有給休暇

弁護士監修記事 2019年06月28日

有給休暇の基礎知識 l 取得条件や日数、買取りの可否などを詳しく解説

有給休暇は、正社員だけではなく、アルバイトや契約社員などでも、一定の条件を満たせば取得することができます。 有給休暇を取得するための条件や、取得できる日数について、法律ではどのようなルールが定められているのでしょうか。 この記事では、こうした有給休暇に関する基本ルールを詳しく紹介します。

目次

  1. 有給休暇のルール
    1. 取得できる日数のルール
    2. 有給休暇の取得が義務化される
    3. 有給休暇の繰越し・時効
  2. 有給休暇を取得する上でのルール
    1. 時季変更権
    2. 半日休暇と残業代について
    3. 事前申請が原則だが事後申請が認められることも
  3. 退職直前の有給休暇取得について
    1. 退職時に残りの有給を一気に消化できるのか
    2. 有給休暇を買い取ってもらえるのか
  4. 有給休暇の取得に関するトラブルへの対処法

有給休暇のルール

有給休暇は、正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、アルバイトやパート勤務であっても、雇用契約を結んでいる「労働者」であれば雇用形態を問わず取得することができます。 取得条件は、半年以上継続して勤務しており、全労働日(アルバイトなどの場合はシフトなど会社が定めた労働日数)のうち、8割以上出勤していることです。 有給休暇を申請する際に理由を聞かれるケースがありますが、本来は理由を伝える義務はありません。 もっとも、後で述べる「時季変更権」との関係で、労働者としては、(虚偽ではない範囲で)もっともらしい理由付けをしておくのが無難といえるでしょう。

取得できる日数のルール

正社員に限らず、アルバイトなどの非正規労働者であっても、週5日以上働いているフルタイム労働者には、6か月以上継続して勤務した場合、1年あたり10日の有給休暇が付与されます。 以下の表のように、勤続年数が長ければ長いほど、取得できる有給休暇日数は増えます。

正社員・非正規フルタイム(週5日)労働者の場合

勤務日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
有給日数 10日以上 11日以上 12日以上 14日以上 16日以上 18日以上 20日以上

週4日以下の労働者の場合

勤続年数
6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月

定の



週4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
週3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
週2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
週1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

フルタイム労働者も週4日以下の労働者も、有給休暇日数は、所定の勤続日数が経過した時点で付与されなければなりません。会社がそのタイミングよりも遅く付与することは違法です。

有給休暇の取得が義務化される

2019年4月1日から、法律が改正され、有給休暇の取得に関する新しいルールが施行されます。 年間10日以上の有給休暇があるすべての労働者に対して、会社は、最低5日の有給休暇を取得させなければならないというルールです。 対象となるのは正社員だけではありません。アルバイトなどの非正規社員でも、年10日以上の有給休暇が付与される場合は対象となります。 ルールを守らない会社には、30万円以下の罰金というペナルティがあります。

有給休暇の繰越し・時効

仕事が忙しく、なかなか有給休暇を使う暇がない人もいるかもしれません。 その年に使い切れなかった有給休暇は、翌年に繰り越すことができます。 ただし、前年度から繰り越した分を翌年度中も使わなかった場合には、時効で消滅してしまいます。つまり、有給休暇を取得する権利は、2年で時効にかかって消滅するということです。 有給発生のタイミング・時効を解説した図表

有給休暇を取得する上でのルール

このように、有給休暇は労働者の正当な権利なので、本来は堂々と行使することができるものです。ただし、どんな場合でも行使できるわけではなく、一定のルールもあります。

時季変更権

有給休暇取得の際には、会社が「時季変更権」を行使する場合があります。 たとえば、あまりに多くの人が、同じ時期に有給休暇を取得したいと申し込めば、人員不足となって会社の業務に支障をきたす可能性があります。 このように、「事業の正常な運営」の妨げになると会社が判断した場合に、有給取得日を他の日に変更するよう、会社が労働者に打診できるのが「時季変更権」です。 ただし、会社が時季変更権を行使できるケースは限られています。原則としては、有給休暇は労働者が希望する時期に取得できると考えてよいでしょう。

半日休暇と残業代について

有給休暇は、1日単位だけではなく、時間単位や半日単位でも取得することができます。 時間単位や半日単位で有給休暇を取得した場合、残業代の扱いがどうなるのか、気になる人もいるでしょう。 たとえば、午前のみ有給休暇を取得した後、午後から出勤し、終業時刻を過ぎて残業した場合、残業代は出るのでしょうか。 半休を取った日に終業時刻を過ぎて働いても、原則として、1日の勤務が8時間を超えない限り、時間外労働にはなりません。つまり、会社が残業代を支払う義務はありません。 ただし、就業規則などに「所定の終業時刻後の勤務に割増賃金を支払う」といった規定があれば、その規定に従って割増賃金(残業代)が出ることになります。

事前申請が原則だが事後申請が認められることも

有給休暇は、原則として、取得したい日より前に申請しておくことが必要です。 しかし、「病気で欠勤した日を有給扱いにしてほしい」といったケースもあるでしょう。会社によっては、事後申請でも有給休暇の取得を認めている場合があります。就業規則などに規定がないか確認してみましょう。

退職直前の有給休暇取得について

退職時に残りの有給を一気に消化できるのか

有給休暇を取りにくく、取得しきれない有休がある場合、退職時に一気に消化したいと考える人もいるでしょう。 この場合、会社は時季変更権を行使できるのでしょうか? 答えは「ノー」です。会社としては、引継ぎなどができなくなり困ってしまうかもしれませんが、退職直前であり、有給休暇の変更先となる勤務日がそもそも存在しない場合には、時季変更権は行使できません。 労働者が、退職直前に、それまでに残っている有給休暇の権利を全て使い、そのまま退職することは、正当な権利行使であるといえるでしょう。 ただし、引継ぎなどを全くしないまま有給消化期間に入ると、会社との無用なトラブルが発生する可能性があります。 退職にあたって有給休暇を消化したい場合は、引継ぎなどをする期間を充分に確保したうえで、会社と相談して、いつから有給消化に入るか決めることをおすすめします。

有給休暇を買い取ってもらえるのか

退職前、たまった有給休暇を消化しきれない場合もあるかもしれません。 「残りの有給を買い取ってほしい」と思う人もいるかもしれませんが、原則として、有給休暇を買い取ってもらうことはできません。 ただし、会社が、就業規則などで、以下の場合に有給休暇を買い取るという規定を設けていれば、有給休暇を買い取ってもらえる可能性があります。

  • 法定日数以上の有給休暇を付与されている場合
  • 退職日までに消化できない事情がある場合
  • 時効にかかって消滅してしまった有休を買い取る場合

上記のような規定がない場合、労働者が会社に対して有給休暇の買取りを求めても、会社には買取りに応じる義務はありません。

有給休暇の取得に関するトラブルへの対処法

有給休暇を取得する権利があるのに、申請自体を拒否されたり、「うちの会社には有給休暇の制度なんてない」などと言われたりした人もいるかもしれません。 また、「有給を取るなら皆勤手当は支払わないと会社に言われた」といった理由で、取得したくてもできないという人もいるかもしれません。 有給休暇の取得は法律で認められた権利であり、一定の条件を満たせば、正社員、非正規社員を問わず取得することができます。 労働基準法や行政の指導では、有給休暇を取得したことを理由に皆勤手当や賞与、給与を減額したり、欠勤扱いしたりするような「不利益な取扱い」をしないようにしなければならないともされています。 有給休暇の取得にあたって、このようなトラブルにあい、自分だけで対処することが難しそうな場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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