
労働問題の弁護士費用 - 示談交渉や労働審判、訴訟などケース別の報酬相場
日々働くだけでも大変なのに、職場には様々なトラブルがあります。中でも、給料や残業代の不払い、不当解雇といった問題は、生活にも深刻な影響を与えるため、泣き寝入りするわけにはいかないでしょう。 そこで労働審判や訴訟を通して、会社からの不当な扱いに抵抗することになりますが、弁護士に依頼するケースが多くなります。弁護士に依頼することで、解決に繋がる可能性は高まりますが、当然ながら費用もかかります。 ここでは労働問題を弁護士に依頼する場合に、どの程度の費用になるのかを手続き別にまとめました。弁護士選びの際に参考になれば幸いです。
労働問題の種類と行うべき手続き
労働問題を法的手続きを通して解決する場合、示談交渉(任意交渉)や労働審判、仮処分や民事訴訟の手続きを採用するケースが一般的です。では、どの手続きを選ぶべきかはどのように判断すればよいのでしょうか。 労働問題の決着としては、未払金の支払いや慰謝料、示談金などによる金銭的な解決を図るケースが多くなりますが、不当解雇を無効にし職場に復帰するというケースも考えられます。 前者のケースの多くは、示談交渉や労働審判によって解決を図っており、訴訟を起こすならまずは労働審判での解決を図ることがおすすめと言えるでしょう。後者の場合は、最終的には訴訟となるケースが多く、仮処分からの本訴訟となるのが一般的です。 しかしながら、最適な解決策はケースバイケースなので、弁護士と相談した上で手続きをお選びください。
労働問題の弁護士費用相場
「弁護士ドットコム」にプロフィールページを掲載している弁護士の料金表から、各手続きごとの費用相場を算出しました。示談交渉から民事訴訟にかけて、解決までに必要な時間が大きくなり、金額も大きくなる傾向にあります。 また下表とは別に、残業代請求などの回収可能性の高い案件については、相談料や着手金が無料の完全成果報酬制を取り入れている弁護士も多いため、初期費用を抑えられる場合もあります。 相場はあくまで目安ですので、依頼前に料金体系は必ず確認するようにしましょう。
経済的利益とは
下表の相場でも出てくる「経済的利益」とは、弁護士に依頼した際に生じる報酬の算定基準のことです。ここでは下記の例を基に具体的に考えてみましょう。
・本人間の話し合いでは、会社が100万円の残業代の支払いしか認めなかった
・弁護士に依頼した結果、200万円分の残業代+解決金を得られた
・報酬金は経済的利益の20%
一般的には「弁護士に依頼したことによって増減した経済的価値」のことを指します。ただし、事務所によっては「依頼者が実際に得た金額」とする場合もありますので、弁護士に依頼する際に確認したほうがよいでしょう。下記では二通りの経済的利益の考え方をご紹介します。
【経済的利益の考え方】1. 弁護士に依頼したことによって増減した経済的価値「200万円 - 100万円 = 100万円」
⇒ 報酬金:100万円 × 20% = 20万円
2. 依頼者が実際に得た金額「200万円」
⇒ 報酬金:200万円 × 20% = 40万円
このように、経済的利益の考え方の違いで報酬金が異なりますので、弁護士に依頼する際は確認したほうがよいでしょう。
費用項目 | 費用相場 | ||
---|---|---|---|
相談料 | 無料または5000円/30分 | ||
示談交渉 | 着手金 | 10万円〜20万円 | |
報酬金 | 経済的利益の15〜20% | ||
労働審判 | 着手金 | 15万円〜25万円 | |
報酬金 | 経済的利益の20% | ||
仮処分手続き | 着手金 | 20万円〜30万円 | |
報酬金 | 経済的利益の20% | ||
民事訴訟 | 着手金 | 25万円〜40万円 | |
報酬金 | 経済的利益の20〜30% |