相続放棄の手続き|自分でできる?費用や書類、期間、生前でもできるのかも解説

相続では、預貯金や不動産などプラスの財産だけではなく、亡くなった方の借金などマイナスの財産も引き継ぐことになります。 マイナスの財産を引き継ぎたくない場合は、相続する権利を放棄する「相続放棄」の手続きをする必要があります。 この記事では、相続放棄の手続きの流れや費用や手続きにかかる期間、生前でもできるのかなどについて解説します。

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目次

  1. 相続放棄とは
  2. 相続放棄の手続きの流れ
    1. 相続放棄の手続きの流れ
    2. 相続放棄の手続きに必要な書類は?
    3. 書類提出後の流れと照会書の書き方
    4. 他の相続人に相続放棄したことを連絡する
  3. 相続放棄の手続にかかる費用は?
  4. 相続放棄の手続きは自分でできる?
  5. 兄弟や子供のぶんもまとめて相続放棄できる?
  6. 被相続人の生前でも相続放棄の手続きはできる?
  7. 相続放棄できる期間は?延長できる?
    1. 相続放棄の手続き期限は3か月 期間を過ぎた場合に延長する方法
    2. 熟慮期間内でも相続放棄できないケース
  8. 相続放棄したら代襲相続は起きる?
  9. 相続人全員が相続放棄したらどうなる?
    1. 全員が相続放棄すると、債務はどうなる?
    2. 管理する人がいなくなった土地や空き家はどうなる?
  10. 相続放棄した場合の保険金や税金の取り扱い
    1. 相続放棄しても生命保険金や遺族年金を受け取れる?
    2. 相続放棄した場合、固定資産税を支払う必要はある?
    3. 相続放棄した場合、相続税を支払う必要はある?
  11. まとめ
  12. 次はこの記事をチェックしましょう

相続放棄とは

被相続人が残した遺産を引き継ぎたくない場合に、相続する権利を放棄することを「相続放棄」といいます。 プラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産が多い場合、つまり相続することがマイナスになってしまうケースで利用されることが多いです。 また、特定の相続人(家業を継ぐ人)などにすべての遺産を相続させるために、他の相続人が相続放棄するようなケースもあります。 相続放棄をした人は、「はじめから相続人ではなかった」という扱いになり、プラス・マイナス含め、全ての遺産を引き継がないことになります。 「貯金と不動産は欲しいけど、借金だけ放棄したい」というように、部分的に放棄することはできません。

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄を行うには、被相続人の最後の住所地を担当する家庭裁判所で手続きします。手続きの流れは以下のとおりです。 相続放棄の流れの画像 相続放棄の手続きは、原則として、被相続人が亡くなり、自分が相続人になることを知った時点から3か月以内(熟慮期間)に行う必要があります。 熟慮期間を過ぎてしまうと、自動的に「相続することを認めた」という扱いになってしまいます。 プラスの財産とマイナスの財産のどちらの方が多いのかを把握するためにも、財産の調査はできる限り速やかに行うことをおすすめします。

相続放棄の手続きに必要な書類は?

相続放棄の手続きをするときには、以下の書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続放棄する人の戸籍謄本
  • 800円分の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手

申述書は裁判所のホームページで書式をダウンロードできます。 郵便切手は、家庭裁判所によって必要な額が異なるので、家庭裁判所に確認しましょう。 相続放棄の申述書その他必要書類について、詳しくは記事末尾のリンク先で詳しく解説しています。

書類提出後の流れと照会書の書き方

書類を提出した後、家庭裁判所から照会書が届きます。 照会書には「相続放棄は自分の意思で行うのか」「なぜ相続放棄を行うのか」といった質問が記載されていますので、回答して返送しましょう。 家庭裁判所が書類をチェックして、相続放棄をするための条件を満たしていると判断されれば、「相続放棄申述受理通知書」が届きます。 以上で、相続放棄の手続きは終了します。

他の相続人に相続放棄したことを連絡する

相続放棄を行なった場合、他の相続人の相続分が変動しますが、他の相続人には相続放棄したことが連絡されません。 また、被相続人の子どもや孫(第1順位)の相続人全員が相続放棄すると、相続する権利は被相続人の父母または祖父母(第2順位)に移ります。 この場合も、次の順位の相続人には、相続する権利が移ったことが知らされません。 相続放棄を行う場合、他の相続人や次の順位の相続人に連絡してあげた方がよいでしょう。

相続放棄の手続にかかる費用は?

