離婚・男女問題

弁護士監修記事 2019年12月23日

結婚せず別れたパートナーに養育費を支払ってもらう方法|認知の手続きを詳しく解説

籍を入れていないパートナーと別れて、パートナーとの間の子どもをあなたが育てていく場合、子どもを育てるために必要なお金(養育費)を支払ってもらうことができます。 ただし、養育費を支払ってもらうには、パートナーに子どもを「認知」してもらう必要があります。 この記事では、養育費の金額の目安や、認知の方法などについて、詳しく解説します。

目次

  1. 養育費を支払ってもらうことができる
    1. 養育費の相場
    2. 養育費の支払いは原則「子どもが20歳になるまで」
  2. 養育費を支払ってもらうためには「認知」が必要
  3. パートナーが子どもを認知することに同意している場合(任意認知)
    1. 届出人
    2. 届出先
    3. 届出に必要なもの
  4. 認知を拒否されたら
    1. 認知調停を申し立てるには
  5. 養育費の支払いについて合意できない場合
    1. 申立てをする人
    2. 申立先
    3. 申立てに必要な費用
    4. 調停でも解決しない場合
  6. 「内縁関係」の場合、養育費の他にもお金を支払ってもらえる可能性がある

養育費を支払ってもらうことができる

alt 子どもを養い育てるためには、衣食住の費用はもちろん、教育費や医療費、娯楽費や交通費など、様々な費用がかかります。 このような、子どもが自ら働いて収入を得て、社会人として自立するまでに必要な費用のことを「養育費」といいます。 具体的には、以下のような費用が養育費にあたります。

  • 子どもの生活費(食費、衣服費、住居光熱費など)
  • 教育費(授業料、塾代、教材費など)
  • 医療費
  • 小遣い
  • 交通費

養育費は、子どもと離れて生活するようになった親にも、子どもの健やかな成長をサポートする義務があるという理由から支払われるお金です。この義務を扶養義務といいます。 この義務は、結婚していないカップルから子が生まれた場合でも生じます。そのため、あなたは、子どもに代わって、別れたパートナー(子どもの父親)に対して養育費を支払うよう求めることができます。 ただし、法律上の扶養義務は認知によって発生します。養育費を支払うよう求めるためには、まず、別れたパートナーに子どもを認知してもらう必要があります。 認知については、後で詳しく解説します。

養育費の相場

養育費は、一般的には、家庭裁判所が参考にしている養育費算定表を目安に金額を決めることになります(2019年12月23日に、改訂版が公表されました)。

父親と合意できれば、算定表の相場とは異なる額を定めることもできます。

alt 養育費算定表は、子どもの人数・子どもの年齢に応じて、参考にすべき表が分かれています。まずは自分のケースに当てはまる表を見つけましょう。 表では、縦軸が「養育費を支払う側の年収」、横軸が「支払いを受ける側の年収」となっていて、それぞれが交わるゾーンの金額が養育費の目安(月額)となります。 給与所得者の場合、源泉徴収票の支払金額(控除されていない金額)が年収にあたります。一方、自営業者の場合は、課税される所得金額が年収にあたります。 たとえば、給与所得者で、子どもが1人(0歳〜14歳)いるケースでは、改訂された算定表によると、1か月間の養育費の目安は次のようになります。

養育費の目安・養育費を支払う側の年収が800万円で、受け取る側の年収が0円の場合…1か月の養育費の目安は10万円〜12万円

・養育費を支払う側の年収が600万円で、受け取る側の年収が400万円の場合…養育費の目安は4万円〜6万円

養育費の支払いは原則「子どもが20歳になるまで」

養育費の支払い期間は、パートナーとの話合いで自由に決められますが、原則としては、子どもが成人するまで、つまり20歳になるまでです。 話合いで合意すれば、子どもが将来大学に進学することを想定して「22歳まで」「大学卒業まで」などと決めることもできます。 養育費は子どもの成長に合わせて必要となる費用なので、定期的に支払われるべきと考えられています。 そのため、通常は、毎月一定の金額を銀行口座などに振り込む形で支払われます(合意すれば、一括で支払ってもらうこともできます)。

養育費を支払ってもらうためには「認知」が必要

alt 結婚していた夫婦から生まれた子の場合、引き続き子を監護する母親は、別れた父親に対して、当然に養育費を請求することができます。 一方、未婚のカップルの場合、別れたパートナーに養育費を請求するためには、パートナーが子を「認知」している必要があります。 なぜなら、あなたとパートナーが入籍をしていない場合、そのままでは、子どもとパートナー(父親)との間には法律上の親子関係がなく、扶養義務がないからです。 そのため、法律上の親子関係を生じさせる手続きとして、認知することが必要になるのです。 alt

養育費の支払いだけではなく、相続においても、パートナー(父親)が子どもを認知しているかどうかは重要です。父親が子どもを認知していない場合、法律上の親子関係がないため、父親の死後、子どもはその財産を相続することができません。一方、認知している場合は、相続をすることができます。

パートナーが子どもを認知することに同意している場合(任意認知)

alt パートナーが、子どもを認知することに同意している場合は、「認知届」という書類を役所に提出してもらえば、認知の手続きが完了します。 認知届を提出すると、子どもの戸籍にパートナー(父親)の名前が記載されます。また、認知したパートナーの戸籍にも、いつ誰を認知したかが記載されます。 子どもがまだ生まれていない(胎児)段階でも認知することができます。

