不倫相手への慰謝料請求は配偶者を既婚者と知らなかった場合でもできるのか

配偶者が不貞行為をした場合、配偶者だけではなく、不倫相手に対しても慰謝料を請求することができます。 では、不倫相手が、既婚者と知らずに交際していたり、独身と嘘をつかれて交際していたような場合でも、慰謝料請求は可能なのでしょうか。 この疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答をもとに解説します。

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目次

  1. 不倫相手が「既婚者と知らなかった」と言ってきたら
  2. 配偶者が不倫相手に嘘をついて交際していた場合
  3. まとめ

不倫相手が「既婚者と知らなかった」と言ってきたら

alt 不倫相手が「既婚者だと知らずに交際していた」と言ってきた場合であっても、慰謝料請求はできるのでしょうか。

夫の不倫相手(夫が既婚者とは知らなかった)から慰謝料はとれるでしょうか?

相談者の疑問 新婚ですが夫の不貞で離婚協議中です。不倫相手は夫と同じ職場(職種は違う)でしたが夫が既婚者だと知らなかったそうです。夫と私が同棲していたことは知っていたものの、私はただの彼女だと聞いていたから略奪しようと思ったそうです。

結婚式、指輪の交換はまだしていないですが、お祝いをくださる職場の方もいました。また、不倫相手は私が結婚を機に仕事をやめ、地元から遠く離れた場所にわざわざ引っ越してきたことや、家の中の様子(家具家電新品など)も知っています。

不倫相手には落ち度(過失)は認められないでしょうか?また、 不倫相手の過失を立証できなかった場合、不倫ではなく略奪される過程で受けた精神的苦痛に対する慰謝料などは取れますでしょうか?

坂尾 陽の写真 弁護士の回答坂尾 陽弁護士 あなたとご主人と不倫相手は、いずれも同じ職場に勤務していたと理解いたしました。このこと及びご記載の事情を前提とすると、不倫相手の過失を立証できる可能性は高いように思われます。

不貞行為を理由とする慰謝料請求を行う場合、その要件として不倫相手が婚姻の事実を知っていたこと(=故意)までは必要ではなく、知り得たこと(=過失)で足ります。

略奪された過程を理由とする慰謝料請求は難しいように思われます。恋愛関係は、婚姻に至った場合は法的な保護に値しますが、そうでなければ原則として自由であると解されるからです。

不倫相手が既婚者だと知らなかったとしても、既婚者と知ることができた(落ち度があった)場合には、慰謝料請求できる可能性があると考えられるようです。

配偶者が不倫相手に嘘をついて交際していた場合

alt 不倫相手に落ち度があれば、既婚者と知らなかったとしても慰謝料を請求できる可能性があります。では、配偶者が不倫相手に嘘をついて交際していた場合、不倫相手の落ち度を指摘することはできるのでしょうか。

旦那が別居中と嘘をついて不倫 不倫期間2ヶ月

相談者の疑問 結婚3年目、子どもあり。旦那が不倫しました。不倫相手には別居中と嘘をついてました。

実際は2人目妊娠中でもあり夫婦関係は良好でした。が、急に離婚を迫られ中絶を勧められました。その時に怪しいと思っていましたが、なかなか証拠が掴めず半年後に相手が分かり、旦那が白状しました。

不倫期間は2か月程でどちらも肉体関係が複数回あったと認めています。離婚も考えましたが、子どものこともあり婚姻を続けたいと思ってます。その場合、不倫相手には慰謝料を請求したいと思ってます。

不倫相手に慰謝料を請求する事は可能でしょうか?また相場はいくらぐらいになりますか?

新保 英毅の写真 弁護士の回答新保 英毅弁護士 本件では不貞女性側から、別居中と聞いており、婚姻関係が破綻していたと信じていたと反論される可能性が高いです。この場合、慰謝料請求できるためには、女性側が夫の説明を軽信したことに過失が必要になります。

例えば、女性と夫、相談者に共通の知人がいたり、夫が住居を秘密にしていた事情があれば、本当は別居していないのではないかと疑うべきだったと評価できる場合はあるでしょう。

不貞慰謝料の相場は、離婚に至らない場合は、50~100万円程度となることが多く、150万円を超えることは稀でしょう。

なお、女性が相談者に慰謝料を支払った場合、女性は夫に責任割合に応じて求償請求が可能です。ご質問の事情だけからすると、夫の責任割合の方が大きいと思われるので、女性が支払った額の半分以上は夫に求償請求可能と思われます。

嘘の内容にもよりますが、単に別居中や離婚調停中と聞いただけで信じた場合には、確認しなかった不倫相手にも落ち度があると主張できる余地はあるでしょう。

まとめ

「既婚者だと知らなかった」と主張する不倫相手に慰謝料請求するためには、「既婚者だと知っていた」または「知らなかったことに落ち度があった」ことを立証する必要があるようです。

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