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相続手続き

家族が亡くなった際の年金に関する手続き - 遺族年金の種類と必要書類

成人であれば誰もが加入している「年金」。年金受給者が亡くなった際には、遺族が手続きを行わなければなりません。また未受給者であっても、遺族年金を受け取れる可能性があるため、必ず手続きを確認しましょう。

しかし、故人や遺族の状況によって必要な手続きは異なり、どのような手続きを行うべきなのか、どのような書類が必要なのかを調べるのは大変です。ここでは「年金」に関する手続きごとに、条件や必要な書類をまとめたので、手続きの際に参考にしてください。

目次

  1. 年金受給者が亡くなった際に必要な手続き
  2. そもそも年金の基本的な仕組みとは
  3. 遺族給付の種類と必要書類
  4. 故人の扶養に入っていた場合は、新規加入手続きが必要

年金受給者が亡くなった際に必要な手続き

年金受給者が死亡すると、年金を受給する権利がなくなります。まずは、死亡届を出しましょう。また、手続きをすれば多くの場合で未支給年金を受け取ることができます。

年金受給者が亡くなった場合:必要書類3点

年金受給者が亡くなった場合には、年金の受給をストップするために、年金受給権者死亡届を提出する必要があります。以下の書類をそろえて、年金事務所または年金相談センターに提出しましょう。

書類 備考
年金受給権者死亡届(報告書) 年金を受けている方が亡くなったとき|日本年金機構より入手可能
故人の年金証書 年金を受給していた証明書のこと
故人の死亡の事実を証明できる書類 戸籍謄本、住民票、死亡診断書(コピー可)など

書類の提出が遅れると、返金手続きが増えることも

年金停止の手続きは本人の死亡後14日以内に行う必要があります。死亡届の提出が遅れると、年金を多く受け取ってしまうこともあり、後で返金手続きが必要となってしまうため注意しましょう。

未支給年金を請求する場合

そもそも「未支給年金」とは、次の二つを指します。

  • 年金受給者が死亡した時点で受け取っていない年金
  • 死亡した後に受け取った年金のうち、死亡した月分までの年金

現在日本では、年金は2か月ごとに支給されるシステムです。そのため、ほとんどの場合で未支給年金を請求できますので、合わせて手続きを行いましょう。

なお、未支給年金を受け取れる人には優先順位があり、次のとおりです。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他
  6. 上記以外の3親等内の親族

例えば、配偶者(優先順位1位)が生きている場合は子(優先順位2位)が未支給年金を受け取ることはできません。

また、請求してから支給されるまでに3か月かかる点も注意しましょう。

未支給年金の請求には、上記の書類に加え、以下の書類が必要となります。こちらも年金事務所または年金相談センターで手続きを行います。

書類 備考
未支給【年金・保険給付】請求書 年金を受けている方が亡くなったとき|日本年金機構より入手可能
故人との身分関係を証明できる書類 市区町村長の証明書、戸籍謄本など。住民票は不可
受け取りを希望する金融機関の通帳 コピー可
故人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる書類 住民票など。故人と請求者が別世帯の場合は、別途「生計同一についての別紙の様式」が必要。

そもそも年金の基本的な仕組みとは

続いて、故人が年金未受給者であっても遺族がお金をもらえる可能性がある「遺族給付」について説明します。遺族給付には多くの条件があり、そもそも年金の仕組みを知っておいた方がよい場面も多くあります。まずは簡単に年金の基本的な仕組みを説明します。

国民年金の加入者が受け取れるのは老齢基礎年金

国民年金は原則として20歳から60歳までの期間に保険料を納付し、65歳から亡くなるまでに「老齢基礎年金」として受給する仕組みです。65歳になると老齢基礎年金の受給権者(受給する権利を持つ人)となりますが、自動的に支給されるわけではないので受け取るための手続きが必要です。

年金を満額受け取りたい場合は、40年間もれなく保険料を納めなければなりません。未納の期間があったとしても、保険料納付済み期間と免除期間の合計が通算25年以上であれば、年金を受け取る資格は発生します。ただし、支給額は満額ではなくなります。

空白期間があったとしても、「任意加入制度」の活用で納付期間を補填できます。制度が活用できるのは60歳から65歳になるまでの5年間なので、最大5年までの空白期間を穴埋めすることができます。

厚生年金の加入者が受け取れるのは老齢厚生年金

厚生年金に加入していた場合は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取れます。こちらも特別に手続きをしない限り、受給開始は65歳です。こちらも65歳になると老齢厚生年金の受給権者(受給する権利を持つ人)となりますが、自動的に支給されるわけではないので受け取るための手続きが必要です。

老齢基礎年金を受け取る条件を満たしたうえで、厚生年金の保険料納付済み期間が1か月以上必要です。ただし支給開始の繰り下げを希望する場合は、1年以上必要です。

遺族給付の種類と必要書類

上記の基本的な年金の仕組みをふまえ、遺族給付について説明します。

前述のとおり、故人が年金受給者か未受給者かに関わらず、残された遺族が生活に困らないよう、お金を受け取れる場合があります。故人が加入していた年金の種類や条件によって、受け取れる遺族給付の種類と必要書類は異なりますので、ご自身の当てはまるケースを確認しましょう。

