会社からの示談提案を受け入れるかどうかは、慎重に決めることをおすすめします。

示談交渉がまとまらない場合

保険会社や加害者と示談交渉を重ねても折り合いがつかない場合、取ることができる方法は主に3つあります。

  • 「ADR(裁判外紛争解決手続)」を利用する
  • 弁護士に交渉を依頼する
  • 裁判を起こす

ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する

「ADR(裁判外紛争解決手続)」とは、示談交渉がまとまらないときに、公正中立な第三者が間に入り解決を目指す裁判以外の手続きのことをいいます。 交通事故の場合に、主に利用されているADR機関は「交通事故紛争処理センター」と「日弁連交通事故相談センター」の2つです。どちらも無料で利用できます。 この2つのADRでは、弁護士による無料相談を実施しています。弁護士は保険会社からも話を聞いた上で、「この内容で示談したらどうですか」という解決案を提案します。解決案に被害者遺族も保険会社も納得できれば、示談が成立します。 解決案に納得ができない場合には、審査会による「審査」を申し立てることができます。審査会は「この内容で示談すべきである」という「裁定」を出します。 交通事故紛争処理センターを利用した場合には、被害者が同意した場合、保険会社は原則として裁定に従わなければなりません。 ADRによって、利用の条件が異なります。それぞれの場合に合った適切な機関を選びましょう。

弁護士に相談する

ADRの法律相談でも無料で弁護士に相談することができますが、自分で弁護士を探して個別に法律相談をすることもできます。 ADRの担当弁護士は、公正中立な立場からアドバイスや解決案の提案をしますが、個別に弁護士に相談する場合には、「あなたの味方」としてアドバイスをもらうことができます。 また、早い段階から相談をすれば、保険会社との示談交渉の段階からアドバイスを受けることができます。

弁護士に示談交渉を依頼する

法律相談をして弁護士のことを信頼できると感じたら、弁護士に示談交渉を依頼するのもよいでしょう。保険会社が加害者の代わりに交渉を進めるのと同じように、弁護士があなたの代わりに交渉を進めてくれます。

弁護士特約

弁護士に示談交渉を依頼したいけれど、弁護士費用の負担が心配な場合には、自分の自動車保険や火災保険に「弁護士特約」がついていないか確認しましょう。 弁護士特約とは、弁護士費用を負担する保険の特約のことをいいます。弁護士特約を利用すると、ほとんどの場合、弁護士費用の実質負担がなく弁護士に依頼することができます。 弁護士特約は自動車保険や火災保険についていることが多く、300万円を限度に弁護士費用をカバーする内容になっていることが一般的です。 被害者が加入していた保険の弁護士特約を使うこともできますし、被害者遺族やその家族の弁護士特約を利用することができる場合もあります。 弁護士に依頼したいと考えている場合には、弁護士特約がついていないか確認するとよいでしょう。

裁判

裁判では、当事者が、証拠を提出するなどして、自分の言い分を裁判官に認めてもらうための活動を行ないます。裁判官は、それぞれの言い分を証拠によって吟味して、「判決」という形で判断を示します。 ADRは、歩み寄って妥協点を目指す手続きなのに対して、裁判はお互いの主張を述べて、白黒はっきりつけて解決する手続きです。 自分の言い分を認めてもらうためには、証拠に基づいて「その言い分が事実である」ということを証明する必要があります。 裁判は手続きは厳密で、訴状の書き方や証拠の集め方、証人尋問や本人尋問の対処法など、専門知識や訴訟技術が求められます。 そのため、経験の乏しい個人が一人で裁判に臨んでも、期待どおりの金額が認められない可能性があり、弁護士に依頼することが一般的です。

加害者の刑罰/行政上のペナルティ

民事以外にどんな責任を負うのか

交通事故を起こした場合に加害者が負う責任は3つあります。 1つはこれまでに説明した賠償責任です。これは民事上の責任です。2つめは行政上の責任で、運転免許に関するものです。3つめは刑事上の責任(刑罰)です。 これらの手続きはバラバラに行われます。そのため、加害者が行政上や刑事上どのような責任を負わされたかを知りたい場合には、被害者側が情報を求めなければなりません。 alt