相続放棄にかかる費用について

相談者の疑問 親が亡くなった際に相続放棄したいと考えています。

質問1:相続放棄できますか?
質問2:相続放棄する際に多額の費用(10万円以上)はかかりますか?

ちなみに相続対象となるものは、以下です。

1.預金
2.債権(金銭債権)
3.債務(賃貸アパートの連帯保証人)
4.山林(過疎地。他社が地上権設定している箇所あり。買い手の見込みなし)
5.田と畑(過疎地。買い手の見込みなし)
6.今にも崩れそうな家が建っている宅地100坪程度(過疎地。買い手の見込みなし)
7.墓地(過疎地。買い手の見込みなし)

ネットで調べたところ、「無価値の不動産は国が引き取りを拒否する可能性があり、相続放棄できない」「廃屋に関しては、相続財産管理人の選定から廃屋解体までを自費で行う必要がある」といった情報を得たため、相続放棄ができない、できても多額の費用が必要なのではないか、と心配しています。

加藤 寛崇の写真 弁護士の回答加藤 寛崇弁護士 質問1:相続放棄できますか?
→死亡を知ってから3か月以内なら可能です。

質問2:相続放棄する際に多額の費用(10万円以上)はかかりますか?
→かかりません。自分でやるなら、戸籍書類の費用と裁判所への手数料だけで、全部で1万円もかからない程度です。
 
「無価値の不動産は……」などというのは、相続放棄ではなく、一般に自分が所有する不動産等の放棄をできないということだと思われます。相続放棄はどんな財産があろうと可能です。それらの財産の管理は何もしなくて構いません。

原田 和幸の写真 弁護士の回答原田 和幸弁護士 質問1:相続放棄できますか?

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であればできます(民法915条)。

質問2:相続放棄する際に多額の費用(10万円以上)はかかりますか?

ご自身で手続きする場合はそんなにかからないと思います。
専門家に頼んでもそれ以下で受けてくれる場合も十分考えられます。

相続放棄の手続きは自分でできる?

相続放棄の手続きは自分でできるのでしょうか。

相続放棄の手続きは自分でして後々トラブルにならないのか?

相談者の疑問 先日叔父がなくなり借金があることが分かりました。

叔父は離婚していて子供がいますが、先日子供たちが相続放棄をしました。次に姉である母の所に順番が回ってくるので相続放棄の手続きを自分でしようと思うのですが、自分で手続きをして後々トラブルにならないでしょうか?

やはり弁護士さんとかに依頼した方がいいのでしょうか?でも母は高齢で金銭的にあまり余裕がありません。

高島 秀行の写真 弁護士の回答高島 秀行弁護士 相続放棄は、3か月以内に所定の書式に従って行えば、自分でしてもトラブルになる可能性は少ないです。書式や必要書類は、あなたがインターネットで取得することも可能です。

それでもできないようであれば、法テラスで弁護士に依頼されたらよいと思います。弁護士費用を立て替えてもらえ、月々5000円から1万円の返済で済みます。

相続放棄の手続きは自分ですることも可能です。3か月の熟慮期間内に完了できるように進めましょう。 自分で行うことが難しいと感じる場合は、弁護士に手続きを依頼することも1つの方法です。 弁護士に依頼した場合にかかる費用は、個別のケースによって大きく異なります。自分の依頼内容では費用がどのくらいかかるのか知りたい場合は、弁護士ドットコムの一括見積り機能の利用がおすすめです。 依頼したい内容を投稿すると、複数の弁護士から、あなたの依頼を受けた場合の対処方針とそれにかかる費用の提案を受けることができます。 なお、依頼内容は弁護士ドットコムに登録している弁護士だけが見ることができます。一般には公開されないので安心してご利用いただけます。 弁護士に依頼したいけれど、経済的余裕がなく、どうしても支払いが難しい場合は、以下で紹介する、法テラスの「民事法律扶助」という仕組みを利用することを検討してみてください。 民事法律扶助とは、経済的に余裕がない人が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談できたり、一定の要件をみたせば弁護士費用などを立て替えてくれる仕組みです。具体的には、弁護士費用として毎月5000円から1万円程度を法テラスに返済(償還)していきます。 利用したい場合、まずは法テラスの無料法律相談を予約しましょう。 民事法律扶助について、詳しくは法テラスのホームページを確認してみてください。

兄弟や子供のぶんもまとめて相続放棄できる?

相続放棄をする人が複数いる場合、他の相続人の分もまとめて手続きできるのでしょうか。

相続放棄を代表者が行う際の必要書類

相談者の疑問 父が亡くなり、子供である私と兄は相続放棄するつもりです。私が代表して家庭裁判所に書類を提出する予定ですが、兄の分も一緒に提出する際、委任状などは必要でしょうか?

