相続税

弁護士監修記事 2018年09月30日

相続税を申告しなければならないケースと申告書の書き方

相続税は、申告することで税額が確定します。相続税を支払わない場合でも、配偶者の税額軽減などの特例を受ける場合には申告しなければなりません。

  • 相続税申告の流れ
  • 申告書の書き方
  • 必要書類

この記事では、このようなポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 相続税を支払わない場合でも申告が必要なケース
  2. 申告期限は10か月以内
  3. どうやって申告するのか
  4. 相続税が支払えない場合には申請が必要
  5. 申告書の書き方
  6. 申告書のほかに必要な書類
    1. 配偶者の税額軽減の特例を受ける場合
    2. 小規模宅地等の特例を受ける場合
  7. 申告書を税務署に送ることもできる
    1. 申告書を送ることができるサービス
  8. 申告が終わったら相続税を納付しましょう

相続税を支払わない場合でも申告が必要なケース

alt 相続税の計算ができたら、相続税が発生する場合には、申告をして納税します。 ただし、「配偶者の税額軽減の特例」や「小規模宅地等の特例」の適用を受ける場合には、相続税が発生しない場合でも、申告しなければなりません。

申告期限は10か月以内

alt 申告の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。 たとえば、1月6日に亡くなった場合にはその年の11月6日が申告期限です。この日が土曜日、日曜日、祝日などの場合は、その翌日が期限となります。 申告期限までに申告をしなかった場合や、実際の遺産より少ない額で申告をした場合には、加算税や延滞税がかかる場合があるので、気をつけましょう。 申告が10か月以内に間に合わない場合には、いったん法定相続分で相続したとして相続税を計算し、その金額を申告・納税します。詳しい手続きは、次の記事で詳しく解説しています。

どうやって申告するのか

alt 申告は、申告書を税務署に提出して行います。税務署は、被相続人が亡くなったときの住所地を管轄する税務署です。 申告書は、相続人全員の分を1通の申告書に記入します。記名押印を相続人全員から同じ書類にもらう必要があります。 申告書を全員で作成できない場合には、別々に申告書を作成して、別々に提出することもできます。 ただし、相続人によって申告する遺産の内容が食い違う場合には、税務署によって税務調査がなされる場合があるので注意しましょう。

相続税が支払えない場合には申請が必要

alt 相続税の支払いは、現金での一括払いが原則です。 支払期限は、申告期限と同じで、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。 期限までに支払うことが難しい場合には、期限を延ばして分割払いにしてもらえる可能性があります。「延納」といいます。 現金で支払うことが難しい場合には、不動産など物そのものを納める方法があります。「物納」といいます。 延納や物納をするには、期限までに申請書を税務署に提出する必要があります。

この記事の下の「次に読みたい記事」で詳しく説明しています。

申告書の書き方

alt 申告書は、国税庁のサイトでダウンロードすることができます。相続税の申告書は年度によって異なるので、相続の年度に合った申告書を使いましょう。 この記事は平成30年度の申告書について解説しています。 申告書は、第1表から第15表までの書類で構成されています。遺産の種類や適用される特例などによって、必要な書類を用意します。 書く順番は第1表からではなく、次の表のとおりに書いていくとスムーズです。

書く順番 書類の名前 どんな場合に書くか
1 第9表「生命保険金などの明細書」 生命保険金、損害保険契約の死亡保険金、特定の生命共済金などを受け取った場合
2 第10表「退職手当金などの明細書」 退職手当金、功労金、退職給付金などを受け取った場合
3 第11・11の2表の付表1〜4
「小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」など
小規模宅地等の特例の適用を受ける場合
4 第11表「相続税がかかる財産の明細書」 申告する人全員
5 第13表「債務及び葬式費用の明細表」 債務と葬式費用がある場合
6 第14表「純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書」 相続開始前3年以内に被相続人から相続人になされた贈与などがある場合
7 第15表「相続財産の種類別価額表」 申告する人全員
8 第4表「相続税額の加算金額の計算書」 相続人の中に夫・妻、子、親以外の続柄の人がいる場合
9 第5表「配偶者の軽減税額の計算書」 相続人に配偶者がいる場合
10 第6表「未成年者控除額・障害者控除額の計算書」 未成年者控除、障害者控除の適用を受ける場合
11 第7表「相次相続控除額の計算書」 過去10年以内に被相続人を相続人とする相続があった場合
12 第8表「外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書」 外国に遺産がある場合
13 第2表「相続税の総額の計算書」 申告する人全員
14 第1表「相続税の申告書」 申告する人全員