届出人

子どもを認知する父親

届出先

次のいずれかの市区町村窓口に提出します。

  • 父親の本籍地・住所地
  • 子どもの本籍地 

※胎児認知をする場合は、あなたの本籍地

届出に必要なもの

  • 認知届 ※父親の署名・押印が必要
  • 父親の印鑑
  • 父親または子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)※本籍地以外で届出をする場合に必要
  • 父親の本人確認書類

  • 認知をすることに対するあなたの承諾書 ※胎児認知をする場合に必要。認知届に承諾した旨を記載すれば、承諾書は不要

認知を拒否されたら

alt このように、パートナーが認知することを同意している場合は、書類を提出するのみで手続きは完了します。 一方、パートナーが、子どもを認知することを拒否している場合は、裁判所の手続きで認知するよう求めていくことになります(強制認知)。 ただし、いきなり裁判を起こすことはできません。まずは、家庭裁判所の認知調停という手続きを利用して認知を求めることになります。 認知調停では、調停委員(弁護士や医師など)という第三者をまじえて、なぜ認知をしないのか、どうしたら認知をしてくれるのか、といったことを話し合います。 調停でパートナーが認知に合意しないような場合は、最終的には裁判で認知を求めていくことになります。 alt

認知調停を申し立てるには

申立人

  • 子ども(あなたが子どもの代理人となって申し立てることになります)

申立先

次のいずれかの裁判所に申し立てます。

  • 父親の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 当事者が合意で定める家庭裁判所 

どの裁判所に申し立てればよいのかは、こちらから確認することができます。

申立てに必要なもの

  • 申立書とそのコピー ※裁判所のホームページからダウンロードできます。記載例も見られます。
  • 子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 父親の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手 ※申立てをする裁判所によって金額が異なります

申立ての前に入手できない戸籍がある場合は、申立ての後に追加で提出することもできます。上記の他、追加の書類が必要な場合もあります。

認知調停の流れ

調停は平日に行われ、1回にかかる時間は2時間ほどです。あなたとパートナーはそれぞれ別の待合室で待機し、交互もしくは同時に調停室に入ります。 調停では、調停委員のアドバイスを受けながら、解決を目指して話合いを進めていきます。 多くの場合、子どもとパートナーとの間に生物学上の親子関係があるかどうかを確かめるために、DNA鑑定が実施されます。 DNA鑑定にかかる費用は、原則として申立人が負担することになります。個別の事案により金額は異なりますが、10万円程度はかかると考えておきましょう。 調停では、パートナーが子どもを認知することに納得して、裁判所が、合意した内容が正当であると認めれば、裁判所の認知の手続きが完了します(合意に相当する審判)。 審判がされると、子どもが生まれた時点にさかのぼって、パートナーと子どもとの間に、法律上の親子関係が生じることになります。 調停で解決できない場合、最終的には裁判を起こして認知を求めていくことになります。認知について、裁判で求めていくことになった場合は、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。

パートナーに、DNA鑑定を拒否される場合もあるかもしれません。ですが、認知をしてもらうためには、必ずDNA鑑定を行わなければならないというわけではありません。場合によっては、「DNA鑑定を拒否するということは身に覚えがあるからだろう」という印象を裁判所に与え、親子関係を肯定する要素として考慮されることもあります。

養育費の支払いについて合意できない場合

alt 認知をするかどうかだけではなく、養育費の支払いについても話合いがまとまらない場合、家庭裁判所の「内縁関係調整調停」という手続きを利用することで、解決を目指すことができます。 内縁関係調整調停は、認知調停と同時に申し立てることができます。パートナーに認知をしてもらった後、内縁関係調整調停で養育費について話し合うことになります。 調停では、調停委員(弁護士や医師など)という第三者をまじえて話合い、あなたとパートナーが納得できる着地点を探っていきます。 基本的には養育費算定表に基づき、個々のケースに応じた事情を考慮して、金額が提示されることになります。

申立てをする人

あなたか内縁関係のパートナーのいずれかが申立てをします。

申立先

次のいずれかの裁判所に申し立てます。

  • 相手の住所地を管轄する家庭裁判所
  • あなたとパートナーが合意で定める家庭裁判所 

どの裁判所に申し立てればよいのかは、こちらから確認することができます。

申立てに必要な費用

  • 申立書とそのコピー ※裁判所のホームページからダウンロードできます。「夫婦関係等調整調停申立書」という名称ですが、内縁関係のカップルもこの書類を提出します。記載例も見られます。
  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手 ※申立てをする裁判所によって金額が異なります

上記の他、追加の書類が必要な場合もあります。

調停でも解決しない場合

調停で話し合っても納得できず、裁判所や、当事者自身が解決の見込みがないと判断した場合は、調停は不成立となり終了します。 調停で解決できない場合、最終的には裁判を起こして裁判所に判断を求めていくことになります。裁判を起こす場合は、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。

「内縁関係」の場合、養育費の他にもお金を支払ってもらえる可能性がある

alt あなたとパートナーの関係が、結婚している夫婦同然の関係(内縁関係)といえるような場合は、別れるにあたって、養育費の他にも、慰謝料の支払いや、2人で貯めたお金などの財産を分け合うこと(財産分与)を求めることができる可能性があります。

  • 同居していた
  • お互いの親族の結婚式や葬儀などの行事に2人で出席していた
  • マンションの賃貸借契約書などの書類に、「夫」「妻」などと記載していた
  • 結婚式を挙げた

たとえば、こうした項目にあてはまる可能性がある方は、次の記事を参考にしてください。内縁関係といえるケースと、別れるときに請求できることについて、詳しく解説しています。

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