熟慮期間

弁護士監修記事 2018年01月31日

【相続放棄】熟慮期間を過ぎてから借金が発覚!どうすればよい?

亡くなった人の借金を相続したくなければ、原則として、「被相続人が亡くなったこと」と「自分が相続人であること」を知ってから3か月以内(熟慮期間)に、相続放棄という手続きを行う必要があります。 熟慮期間を過ぎた後に、亡くなった人に借金があったことが分かった場合、どうすればよいのでしょうか。「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。

目次

  1. 熟慮期間を過ぎた後でも相続放棄できる?
  2. どうしても熟慮期間内に相続放棄を決断できない場合は?
  3. まとめ

熟慮期間を過ぎた後でも相続放棄できる?

alt 熟慮期間を過ぎてから、亡くなった人に借金があることが分かった場合、どうすればよいのでしょうか。

死亡後3ヶ月を過ぎてからの相続放棄


相談者の疑問
弟が亡くなって約半年が過ぎて債権者が現れました(きちんとした証書があるので事実だと思います。弟の署名と印鑑が押されていました)。

弟の荷物整理などももうすべて終えていて借金があるとは思わなかったので、相続放棄の手続きをしていませんでした。

相続放棄は亡くなってから3か月以内にしなければいけないそうですが、借金があることを知らなかったからといって今から相続放棄の手続きをしてもだめでしょうか?

また、これは万が一認められた場合ですが、相続放棄を父がしたら次は兄弟の私も相続放棄しなければなりませんか?

そして私が相続放棄をしたら、私の子ども達も相続放棄をしなければならないのでしょうか?弟は独身で子どももいません。兄弟は私だけです。


鈴木 克巳弁護士
> 相続放棄は亡くなってから3か月以内にしなければいけないそうですが、借金があることを知らなかったからといって今から相続放棄の手続きをしてもだめでしょうか?

◆ 借金がないと思っていたという理由だけでは、放棄の申述を受理してもらうのは非常に難しいと思っておかれた方が無難です。

上記のほかに、相続財産の不存在の認識あるいは存在しているかもしれないが詳細は不明との認識または相続財産が存在していることは分かっていたがそれを自分が相続できるとは思っていなかったことに合理的理由があることなどの要件を満たすことも必要です。

また、実際に相続財産を処分していないことが不可欠です。

いわゆる形見分けの類いのものや社会的に見て妥当と思われる葬儀費用に充てた場合は救われる可能性は高いですが、単純に預貯金を既に取得して使ってしまったというような事情があると、放棄の申述を受理してもらえる可能性はほとんどないと言ってよいでしょう。

◆ また、家庭裁判所で相続放棄の申述を受理してもらえたとしても、これは第1ラウンドのクリアーに過ぎず、第2ラウンドとして債権者との戦いが待っていると考えておかれるべきです。

家庭裁判所における相続放棄の申述受理の審査は明らかに放棄の申述を受理することが不当と言えるような場合か否かという審査であり、上記不当性が認められない場合は申述は受理されます。しかし、この受理をもって相続放棄が有効となったわけではありません。

相続放棄が有効か無効かは債権者との争いの中で決着します。これは、家庭裁判所の事件ではなく通常裁判所(簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所)の事件となります。

> また、これは万が一認められた場合ですが、相続放棄を父がしたら次は兄弟の私も相続放棄しなければなりませんか?

◆ そのとおりです。お父様の放棄により次順位の相続人である貴殿が放棄の手続きを行う必要が出てきます。お父様の放棄の申述が受理されたことを知った後3か月以内にしておかなければなりません。

なお、貴殿の相続放棄の申述受理が認められても、これをもって相続放棄が有効になったというものではないことは前述したとおりです。

> そして私が相続放棄をしたら、私の子ども達も相続放棄をしなければならないのでしょうか?

◆ それは不要です。

熟慮期間を過ぎた後の相続放棄は、預貯金を使ってしまうなど、財産を処分する行為をしてしまっている場合は、認められる可能性が低いようです。 家庭裁判所で受理されたとしても、亡くなった人の債権者と裁判になったような場合は、その中で相続放棄の有効性を争っていくことになるようです。

どうしても熟慮期間内に相続放棄を決断できない場合は?

alt 相続放棄をするべきかどうか、熟慮期間内に決断できない場合、どうすればよいのでしょうか。

相続放棄は3ヶ月以内にしないとダメなのでしょうか


相談者の疑問
叔父が亡くなり相続が発生しましたが、資産状況が確定しません。資産状況が確定したら相続放棄をしようと考えておりますが、3か月を越えた時点での相続放棄は認められないのでしょうか?


好川 久治弁護士
相続放棄は自分のために相続が開始したことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。

期間経過後の相続放棄は、多額の負債があることが発覚した場合において相続開始時点では相続財産が全くないと信じたことに相当な理由がある場合に限ります。そうでなければ相続放棄は認められません。

遺産の調査のために必要であれば家裁の申述期間伸長の審判を得なければなりません。家庭裁判所も、明らかに理由がない場合を除いて申述を認める傾向ですが、期間が2か月程度となるか、6か月程度まで認められるかは調査に要する手間と時間によります。

どうしても期限までに決断ができない場合は、家庭裁判所に相続放棄の手続きの期間伸長を申請することで、期限を延ばしてもらうことができるようです。どのくらい伸ばせるかは、個別のケースによって異なるようです。

まとめ

相続放棄の期限を過ぎた後に亡くなった人の借金が発覚した場合でも、裁判所で相続放棄を認めてもらえる可能性はゼロではないようです。 ただし、仮に認められたとしても、亡くなった人の債権者と裁判などで争うことになった場合は、その中で相続放棄の有効性を争っていくことになるようです。 どうしても期限までに相続放棄をするかどうか決断できない場合は、家庭裁判所に申請することで、期間を延長してもらえる可能性があるようです。

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