父の戸籍謄本、住民票附票、収入印紙、申述書、切手、私の戸籍謄本、兄の戸籍謄本のみで大丈夫ですか?

川添 圭の写真 弁護士の回答川添 圭弁護士 相続放棄の申述において、弁護士以外の者は原則として手続代理人になることができません(家事事件手続法22条1項本文)。

ただ、相続放棄の申述書を一斉に提出するような場合、相続人の1名が、他の相続人の分もまとめて提出することもできる場合が多いです(作成自体は相続人各自が行い、相続人の1名が使者として持って行く、という形です)。

必要書類もお書きのものでよいと思いますが、郵券の内訳や提出方法を含め、家庭裁判所へ事前に問い合わせておくのが確実です。

なお、上記の方法でご本人以外が(使者として)相続放棄申述書を提出したケースでは、まず家庭裁判所からお兄さんご本人に対し意思確認の書類が郵送され、その返送結果を踏まえて相続放棄受理通知書が(再度お兄さん本人へ)送付されるという段取りになると思います。

被相続人の生前でも相続放棄の手続きはできる?

相続放棄の手続きは、被相続人が亡くなり、自分が相続人になることを知った時点から3か月以内です。被相続人が生きている間に相続放棄の手続きをすることはできません。

相続放棄できる期間は?延長できる?

相続放棄の手続き期限は3か月 期間を過ぎた場合に延長する方法

相続放棄の手続きは、原則として、被相続人が亡くなり、自分が相続人になることを知った時点から3か月以内(熟慮期間)に行う必要があります。 熟慮期間中に財産の調査が終わらない場合、家庭裁判所に申し立てることで、熟慮期間を延長できる可能性があります。 申し立てる裁判所は、被相続人の最後の住所地を担当する家庭裁判所です。 熟慮期間を延長するためには、以下の書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

  • 申立書
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 延長を求める人の戸籍謄本
  • 800円分の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手

申立書は裁判所のホームページで書式をダウンロードできます。 郵便切手は、家庭裁判所によって必要な額が異なるので、申し立てる家庭裁判所に確認しましょう。 上記以外にも必要な書類がある場合があります。申し立てる家庭裁判所に確認しましょう。

熟慮期間の延長をせずに、熟慮期間が過ぎてしまった後でも、例外的に相続放棄が認められるケースがあります。熟慮期間が過ぎた後に、知らなかった借金が見つかった場合などは、相続放棄ができるかどうか、弁護士に相談することを検討してもよいでしょう。

熟慮期間内でも相続放棄できないケース

熟慮期間の間でも、一定の行為をしてしまうと、「相続することを認めた」と扱われるケースがあります(法定単純承認)。相続する財産の一部を使ってしまったり、売ってしまったりするケースです。 たとえば、被相続人の口座から葬式の費用を引き出すことは、「相続することを認めた」ことになります。 「葬式の費用は被相続人のための支出だし、相続財産から支出してもよいだろう」と考えがちですが、こうした行為をすると、法的には「相続することを認めた」と扱われ、相続放棄ができなくなります。 相続放棄を検討している場合は、むやみに財産に手をつけないよう気をつけましょう。

相続放棄したら代襲相続は起きる?

被相続人が死亡した時点で、本来の相続人(子・兄妹など)がすで死亡していたような場合、その「本来の相続人」をとびこえて、孫やおい・めいが遺産を引き継ぐことになります。この仕組みを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。 「相続人が相続する権利を失う」という点で、「相続放棄」は死亡と共通していますが、相続放棄の場合は、代襲相続は生じません。

相続人全員が相続放棄したらどうなる?

相続人全員が相続放棄した場合、借金や土地、不動産といった財産は、どのように扱われることになるのでしょうか。

全員が相続放棄すると、債務はどうなる?

相続人全員が相続放棄した時の債務

相談者の疑問 被相続人が借金や損害賠償債務を残して亡くなってしまい、相続人全員が相続放棄をした場合、その債務はどうなるのですか?債権者は誰に請求することになるのですか?

大西 康嗣の写真 弁護士の回答大西 康嗣弁護士 相続人がいなくなれば、債権者は、裁判所に相続財産管理人の選任を求めることになります。そして、その相続財産管理人が被相続人の財産を管理し、弁済できる財産があれば、債権者に弁済することになります。

但し、そもそも、全く被相続人に財産がなければ、管理人の選任申立を債権者もしませんので、最終的には、債権者は回収できないということになります。

管理する人がいなくなった土地や空き家はどうなる?

