相続財産に含まれる財産はどこまで?寄付するとどうなる?調査方法、目録の作り方を解説

相続が発生すると、残された家族は、亡くなった人のプラスの財産とマイナスの財産を受け継ぐことになります。この記事では、「そもそも相続財産とはどのようなものを指すのか」「財産の調査方法や目録の作り方は?」といったポイントを解説します。相続税がかかる財産とかからない財産の具体例や、財産を寄付した場合の相続税の取扱いについても紹介します。

目次

  1. 相続財産とは
  2. 相続財産の調査方法
    1. 相続財産の開示義務はある?
    2. 財産の評価が必要な理由
  3. 相続財産目録(相続財産の一覧)の作り方
    1. 家裁が公表している雛形を活用する
  4. 寄付したら相続税がかからない?相続税がかかる財産・かからない財産
    1. 相続税がかかる財産
    2. 相続税がかからない財産
    3. 財産を寄付した場合の相続税の取り扱い
  5. 弁護士などに財産の調査・評価を依頼するメリットや費用
  6. まとめ
  7. 次はこの記事をチェックしましょう

相続財産とは

亡くなった人(被相続人)から相続人に引き継がれる財産のことを、相続財産といいます。具体例として、以下のようなものがあります。

  • 現金、預金
  • 土地、家
  • 家具
  • 貴金属、宝石、絵画、骨董品など
  • 株式などの有価証券
  • 売掛金などの債権
  • ゴルフ会員権、電話加入権など

相続財産には、これらのプラスの財産だけではなく、被相続人の借金などのマイナスの財産も含まれます。

相続財産の調査方法

相続財産の調査は、必ずしなければならないわけではありません。被相続人が遺言を残していれば、原則として遺言の内容に従って遺産を分けます。 これに対して、遺言がない場合、「誰が財産を相続するか」を確認することと併行して、「被相続人がどのような財産を残しているか」を調査し、その価値を評価する必要があります。 財産を確認する方法として、現金・預金であれば、被相続人の自宅を探すことで見つかる場合があります。一方、不動産は法務局や市町村役場で「固定資産税納税通知書」や、「名寄帳」などを調べる必要があります。 相続では、借金などのマイナスの財産も受け継ぎます。どのような借金がいくら残っているのか確認しましょう。

相続財産の開示義務はある?

「被相続人の財産が思っていたよりも少ない」と考えたとき、「他の相続人が財産を隠しているのでは?」という疑いがよぎることがあるかもしれません。 相続財産を隠していることが疑われる相続人に対して、開示を求めることはできるのでしょうか。

母に相続財産を開示させることはできますか。

相談者の疑問 先日、父が亡くなりました。相続手続きをさっさと終わらせてしまいたいと思い銀行通帳を調べていましたが、ほとんど使われていない口座のものしか見当たりませんでした。

父は死亡時、勤め人でしたので、毎月給与の振り込みがあったはずですが、そのような記録がされた通帳は出てきていません。

父の唯一の同居人であった母にきいても「口座はそれしかない」とのことでした。母は昔からお金に汚く、私たち兄弟は通帳を母が隠していると疑っています。

このような状況で、法的な手段を使って、母に亡き父の財産を開示するように請求することはできますか。

鐘ケ江 啓司の写真 弁護士の回答鐘ケ江 啓司弁護士 母親に開示を求めたところで、説明義務というのはありませんし、強制することは出来ません。金融機関をあたって取引履歴を取り寄せるべきでしょう。その上で、例えば保険料の引き落としがあれば、保険会社にも問い合わせる、といった形になります。

特定の相続人に対して、相続財産を開示するよう強制することは難しいようですが、預貯金であれば、相続人が開示をしてくれなくても、金融機関から「残高証明書」や「取引明細書」を取り寄せることで、金額を調べられます。

財産の評価が必要な理由

どのような財産があるか調査したら、その価値の評価も併せておこないましょう。 たとえば、1つの不動産を複数の相続人で相続する場合、不動産自体は相続人の1人が相続して、他の相続人は不動産をお金の価値に置き換えて、置き換えた分をお金でもらうという形で相続することができます。 そのような場合、その不動産の価値をどのように評価すればよいのかということが問題になります。 財産の分け方は相続人同士の合意があれば自由に決められます。つまり、相続人全員が納得するのであれば、財産の評価は必ずしも行う必要はありません。 一方、不動産の価格など財産の評価について相続人間で様々な考え方がある場合は、「財産の価値をどのように評価するか」が重要になってきます。 財産の価値を評価する場合、財産の種類によって参考となる計算方法があります。 また、財産の総額が一定の基準を超えた場合、「相続税」を支払うことになります。相続税を計算するためにも、財産の価値を評価する必要があります。 相続税については、財産の評価方法を国税庁が定めており、その評価方法に従って財産を評価する必要があります。 相続税を申告・納税する期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎると、延滞税などのペナルティが課せられる可能性があるので注意しましょう。 財産の調査や評価の方法について、より深く知りたい方は、記事末尾のリンクを参照してください。預貯金や不動産、株式といった、財産の種類ごとに、調べ方や評価方法を詳しく解説しています。

相続財産目録(相続財産の一覧)の作り方

財産を調査・評価する際は、「どの財産がどの程度あるか」を明確にするため、相続財産を一覧にまとめた財産目録を作ることをおすすめします。 財産目録の作成は法律で義務付けられているわけではありません。 しかし、財産目録があると、「どんな財産があって、どれくらいの価値があるのか」ということが一覧できるので、財産の分け方を決める話合い(遺産分割協議)を円滑に進めることができます。 また、相続税の申告書の中に、相続財産を記入する用紙があります。あらかじめ目録を作っておくことで、相続税を申告する時に、用紙への記入がスムーズにできるというメリットもあります。