申告書の書き方は、記載例が参考になります。

申告書のほかに必要な書類

alt 申告には、申告書のほかに次のような書類が必要です。

特例の適用がない場合に必要な書類 具体例など
マイナンバーを確認できる書類 ・マイナンバーカードの写し
・マイナンバー通知カードの写し
・住民票(マイナンバーの記載があるもの)の写し など
記載されたマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類 ・マイナンバーカードの写し
・運転免許証の写し
・身体障害者手帳の写し
・パスポートの写し
・在留カードの写し
・公的医療保険の被保険者証の写し など
相続人を確認するための書類 ・被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本またはそのコピー(被相続人が亡くなった日から10日を経過した日以後に作成されたもの )
・図形式の法定相続情報一覧図の写しまたはそのコピー(法定相続情報証明制度を利用した場合)
遺言書または遺産分割協議書の写し 遺言書または遺産分割協議書の写し
相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書に実印を押印した場合に必要です
申告書に記載した金額の根拠となる資料 不動産がある場合
・固定資産税評価証明書
・登記簿謄本
・公図、測量図
・賃貸借契約書 など

有価証券がある場合
・残高証明書 など

預貯金がある場合
・残高証明書
・通帳のコピー など

生命保険がある場合
・支払通知書 など

非上場株式がある場合
・過去3期分の税務決算書一式

ゴルフ会員権がある場合
・ゴルフ会員権証書

過去3年以内の贈与がある場合
・過去に税務署に提出した贈与税の申告書

債務や葬儀費用がある場合
・残高証明書
・領収書 など

このほかにも必要な書類がある可能性があるので、税務署に確認しましょう。

配偶者の税額軽減の特例を受ける場合

配偶者の税額軽減の特例を受ける場合には、次のような書類が必要です。

配偶者の税額軽減の特例を受ける場合に必要な書類 具体例など
マイナンバーを確認できる書類 ・マイナンバーカードの写し
・マイナンバー通知カードの写し
・住民票(マイナンバーの記載があるもの)の写し など
記載されたマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類 ・マイナンバーカードの写し
・運転免許証の写し
・身体障害者手帳の写し
・パスポートの写し
・在留カードの写し
・公的医療保険の被保険者証の写し など
相続人を確認するための書類 ・被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本またはそのコピー(被相続人が亡くなった日から10日を経過した日以後に作成されたもの )
・図形式の法定相続情報一覧図の写しまたはそのコピー(法定相続情報証明制度を利用した場合)
遺言書または遺産分割協議書の写し 遺言書または遺産分割協議書の写し
相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書に実印を押印した場合に必要です
申告期限後3年以内の分割見込書 申告期限内に分割ができない場合に必要です。
申告書に記載した金額の根拠となる資料 不動産がある場合
・固定資産税評価証明書
・登記簿謄本
・公図、測量図
・賃貸借契約書 など

有価証券がある場合
・残高証明書 など

預貯金がある場合
・残高証明書
・通帳のコピー など

生命保険がある場合
・支払通知書 など

非上場株式がある場合
・過去3期分の税務決算書一式

ゴルフ会員権がある場合
・ゴルフ会員権証書

過去3年以内の贈与がある場合
・過去に税務署に提出した贈与税の申告書

債務や葬儀費用がある場合
・残高証明書
・領収書 など

小規模宅地等の特例を受ける場合

小規模宅地等の特例を受ける場合には、さらに多くの書類が必要です。

この記事の下の「次に読みたい記事」で詳しく説明しています。

申告書を税務署に送ることもできる

alt 申告書などの書類は、税務署に送ることもできます。 申告書を送る場合には、消印の日付が提出日とみなされます。消印を押されないサービスの場合には、書類が税務署に到達した日が提出日となります。 申告書を送る場合には、早めに提出するようにしましょう。期限ギリギリになりそうな場合には、窓口に持ち込んで、消印を確実に押してもらうようにしましょう。

申告書を送ることができるサービス

申告書などの書類は「信書」に当たりますが、郵便局などのサービスには、信書を送ることができないサービスがあります。 申告書を送る際には、信書を送ることができるサービスを利用するように気をつけましょう。 信書を送ることができるサービスはいくつかあります。 まず、郵便局のサービスでは、下記以外のサービスで信書を送ることができます。

  • ゆうパック
  • ゆうメール
  • ゆうパケット
  • クリックポスト

次に、郵便局以外のサービスでは複数の事業者がありますが、大手では佐川急便が飛脚特定信書便というサービスを提供しています。 そのほかの事業者は、総務省の信書便事業者一覧で確認することができます。

申告が終わったら相続税を納付しましょう

alt 申告が終わったら、相続税を納付しましょう。 納付期限は、申告期限と同じ日です。

納付の手続きについては、この記事の下の「あわせて読みたい関連記事」で詳しく説明しています。

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