故人が加入していた年金の種類 支給可能性のある遺族給付
国民年金
→加入中の人(自営業など)
次のうちいずれか
・遺族基礎年金
・寡婦年金
・死亡一時金
国民年金と厚生年金
→加入中の人(会社員・公務員など)
・遺族基礎年金
・遺族厚生年金
 ※条件を満たせば加えて中高年齢寡婦加算あり
・寡婦年金もしくは死亡一時金のいずれか
老齢基礎年金
→受給権者、または受給資格のある人
・遺族基礎年金
老齢厚生年金
→受給権者、または受給資格のある人
・遺族基礎年金
・遺族厚生年金
 ※条件を満たせば加えて中高年齢寡婦加算あり

※共済年金は平成27年10月より、厚生年金と一元化されました。

遺族基礎年金とは?受け取るための条件

家族の大黒柱である夫が亡くなった場合、残された子どもと妻が生きていくためにはお金が必要です。

遺族基礎年金は残された子どもが18歳になる年度末までは支給されるので、子育ての助けになる遺族年金と言えます。金額は年間780,100円を基本として、子どもの人数に応じて加算されます。

受け取るための第一条件は、国民年金に加入中または受給中の故人によって、対象者の生計が維持されていたことです。そのうえで、故人と受け取る人のそれぞれに満たすべき条件があります。

故人に関する条件

遺族基礎年金が支給されるためには、故人が次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • 老齢基礎年金の受給権者
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たしていた人(60歳から65歳未満の人で、保険料納付済み期間と免除期間の合計が25年以上ある)

また上記に該当しない場合でも、亡くなった月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間の合計が3分の2以上あれば、以下の人にも受給資格があります。

  • 国民年金に加入していた人(20歳から60歳まで全ての人)
  • 60歳から65歳未満の人のうち、任意加入制度で国民年金に加入しており、日本国内に住所があった人

ここで言う保険料納付済みの期間とは、国民年金保険料の免除期間、または、第1号被保険者ではない厚生年金の被保険者期間あるいは共済組合の組合員期間も含みます。

ただし死亡日が平成38年4月1日より前で、かつ65歳未満だった場合は、亡くなった月の前々月までの1年間に、保険料の未納がないことが条件です。

受け取る人の条件

下記の条件に当てはまる人のうち、いずれかが受け取れます。

  • 18歳になった年度の末日(3月31日)までにある子
  • 障害(1級または2級)の状態にある20歳未満の子
  • 上記の「子」がいる配偶者(夫・妻どちらでも可)

上記の「子」は、婚姻していないことも条件となります。

遺族基礎年金の年額

計算式は以下のとおりです。

  • 子を持つ配偶者が受け取る場合:780,100円+子がいる場合は加算
  • 子が受け取る場合:780,100円+他に子がいる場合は加算

加算額は、2人目の子までは1人につき224,500円、3人目以降の子については1人につき74,800円です。子が受け取る場合は、本人以外の子を2人目、3人目と順次カウントして加算します。

前述の条件を満たさなくなるまでの年度について、継続して受給することができます。

遺族基礎年金の手続きに必要な書類

遺族基礎年金を受け取ることができる場合は、以下のページから必要書類を確認し、市区町村役場の窓口で手続きを行います。(ただし、死亡日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所または年金相談センターでの手続きとなります。)

遺族基礎年金を受けられるとき|日本年金機構

遺族厚生年金とは?受け取るための条件

一家の大黒柱である夫が亡くなって経済力のない妻が残された場合に、遺族基礎年金とは異なり、子どもがいなくても受け取れる可能性がある遺族年金です。主に配偶者を助ける目的があります。

第一条件は厚生年金加入中または受給中の故人によって、対象者の生計が維持されていたことです。そのうえで、故人と受け取る人のそれぞれに満たすべき条件があります。共済年金に加入していた場合も当てはまる可能性がありますので、共済に直接確認してみてください。

故人に関する条件

遺族厚生年金が支給されるためには、故人が次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • 老齢厚生年金の受給権者
  • 老齢厚生年金の受給資格を満たしていた人(60歳から65歳未満の人で、老齢基礎年金の受給資格を満たしており、保険料納付済みまたは免除期間が合計で25年以上ある)
  • 死亡した時点で厚生年金に加入していた人(被保険者)
  • 被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に亡くなった人
  • 1級または2級の障害厚生(共済)年金を受給していた人

受給資格については、細かい特例や経過措置がありますので、年金事務所や年金相談センター、ねんきんダイヤルで相談してみましょう。

受け取る人の条件

下記の条件に当てはまる人のうち、いずれかが遺族厚生年金を受け取れます。ただし優先順位がありますので注意してください。

  1. 子のある妻、または子のある55歳以上の夫
  2. 子のない妻(30歳未満の場合は、5年間の限定支給)
  3. 子のない55歳以上の夫
  4. 55歳以上の父母
  5. 55歳以上の祖父母