家裁が公表している雛形を活用する

財産目録に正式なフォーマットはありません。借金などのマイナスの財産も含め、「どの財産がどの程度あるか」が把握できる書き方であれば、自由に作ることができます。 どのように作成すればよいのか悩んだ場合は、裁判所が公開している雛形を下敷きに作成してもよいでしょう。たとえば、東京家庭裁判所は次のような雛形を公開しています。 東京家庭裁判所が公開している財産目録の雛形の図 東京家庭裁判所が公開している雛形は、こちらからダウンロードできます。

寄付したら相続税がかからない?相続税がかかる財産・かからない財産

相続税がかかる財産

相続税は、相続した財産の総額が一定の基準を超えた場合にかかる税金です。 ここでいう財産とは、以下のようなプラスの財産の他、生命保険金などの「みなし相続財産」といわれるものを指します。

  • 現金、預金
  • 土地、家
  • 家具
  • 貴金属、宝石、絵画、骨董品など
  • 株式などの有価証券
  • 売掛金などの債権
  • ゴルフ会員権、電話加入権など

みなし相続財産とは、被相続人が亡くなった時には被相続人の財産ではないけれど、相続税の計算上、相続財産とみなされる財産のことです。 みなし相続財産には、次のようなものがあります。

  • 生命保険の死亡保険金
  • 死亡退職金

さらに、被相続人が亡くなる前の3年以内に、被相続人から贈与された財産がある場合には、贈与された時の財産の金額を財産の総額に加えて計算します。 なお、以下のようなマイナスの財産や葬儀費用は、財産の総額から差し引いてもいいことになっています。

  • ローンなどの借金
  • 医療費や税金などで未払いのもの

葬儀費用には、次のようなものがあります。

  • 葬祭料
  • 弔慰金
  • 花輪代 など

香典返しは差し引くことができません。

相続税がかからない財産

相続税がかからない財産には、「墓地や墓石、仏壇、仏具など」や、「相続で受け継いだ死亡保険金や退職金の非課税枠」などがあります。 死亡保険金や退職金、「みなし相続財産」として相続税がかかる財産に含まれますが、金額が非課税枠におさまる場合は、相続税がかからないという特別なルールがあります。

死亡保険金・退職金の非課税枠非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数

これを表にすると、次のようになります。

法定相続人の数 非課税枠
1人 500万円
2人 1000万円
3人 1500万円
4人 2000万円
5人 2500万円

財産を寄付した場合の相続税の取り扱い

相続や遺贈によって受け継いだ財産を寄付する場合、一定の条件を満たすと、相続税が非課税になる特例が適用されます。

遺産を寄付した場合の相続税について

相談者の疑問 独身の兄が死亡したため、遺産を相続することになりました。遺産の一部を一般社団法人のある学会に寄付しようと考えています。その場合、寄付した金額については相続税はかからないのでしょうか?

新保 英毅の写真 弁護士の回答新保 英毅弁護士 相続や遺贈によって取得した財産を国や、地方公共団体又は特定の公益を目的とする事業を行う特定の法人などに寄附した場合は、その寄附をした財産や支出した金銭は相続税の対象としない特例があります。具体的には税理士に相談された方がいいでしょう。

特例が適用されるにはいくつかの条件をクリアする必要があります。自分で判断することが難しい場合は、税理士などの専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。

弁護士などに財産の調査・評価を依頼するメリットや費用

相続財産の調査や評価は自分でもできますが、財産の種類によってプロセスが異なっていたり、様々な書類を集める必要があったりするなど、手間も時間もかかります。 「自分で手続きをする時間がない」「正確に調査・評価できるか不安だ」といった場合は、弁護士などの専門家に依頼することを検討しましょう。自分でおこなうよりも手間なくスムーズに、財産の調査と評価の手続きを完了できます。 調査の結果、被相続人が多額の借金を抱えていて、遺産をすべて処分しても返済しきれないというようなケースでは、相続する権利を放棄する「相続放棄」の手続きをしてもらうこともできます。 弁護士に依頼した場合にかかる費用は、個別のケースによって大きく異なります。自分が抱えるトラブルを解決するために費用がどのくらいかかるのか知りたい場合は、弁護士ドットコムの一括見積り機能の利用がおすすめです。 依頼したい内容を投稿すると、複数の弁護士から、あなたの依頼を受けた場合の対処方針とそれにかかる費用の提案を受けることができます。

依頼内容は弁護士ドットコムに登録している弁護士だけが見ることができます。一般には公開されないので安心してご利用いただけます。

まとめ

「相続が発生したが、手続きを自分でする時間がない」「財産の分け方について、相続人間で意見が対立している」など、相続に関する悩みを抱えている方は、弁護士への依頼を検討しましょう。 弁護士に依頼することで、他の相続人との交渉をはじめ、財産の調査や評価など、様々な手続きを代わりにおこなってもらうことができます。不動産などそのままでは分けられない財産や借金があるような場合も、個別のケースに応じた適切な対処法を示してもらいながら手続きを進めることができます。 相続案件に注力する弁護士のサポートを受けることで、自分一人で奮闘するよりも手間やストレスをかけずに、早急かつ円満に相続の手続きを完了できるでしょう。

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この記事は、公開日時点(2026年02月18日)の情報や法律に基づいています。

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