離婚後の再婚禁止期間
法律上、女性は離婚が成立した日から100日間は再婚することができないというルールがあります。 そのため、離婚した後すぐに新しいパートナーとの婚姻届を自治体に提出しようとしても、原則として受理してもらえません。
例外的に再婚禁止期間内でも再婚できるケース
次のような事実を、医師が作成した資料で証明できる場合には、例外的に離婚後100日以内でも再婚することができます。
- 離婚が成立した時点では妊娠していなかったこと
- 離婚が成立した日から一定の期間妊娠していなかったこと
- 離婚が成立した日より後に出産したこと
婚姻届を提出するときに、これらの事実のどれかを示した医師の証明書を添付することで、婚姻届を受理してもらうことができます。 医師の証明書のフォーマットは、以下のリンクからダウンロードできます。
離婚後、男性が再婚する前に知っておきたいこと3つ
男性の再婚禁止期間はいつまで?
男性が離婚後に再婚をする場合、再婚禁止期間はありません。離婚した翌日に再婚することも可能です。
男性が離婚後、再婚するまでの期間は?
再婚する人は、離婚後どの程度の期間をあけているのでしょうか。
厚生労働省の統計によると、2020年に再婚した男性のうち、離婚後1年以内に再婚した人の割合は、全体の14.6%でした。全体の半数以上の人が離婚後5年以内に再婚しています(人口動態調査2020年版より)。
養育費を支払う男性が再婚したら減額できる?
養育費を支払っている男性が離婚後に再婚した場合、養育費を減額することはできるのでしょうか。
相談者の質問
3年前に離婚しました。子どもが2人います。親権は妻です。私は養育費を月6万円払っています。
再婚をし、新しい妻の連れ子1人と養子縁組をしようと思っています。その場合、現在支払っている養育費を減額できるでしょうか?
新しい妻は専業主婦になる予定です。
弁護士の回答須山 幸一郎弁護士
扶養対象者が増えることになり、離婚時には想定しえなかった事情変更が認められますので、養育費の減額が認められる可能性は十分にあります。
ただ、元配偶者は、支払われる養育費を念頭に日々の生活を立てていますので、強硬な反発を受けます。
そう簡単には調停は成立しないことを覚悟のうえ、調停に臨むことになります。
最終的に調停不成立となり、審判に移行した場合、上述のとおり減額が認められる可能性は十分にあるとは言えます。
再婚相手の連れ子と養子縁組をしたり、再婚相手との間に子どもが生まれたりして、扶養対象者が増えた場合には、養育費の減額が認められる可能性があります。 単に再婚をしたというだけでは、養育費の減額が認められる可能性は高くありません。このような場合に養育費の減額が認められるためには、再婚したことの他に収入が減少したなどの事情が必要となります。
離婚後、女性が再婚する前に知っておきたいこと4つ
女性の再婚禁止期間は、先ほど説明したとおり、離婚した日から100日間です。 このほかに、女性が再婚する前に知っておきたい4つのポイントを紹介します。
女性が離婚後、再婚するまでの期間は?
厚生労働省の統計によると、2020年に再婚した女性のうち、離婚後2年以内に再婚した人が、全体の約4分の1を占めています。全体の半数以上の人が離婚後5年以内に再婚しています(人口動態調査2020年版より)。
離婚後の名字をそのままで再婚できる?
再婚する場合には、再婚相手の名字(姓)にあなたが改姓するか、あなたの姓に再婚相手が改姓するかを検討する必要があります。 離婚後の姓をそのまま使いたい場合には、再婚相手があなたの姓に改姓する方法があります。また、再婚相手が改姓を望まない場合には、法的な夫婦にはならずに事実婚として共同生活を送るケースもあります。 あなたが再婚による改姓を望む場合でも、子どもが改姓を望まないケースもあります。このような場合、どのようにすればよいのでしょうか。
相談者の質問
子連れ再婚を考えています。しかし、私が親権を持っている20歳・17歳・15歳の子どもが姓を変えたくないと言っています。再婚相手は長男なので、婿はお互いに考えていません。
①私と子どもの姓が違うと親子関係は認められないのですか?
②子どもたちの姓を変えない場合、どのような方法がありますか?
③子どもの姓を変えないことによるデメリットや、デメリットをカバーする方法はありますか?
弁護士の回答緒方 直人弁護士
①私と子どもの姓が違うと親子関係は認められないのですか?
氏の異同、戸籍の異同は法的親子関係には全く影響しません。
②子どもたちの姓を変えない場合、どのような方法がありますか?
ご相談者が再婚の夫の氏を称する婚姻をされた場合、ご相談者は夫を戸籍筆頭者とする戸籍に入籍され現在の戸籍から除籍されますが、子らは現在の戸籍に現在の氏を称して入籍されたままになります。何もする必要はありません。
③子どもの姓を変えないことによるデメリットや、デメリットをカバーする方法はありますか?
現行法上、氏の異同や戸籍の異同は、法的親子関係に全く関係しませんから、相続や扶養等の権利義務に影響しません。法的には、メリットもデメリットもありません。
逆に変更する方法なら、2つあります。
1つは再婚後のご相談者(母親)の氏への子の氏変更の家裁の許可を求めるための審判を申し立てる必要があります。許可されると子らは母と同じ氏を称し、母が入籍された再婚後の戸籍に入籍されることになります。
もう1つは再婚の相手と養子縁組をすることです。前者は再婚の相手と子らに親子関係は発生しませんが、後者は法定血族関係(養親子関係)が発生します。氏を変更する方が複雑なのです。
離婚後に再婚したら戸籍はどうなる?