他にも、以下の条件を満たす必要がありますので注意してください。

  • 上記の夫、父母、祖父母が受給開始できるのは60歳。夫は遺族基礎年金を受け取っている場合のみ、60歳より前でも受給できる。
  • 子と孫は、18歳になった年度の末日(3月31日)までにある。または、障害(1級または2級)の状態にある。

遺族厚生年金の金額

受け取れる金額の目安は、厚生年金加入者本人が報酬比例部分(本来受け取るはずだった老齢厚生年金)の4分の3です。老齢厚生年金の額は、厚生年金保険加入期間中に受け取っていた報酬や加入期間によって決まるため、各人で異なります。

遺族厚生年金の手続きに必要な書類

遺族厚生年金を受け取ることができる場合は、以下のページから必要書類を確認し、年金事務所または年金相談センターで手続きを行います。

遺族厚生年金を受けられるとき|日本年金機構

条件を満たせば中高年齢寡婦加算あり

遺族基礎年金を受け取ることのできない、以下のいずれかに該当する妻の場合は、40歳から65歳になるまでの間、585,100円が加算されます。

  • 夫の死亡時に妻が40歳から65歳未満の間で、生計を同じくする子がいない場合
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた「子のある妻(40歳に達した段階で、子がおり遺族基礎年金を受け取っていた場合のみ)」が、子が18歳(障害の状態にある場合は20歳)になった年度の末日(3月31日)に達したため、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった場合

寡婦年金とは?受け取るための条件

家族が亡くなった際に、残された配偶者のうち妻を守る給付です。国民年金保険料の納付済期間と免除期間を合わせて25年以上ある夫が、年金をもらわずに死亡した際、妻に給付されます。ただし、故人と受け取る人のそれぞれに満たすべき条件があります。

故人に関する条件

寡婦年金が支給されるためには、故人である夫が次の全ての条件を満たしている必要があります。

  • 国民年金の第1号被保険者(国民年金のみに加入している)として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が25年以上
  • 老齢基礎年金を受けたことがない
  • 障害基礎年金の受給権者であったことがない

受け取る人の条件

下記の条件に全て当てはまる妻は、受け取ることができます。

  • 10年以上継続して婚姻関係にある
  • 65歳未満
  • 繰り上げの老齢基礎年金をもらっていない

受け取る人は「妻」であることが第一条件です。上記の条件を満たしていても、妻が亡くなり夫が生存している場合は受給できませんので注意してください。

寡婦年金の金額

夫の死亡日前日までの第1号保険者の期間で、夫が本来もらえるはずであった老齢基礎年金額が計算されます。その4分の3が寡婦年金の額です。妻が60歳から65歳になるまで受け取れます。

寡婦年金の手続きに必要な書類

寡婦年金を受け取ることができる場合は、以下のページから必要書類を確認し、市区町村役場の窓口、年金事務所または年金相談センターで手続きを行います。

寡婦年金を受けられるとき|日本年金機構

死亡一時金とは?受け取るための条件

家族が亡くなった際に、一括で受け取れる可能性のある給付です。故人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けることなく死亡してしまった場合、生計が同じ遺族が受給できます。国民年金の第1号被保険者として、保険料を納めていた月数が36か月以上あることも条件となります。

なお、死亡一時金を受け取れる人には優先順位があり、次のとおりです。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹

死亡一時金の金額

受け取れる金額については、下記の表を確認してください。

保険料納付月数 金額
36か月以上180か月未満 120,000円
180か月以上240か月未満 145,000円
240か月以上300か月未満 170,000円
300か月以上360か月未満 220,000円
360か月以上420か月未満 270,000円
420か月以上 320,000円

死亡した月の前月までに、付加保険料が36か月以上納付されていれば、さらに8,500円が加算されます。

死亡一時金の手続きに必要な書類

死亡一時金を受け取ることができる場合は、以下のページから必要書類を確認し、市区町村役場の窓口、年金事務所または年金相談センターで手続きを行います。

死亡一時金を受けられるとき|日本年金機構

故人の扶養に入っていた場合は、新規加入手続きが必要

国民年金の第3号被保険者であった妻などが、配偶者の死亡後すぐに仕事に就かない場合は、第1号被保険者に変更となります。年金手帳、印鑑、資格喪失届などを持参して、2週間以内に住所地の市区町村役場で手続きをしましょう。

未支給年金の請求と新規加入手続きはすみやかに

故人が年金受給者であった場合には、死亡届の提出と同時に未支給年金に関する手続きを同時に済ませてください。新規加入手続きも2週間以内に行いましょう。

年金受給者、未受給者ともに、条件によっては遺族給付を受け取るための申請が必要となりますが、その期限は長めに設定されています。一時金に関する手続きの期限は2年、遺族年金に関する期限は5年です。

残された家族を守るための制度なので、利用できるものについては後からでも申請してみることをおすすめします。

遺族給付を受け取れるかどうかは判断が難しい場合もありますが、条件に当てはまれば大きな負担軽減になります。日本年金機構ホームページを見ても不明点が多い場合には、ねんきんダイヤルを活用したり、年金事務所に直接たずねたりしてみましょう。

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