相続放棄並びに財産管理人について

相談者の疑問 先日、父が亡くなり、負債がいくらあるか分からないため、遺族全員で相続放棄を考えています。

ですが、父が生前にご近所の方から借りた土地に倉庫を建てているのですが、相続放棄をした際にそこの土地はどうなるのでしょうか?

また、ご近所の方の土地なので遺族の方で財産管理人の申請を家庭裁判所にしようと思うのですが、相続放棄をした元相続人が申請できるのでしょうか?

新保 英毅の写真 弁護士の回答新保 英毅弁護士 被相続人名義で賃借した土地上の建物については、相続人が不存在となれば、相続財産管理人が管理処分し、第三者に売却処分するか建物収去して土地を返還することになります。

元相続人は相続財産管理人の選任申立てが可能です。ただし、借地上の建物の処理があれば、相当高額な予納金の納付を求められると思います。事前に家庭裁判所の窓口で相談した方がいいでしょう。

相続人全員が相続放棄する場合、相続財産管理人を選任することで、誰も管理する人がいなくなった財産を管理してもらえるようです。相続財産管理人については、記事末尾のリンクで詳しく解説しています。

相続放棄した場合の保険金や税金の取り扱い

相続放棄をする場合、被相続人が加入していた生命保険や、遺族年金を受け取れるのでしょうか。また、相続税などの税金を納める必要はあるのでしょうか。相続放棄する場合の、これらのお金の取り扱いについて解説します。

  • 生命保険金や遺族年金
  • 固定資産税
  • 相続税

相続放棄しても生命保険金や遺族年金を受け取れる?

相続と、生命保険・遺族年金について

相談者の疑問 相続放棄する場合、生命保険や遺族年金の取り扱いはどのようになるのでしょうか。相続放棄をしてもこれらのお金は受け取れますか。逆に、これらのお金を受け取った後に相続放棄することも可能ですか。

鈴木 克巳の写真 弁護士の回答鈴木 克巳弁護士 生命保険の受取人に特定の人が指定されている場合は、生命保険受取請求権や受け取った生命保険は、その特定の人の固有の財産であり、遺産ではありません。

したがって、上記の場合、生命保険の受取後、相続放棄は可能(ただし申述期間内にて)ですし、相続放棄をした後に生命保険を受け取ることも可能です。

生命保険の受取人が被相続人(故人)になっている場合は、この保険は「相続人」が受け取ることになるので、遺産になります。

ですので、上記の場合は、生命保険を受け取ってしまうと相続放棄はできませんし、相続放棄後に生命保険を受け取ることはできません。

遺族年金は、法律に基づいて支給される遺族固有の財産で、遺産には該当しません。

したがって、遺族年金の受取後、申述期間内であれば相続放棄はできますし、相続放棄後に遺族年金を受け取ることも可能です。

相続放棄した場合、固定資産税を支払う必要はある?

相続放棄すると固定資産税は払わなくて良いのでしょうか?

相談者の疑問 相続放棄をした場合、固定資産税は支払わなくてよいのでしょうか?

岡村 茂樹の写真 弁護士の回答岡村 茂樹弁護士 相続放棄の対象である被相続人所有不動産ですね。延滞分も含めて、支払い不要です。請求がなされたら、相続放棄申述受理証明書を提示します。

相続放棄した場合、相続税を支払う必要はある?

遺産放棄した場合の相続税

相談者の疑問 私の住んでいる家は、隣に住む祖母の土地に建っています。家は父名義で築40年くらいになります。祖母が亡くなると相続税がすごい価格になるらしく払えない可能性が高いです。もし、遺産放棄した場合、相続税は払わなくてすむのでしょうか?

高島 秀行の写真 弁護士の回答高島 秀行弁護士 相続放棄により遺産を取得しない場合は相続税を支払う必要はありません。

まとめ

相続放棄の手続きは自分で行うことも可能ですが、書類の収集や申述書の作成が手間だと感じる場合、弁護士への依頼を検討してもよいでしょう。3か月という限られた期間内にすべての手続きが完了するよう、迅速に対応してもらうことができます。 弁護士に依頼することで、そもそも相続放棄をすることが適切かどうかも判断してもらえるでしょう。相続放棄すべきかどうか迷っている場合は、弁護士にアドバイスを求めることも1つの方法です。 相続の手続きを弁護士に依頼するメリットや費用の相場について、詳しく知りたい方は、以下で紹介する記事を参考にしてみてください。

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