再婚した場合の戸籍は、再婚後の姓を元々名乗っていた人を筆頭者とする新しい戸籍が編成されます。その戸籍に再婚で改姓する人が入ります。 子どもの戸籍は、再婚後の新しい戸籍には入りません。同じ戸籍に入れるには、子どもの氏(姓)の変更について家庭裁判所の許可を得た上で入籍届を提出する方法や、再婚相手と養子縁組をする方法があります。
相談者の質問
再婚による子どもの戸籍について教えてください。
成人と未成年の子が1人ずついますが、私が再婚しても名字は変わりたくないということで、戸籍から私が抜けて子ども達だけの戸籍になると思われます。
色々と調べていると、単独戸籍に 「なってしまいます」 といった書き方がなされていて、良いものではないのかな?と思ってしまうのですが、子どもたちだけの戸籍になったときに、デメリットはありませんか?
名字が違っても親子であると証明しなければならない機会は多くありそうですが、どんな公的書類を使用して証明するものなのでしょうか。
弁護士の回答鈴木 克巳弁護士
「結婚もしていないのに、まだ大人じゃないのに、親と一緒の戸籍に入っていないなんて寂しいなあ・・・」「子どもたちと違う戸籍になってしまうのか、何か気の毒だなあ・・・」、といった感情的な問題だけです。法的観点から問題になるようなことは一切ありません。
親子関係は戸籍関係書類で証明できます。戸籍謄本、除籍謄本を取り寄せれば、必ず、貴殿がお子様方の母親であることが証明できます。逆に言えば、お子様方の母親が貴殿であることが証明できます。余計なことかもしれませんが、元夫とお子様方の父子関係も、戸籍関係書類から明確になります。
離婚後、再婚する前に妊娠・出産したら?
再婚する前に妊娠・出産した場合、生まれた子どもは元夫と再婚相手のどちらの子になるのでしょうか。
相談者の質問
2か月前に離婚しました。新しい彼ができて妊娠など考えています。
離婚後に再婚できる日数が半年から100日に短縮されましたよね。100日はもうすぐ越えるので再婚は出来ると思うのですが、100日越えてすぐ再婚して再婚と同じころにすぐ妊娠したら、出産する時には半年を越えるので子どもの父親は今の彼になるのでしょうか?
逆に100日経ってから再婚する前に妊娠が発覚した場合、再婚しても子どもの父親は前の夫になるのでしょうか。
弁護士の回答堀 晴美弁護士
再婚から200日を経過していれば、再婚相手の子、離婚から300日以内に生まれれば前夫の嫡出子と推定されます。
離婚から300日以内に生まれてしまった場合は嫡出否認の調停を申し立てる必要があります。それから再婚相手に認知してもらうことになります。
離婚後、同じ人と再婚したらどうなる?
離婚後、同じ相手と再婚する場合、再婚禁止期間はどうなるのでしょうか。
相談者の質問
3か月前に妻と離婚しました。その後、いろいろあって、よりを戻すことになりました。
以前、女性は再婚に半年の期間をあける必要があったのが100日にかわったと認識してます。妊娠していた場合の親を判断する為と認識しています。
今回は元妻との再婚なのですが、これでも100日空ける必要があるのでしょうか?
弁護士の回答川添 圭弁護士
戸籍実務では、女性が前婚の元夫と再婚する場合には嫡出推定における問題が生じないため、再婚禁止期間の規定(民法733条1項)の適用はなく、婚姻届を受理することができると解されています。
同じ相手と再婚する場合の戸籍はどうなるのでしょうか。
相談者の質問
離婚しました。子どもがいます。
離婚後も元夫の性を名乗っており、子どもたちは私の戸籍に入っています。
もし同じ相手と再婚した場合、子どもの戸籍のことを考えるとどちらの戸籍に入るのがよいのですか?違いは何ですか?
弁護士の回答今井 俊裕弁護士
どちらでもいいです。あなたが夫の戸籍へ入籍するときは婚姻届と同時にお子さんも夫の戸籍への入籍届を出してください。それで一家全員が同じ戸籍に入ります。
夫があなたの戸籍にはいる場合は単に、夫を書き込んで、それで終わりです。
違いは生じないと思いますが、それで一家の本籍地が違ってくるかも知れません。現在の元夫とあなたの本籍地次第です。
まとめ
離婚後に再婚する場合、女性には再婚禁止期間が100日間あります。ただし、例外的に100日を待たなくても再婚できるケースがあります。 再婚する際には、名字や戸籍をどうするかといった問題が生じます。特に子どもが名字や戸籍について、親と異なる意見を持っているときには、どうしてそのように思うのかを丁寧に聞いた上で、お互いに納得できる方法を考えるようにしましょう。 再婚により養育費を減額したい場合には、再婚後の経済状況や、再婚相手の子どもとの養子縁組の有無、元配偶者の経済状況を確認した上で、弁護士に相談してみましょう。離婚後に生じた事情の変化がどの程度考慮されるのか、弁護士に具体的なアドバイスをしてもらうことができます。