相続人

弁護士監修記事 2018年12月27日

遺言を残さないとあなたの財産を誰が相続することになるのか|「法定相続」の仕組みを詳しく解説

遺言書を残すなどの相続対策をしない場合、あなたが亡くなった後に、財産を「誰が相続するのか(相続人)」「どの程度相続するのか(相続分)」は、法律のルールに従って決められます(法定相続)。 相続人が誰かがわからない場合、家族はあなたの戸籍を調べるなどして、相続人調査をしなければなりません。あなたがあらかじめ相続人を調べて、一覧表にまとめておくことで、家族が相続人を調べる手間をなくすことができます。 法律のルールでは、誰があなたの財産を相続することになるのか、この記事で確認しましょう。

目次

  1. 財産を「誰が」「どの程度」相続するかを確認する
  2. 法定相続人
    1. 配偶者は常に相続人になる
    2. 子どもがすでに死亡していると「孫」が相続する場合がある
    3. 行方不明の人も相続人に含まれる
  3. どの程度の財産を相続するか
    1. 異母(父)きょうだいの取扱い

財産を「誰が」「どの程度」相続するかを確認する

alt あなたが遺言書を残すなどの相続対策をせずに亡くなった場合、「誰が財産を相続するか(法定相続人)」と「相続する財産の割合(法定相続分)」は、法律のルール(法定相続)に従って決められます。 しかし、法律では、「不動産は配偶者に、貯金は長男に」というように、どの財産を誰が相続するかまでは決めてくれません。 相続人は、他に相続人はいないのか調べ、あなたにどのような財産があるのか調べてから、財産をどう分けるのかを話し合って決めます。この話合いを「遺産分割協議」といいます。 遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければなりません。1人でも欠ければ、話合いをはじめからやり直すことになる可能性があります。 相続人は、あなたが生まれてから死ぬまでの戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本など、多くの資料にあたり、「誰が相続人なのか」を調べていきます。相続人が複数に渡る場合、この作業は手間がかかることがあります。 あなたが事前に相続人を調べて一覧表に記録しておけば、家族が、相続人を調べる手間がなくなり、残された家族が遺産分割協議をやり直さなければならなくなるリスクも避けられます。 法律のルールでは、誰があなたの財産を受け継ぐ相続人になるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

法定相続人

alt 法定相続のルールに従って相続する人を「法定相続人」と言います。 alt

配偶者は常に相続人になる

誰が相続人になるかは、あなたの家族構成によって異なります。 亡くなった方のことを「被相続人」と言います(この記事では、あなた自身を意味します)。 まず、どのような家族構成であっても、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。 その他の相続人は、大きく「子ども」「親」「きょうだい」という3つのグループに分けられます。 この3つのグループには、相続できる権利について優先順位がつけられています。 一番優先順位が高いのが、子どものグループ(第1順位)で、次が親のグループ(第2順位)、最後がきょうだいのグループ(第3順位)です。 「優先順位が高い」というのは、「優先順位の高いグループがいる場合、優先順位の低いグループは相続人にならない」という意味です。 たとえば、被相続人に子ども(もしくは孫)が1人でもいる場合、被相続人の親(もしくは祖父母)が健在であっても、相続人にあたりません。 親は、子ども(もしくは孫)がいない場合に、はじめて相続人になることができます。 同様に、きょうだいは、被相続人に子どもや孫がおらず、親(もしくは祖父母)が1人もいない場合のみ、相続人にあたります。

被相続人の前妻(夫)との間に生まれた子や、不倫などで婚姻関係にない相手との間に生まれた子も、相続人にあたります。

子どもがすでに死亡していると「孫」が相続する場合がある

被相続人が死亡した時点で、相続人にあたる子どもがすでに亡くなっていたり、一定の理由で相続人から除かれたりした場合(相続欠格・廃除)、その相続人の子ども(被相続人の孫)が相続人になることがあります。 このルールを「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)といいます。 どのようなルールなのか、相続人が既に亡くなっているケースで考えてみましょう。

  • 家族構成は、父(被相続人)・母・長男・次男・次男の妻・次男の子(孫)
  • 父が亡くなる前に次男がすでに死亡していた
  • 父は遺言書を残していなかった

alt このケースでは、母と長男に加え、「次男の子(被相続人の孫)」が、すでに亡くなっている次男に代わって、父の財産を相続することになります。

孫も死亡していた場合は、「ひ孫→玄孫」というように、下の世代が相続していくことになります(再代襲相続)。

「おい・めい」が相続人になるケース

被相続人のきょうだいが相続人となるケースで、きょうだいが被相続人よりも先に死亡している場合も、代襲相続が生じ、「おい・めい」が相続人になる可能性があります。 たとえば、次のようなケースです。

  • 被相続人の両親、祖父母はすでに他界している
  • 被相続人は結婚していたが、子どもはいなかった
  • 被相続人には姉がひとりいる
  • 被相続人の兄はすでに他界しているが、兄には息子がひとりいる

alt 今回のケースでは、兄に息子(被相続人からみて「おい」)がいるため、被相続人の妻と、姉にあたる長女に加え、おいも被相続人の財産を相続することになります。

「おい・めい」が死亡していた場合、「ひ孫→玄孫」のように、下の世代が相続していく「再代襲相続」は生じません。「孫」が死亡していたケースとは異なるので注意しましょう。

行方不明の人も相続人に含まれる

法定相続人になるはずの人が行方不明の場合、その人も相続人に含まれます。 より具体的に説明すると、行方不明の相続人に代わって「不在者財産管理人」に選任された人が、財産の分け方を決める話合いなどに参加します。 「誰がどの程度の財産を相続するか」を考えるとき、行方不明の相続人がいる場合は、その行方不明者が相続する分も考慮することを忘れないように気をつけましょう。

どの程度の財産を相続するか

alt 相続人が相続する遺産の割合についても、法律で定められています(法定相続分)。 相続分は、「配偶者と子ども」「配偶者と父母」など、相続人の組み合わせによって異なります。 下の図で確認してみましょう。

法定相続人 相続できる割合
配偶者のみ 配偶者が100%
配偶者と子ども(第1位順位) 配偶者1/2、子ども1/2
※子ども(孫)が複数いるときは1/2を均等に分ける
配偶者と父母(第2順位) 配偶者2/3、父母1/3
※父母が双方健在のときは1/3を均等に分ける
配偶者と兄弟姉妹(第3順位) 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
※兄弟姉妹が複数いるときは1/4を均等に分ける
子どものみ 子どもが100%
※子どもが複数いるときは均等に分ける
父母のみ 父1/2、母1/2
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹で均等に分ける

異母(父)きょうだいの取扱い

きょうだいが相続人になるケースで、異母(父)きょうだいがいる場合は、異母(父)きょうだいも相続人になることに注意しましょう。 なお、異母(父)きょうだいの相続分は、両親がどちらも同じきょうだいの相続分の半分です。 alt たとえば、被相続人Aさんの法定相続人が、配偶者Bさん、異母きょうだいのCさん、同じ両親から生まれたDさんの4人いたとしましょう。 この場合、Bさんの法定相続分は4分の3で、残り4分の1をCさん・Dさんで分けることになります。 異母きょうだいであるCさんの相続分はDさんの2分の1になるため、Cさん、Dさんが受け継ぐ財産の割合は次のようになります。 Cさん:1/4 × 1/3 = 1/12  Dさん:1/4 × 2/3 = ⅙

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