刑事上のペナルティ

加害者はどんな罪に問われるのか

交通事故で最も多いのは「過失運転致死罪」です。過失運転致死罪は、7年以下の懲役、禁錮または100万円以下の罰金とされています。 運転の態様が飲酒運転、薬物運転、著しい高速運転、妨害運転、赤信号無視、など悪質な場合には、「危険運転致死罪」が適用され、1年以上20年以下の懲役という重い刑罰が科される可能性があります。

被害者が関与できる手段

加害者を起訴できるのは検察官だけです。そして、起訴された加害者(被告人)の刑罰を決めることができるのは、裁判官(裁判員)だけです。 被害者が刑事手続に関与できる手段として、以下の制度が用意されています。

  • 被害届、告訴、上申書
  • 被害者等通知制度
  • 検察審査会
  • 被害者参加制度
  • 裁判傍聴、裁判記録の取り寄せ
加害者を捕まえて欲しい(被害届/告訴)

被害届とは、犯罪の被害にあったことを捜査機関に申告する書類です。 告訴とは、犯罪の被害者や親族が、捜査機関に犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示のことをいいます。 交通事故の場合には、当事者が警察に通報するのが通常なので、被害届の提出が問題になることはあまりないでしょう。ひき逃げなどの場合に利用することになります。

起訴してほしい(事情聴取/上申書の提出)

警察官が遺族に事情を聴くときに、加害者に厳罰を望むかどうかといったことを聞かれることがあります。このときに厳罰を望むことを伝えると、供述調書に記載され、検察官や裁判官の目に入ることになります。 また、事情聴取とは別に、厳罰を望む旨の上申書(検察官に宛てた手紙のような書類です)を検察官に提出する方法もあります。 「被害者が厳罰を望む」旨の供述調書や上申書は、検察官が起訴不起訴の判断をしたり、裁判官が加害者の量刑を決めたりする際に考慮されることがあります。 加害者が起訴されたかどうかは「被害者等通知制度」を利用することで知ることができます。被害者等通知制度では、起訴されたかどうかの他に、刑事裁判の結果や、加害者が刑務所に入った場合の出所時期なども知ることができます。 加害者が不起訴処分となった場合で処分に納得がいかないときには、検察審査会に異議申立てをすることができます。

裁判を見たい(裁判傍聴、裁判記録の取り寄せ)

裁判は公開の法廷で行われるので、誰でも傍聴することができます。 ただし、事故が報道されるなどして傍聴希望者が多い場合には、抽選により傍聴券が配布されます。その場合にも、被害者遺族が傍聴の申し出をした場合には、裁判長は被害者遺族が傍聴できるように可能な限り配慮しなければならないことになっています。

刑事裁判に参加したい(被害者参加制度)

被害者参加制度とは、一定の事件の被害者や遺族などが刑事裁判に参加して、被告人質問や意見陳述などができる制度のことをいいます。 刑事裁判は通常、加害者(被告人)と検察官、裁判官により行われ、被害者(遺族)は蚊帳の外に置かれてきました。 被害者(遺族)が事件の当事者として裁判の経緯や結果を見守り、裁判に適切に関わることができるように被害者参加制度が作られました。 被害者参加制度では、公判期日に出席するほか、証人尋問や被告人質問、意見陳述ができます。 被害者参加をするには、検察官を通して参加を申し出る必要があります。

被害者ホットライン

被害者が検察庁へ気軽に問い合わせができるように、専用電話として「被害者ホットライン」が設けられています。 事件記録を見たい場合や証拠品を返してほしい場合など、刑事手続に関するあらゆる相談に対応しています。 電話だけでなく、ファックスでの相談もできます。

行政上のペナルティ

死亡事故の加害者は、これまでに交通違反をしたことがなかった場合でも、原則として免許が取り消されることになります。少なくとも1年間は、再び免許を取得することができません。 免許取消処分について、刑事裁判のように被害者が関わることができる制度はありません。

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