交通事故紛争処理センターを利用するための手続きと流れ

交通事故紛争処理センターは、交通事故の紛争を解決するための代表的なADR(裁判外紛争解決手続き)を行う機関です。法律相談や和解あっせんなど、解決に向けたサポートを無料で行ってくれます。 この記事では、交通事故紛争処理センターを利用するために必要な手続きや、和解あっせんの流れ、和解あっせんが不成立(不調)に終わった後の審査手続きまで解説します。

目次

  1. 交通事故紛争処理センターとは
  2. 相談の予約をする
  3. 必要書類を準備する
  4. 法律相談
  5. 和解あっせん
    1. 和解あっせんが終了する場合
  6. 和解あっせんが不調に終わった後の手続き(審査)

交通事故紛争処理センターとは

交通事故紛争処理センターは、交通事故の争いを扱うADR機関の中で最も利用されている機関で、無料で法律相談や和解あっせんを受けることができます。あっせんで和解することが難しい場合、審査会という組織が一定の結論を示す審査手続きをすることもできます。 任意保険会社(と一部の共済組合)は審査の結果(裁定)を尊重する義務があります(事実上の拘束力があります)。 つまり、審査会の示した結論を被害者が受け入れれば、保険会社・共済組合はその結論に拘束され、審査会の示した結論で示談(和解)が成立することになるのです。 審査の結果を尊重する義務がある(事実上拘束される)のは、交通事故紛争処理センターと協定を結んでいる損害保険会社と共済組合です。 損害保険会社は、日本損害保険協会と外国損害保険協会に加盟する保険会社で、ほとんどの保険会社が含まれます。 一方、協定を結んでいる共済組合は次の5つの組合になります。

  • 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
  • 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
  • 全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連)
  • 全国自動車共済協同組合連合会(全自共)
  • 全日本火災共済協同組合連合会(日火連)

相談の予約をする

法律相談や和解あっせんをしてもらうためには、事前に電話などで相談日時を予約する必要があります。 予約の受付時間は、月曜日~金曜日(祝祭日と12月29日~1月3日を除く)の9時から17時です(12時~13時は休憩時間)。 申立人(被害者)の住所地か、事故があった場所を担当するセンターに予約する必要があります。

申立人の住所地/事故があった場所 利用できる本部・支部・相談室
北海道 札幌支部
宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県 仙台支部
東京都、神奈川県、千葉県、山梨県、茨城県
埼玉県、群馬県、栃木県、長野県、新潟県
東京本部
さいたま相談室
愛知県、岐阜県、三重県
静岡県
石川県、富山県、福井県
名古屋支部
静岡相談室
金沢相談室
大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県 大阪支部
広島県、岡山県、山口県、鳥取県、島根県 広島支部
香川県、愛媛県、徳島県、高知県 高松支部
福岡県、鹿児島県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 福岡支部

必要書類を準備する

後日、センターから利用申込用紙と、必要書類について説明した資料が送られてきます。当日までに準備しておきましょう。 保険会社との示談交渉がすでに始まっている場合は、センターに相談を申し込んだことを担当者に連絡しましょう。 初回の相談日に、センターの窓口で利用申込書と関係資料を提出しましょう。資料は返却されないので、コピーを用意しておきましょう。 窓口では、職員が資料をもとにして、申立人に事故の概要などの聞き取りをします。

法律相談

法律相談では、相談担当の弁護士が面接して申立人の主張を聞き取り、提出された資料を確認して、問題点を整理・助言します。 相談内容によっては裁判手続きをすることを勧められたり、他のADR機関(日弁連交通事故相談センター)を紹介されたりして、相談のみで終了する場合もあります。

交通事故紛争処理センターの法律相談は、事故直後や治療中などの段階では法律相談を受け付けていません。

和解あっせん

弁護士が間に入り、公平・中立な立場で示談の成立を目指す手続きです。 申立人と保険会社(共済組合)双方が出席する相談日に、相談担当弁護士が和解のあっせんを行ないます。1回につき1時間程度行われます。 人身事故の場合、通常は3~5回で和解が成立しています。物損事故の場合は、通常1~2回で和解が成立しています。 相談担当弁護士は、双方から話を聞いた上で、中立公正な立場で賠償額など和解のためのあっせん案を提示します。

任意保険会社が提案する賠償額は、裁判で認められている賠償額(裁判基準)よりも低いことが一般的ですが、交通事故紛争処理センターでは、裁判基準に近い賠償額をあっせん案として提示してくれます。

和解あっせんで合意に至った場合、相談担当弁護士の立ち会いのもとで、示談書または免責証書を作成します。

和解あっせんが終了する場合

和解あっせんは次の場合に終了します。

  • 和解が成立したとき
  • 相談担当弁護士が和解の成立の見込みがないと判断し、和解あっせんが不調になったとき
  • 申立人が和解あっせんを取り下げたとき
  • 保険会社・共済組合から「裁判で解決したい」という要請(訴訟移行の要請)が出され、交通事故紛争処理センターで要請が承認されたとき
  • あっせんの予約受付前から訴訟や調停など別の手続きが行われていたことが明らかになったとき
  • 相談担当弁護士が、和解あっせんを停止した日から6か月を経過したのに、停止した事由が解消しない場合で、相談担当弁護士が和解あっせんを終了させた場合
  • 次回期日の指定のない事案で、申立人(被害者)が希望しないと認められる場合
  • 申立人が利用規定に従わない場合

相談担当弁護士があっせんが不調と判断した場合、その決定を申立人と保険会社・共済組合双方に通知します。 被害者は、通知を受けとった後14日以内に、審査の申立てをすることができます。

和解あっせんが不調に終わった後の手続き(審査)

審査は、和解あっせんが不調になった場合に、弁護士や学識経験者で構成される3名の審査員が一定の結論(裁定)を示す手続きです。 裁定の内容に被害者が同意すれば、保険会社・共済組合はその結論に拘束され、裁定の内容で示談が成立することになります。 主な手続きの流れは次のようになっています。

  1. 審査に申立てられた事案は、事前に相談担当弁護士が審査会に対して、争点と当事者双方の主張を説明します。

  2. 審査では、審査員が争点や事故の内容について、当事者双方に説明を求め、それぞれの主張を聞き取ります。

  3. 結論を示す裁定が行われます。申立人は、裁定の告知を受けた日から14日以内に、裁定について同意するしないかを交通事故紛争処理センターに回答する必要があります。

期間内に回答しなかった場合、同意しなかった(不同意)とみなされます。不同意の場合は、手続は終了となります。

  1. 申立人が裁定に同意した場合、保険会社(と一部の共済組合)は、和解が成立することになります。

申立人が同意した場合は、裁定の内容に基づき、示談書又は免責証書が作成され、それに基づいて、保険会社等において支払手続が行われます。

申立人が裁定に同意した場合でも、示談書や免責証書の作成に応じない場合、同意を撤回したとみなされることがあります。

物損事故については、一定の場合申立人(被害者側)も裁定に拘束される場合があります。

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