業務委託

弁護士監修記事 2019年04月17日

正社員のはずなのに「業務委託契約」を求められたときの注意点

「正社員として入社すると思っていたのに、契約書には『業務委託』と書かれていた」「正社員で入社したのに、途中から業務委託に切り替えてほしいと求められている」。 このように会社から求められた場合、応じてよいのか判断に悩む方もいるでしょう。会社で働く場合は通常、「雇用契約」を結びます。 この記事では、業務委託契約と雇用契約の違いや、会社から業務委託契約の締結、変更を求められた場合の対処法を詳しく解説します。

目次

  1. 会社で働くときには「雇用契約」が一般的
    1. 雇用契約の場合は従業員を守るための法律がある
  2. 業務委託契約とは
  3. 雇用か業務委託かあいまいな場合の判断基準
  4. 契約内容を確認する
  5. 雇用契約を結びたい場合

会社で働くときには「雇用契約」が一般的

alt 会社の従業員やアルバイトとして働く場合、通常は雇用契約を結びます。契約書は「雇用契約書」というタイトルが一般的です。 雇用契約の内容は、労働力を提供することです。従業員は、会社の命令に従って仕事をします。

雇用契約の場合は従業員を守るための法律がある

雇う側の会社と、雇われる側の従業員とでは、相対的に従業員は弱い立場に置かれます。 契約の内容は当事者同士で自由に決めることができるのが原則ですが、原則どおりにすると、従業員にとって非常に不利な契約が結ばれてしまう可能性があります。 極端な例ですが、「時給10円、1日12時間、休みなし」といった雇用契約でも、当事者同士が合意すればOKということになってしまうのです。 そこで、法律によって様々な規制や労働者の保護が図られています。

規制がある項目(例) 規制の内容
賃金 ・最低賃金
・残業、深夜業、休日出勤の割増賃金 など
労働時間 ・1日8時間、週40時間
・残業規制 など
休日 ・法定休日
・休日出勤の規制 など
休暇 ・有給休暇など

また、会社には、各種社会保険への加入が義務づけられています。保険料の半分を会社が負担することになっています。 従業員がケガや病気などになった場合に、補償や手当を受けることができます。

社会保険の種類 補償や手当の内容
健康保険 ・傷病手当金、出産手当金 など
・保険料は会社と折半
厚生年金保険 ・国民年金の上乗せ部分
・保険料は会社と折半
雇用保険 ・失業保険、育休手当 など
・保険料は会社と折半
労災保険 ・仕事や通勤中にケガや病気になった場合の補償
・保険料は全額会社負担

さらに、会社が従業員を解雇する場合にも、様々な法律による制限があります。

業務委託契約とは

alt 一方、業務委託契約の場合、会社の従業員としてではなく、個人事業主(自営業・フリーランス)として仕事を行ないます。 法的にいうと、「請負契約」や「準委任契約」にあたります。 請負契約の内容は、仕事を完成させることです。たとえば、建物の建築などがあります。 準委任契約の内容は、特定の業務を処理することです。たとえば、医師による患者の診察などがあります。 個人事業主なので、会社からの命令に服する義務はなく、個人として独立して仕事を行なうことが特徴です。 そのため、労働時間や残業代などの規制はありません。また、会社には個人事業主のために労災保険などに加入する義務もないので、仕事を理由としてケガや病気になったとしても、補償を受けられません。

雇用契約との比較 内容
報酬 ・労働力の提供ではなく、仕事を完成させたこと(請負)や、特定の業務を処理したこと(準委任)に対して支払われる。
・残業代や休日出勤手当はない。
労働時間、休日、休暇 ・決まりはない。個人が自由に決められる。
社会保険の種類 内容
健康保険 ・国民健康保険に個人が加入する。費用は個人負担。
年金 ・国民年金に個人が加入する。費用は個人負担。
・厚生年金のような上乗せ部分はない。
雇用保険 ・なし
労災保険 ・なし

さらに、業務委託契約では、雇用契約のような解雇規制がないため、契約を簡単に打ち切ることができます。

雇用か業務委託かあいまいな場合の判断基準

alt 仕事の内容によっては、雇用契約と業務委託契約のどちらに当てはまるのか曖昧な場合もあるでしょう。 判例は、雇用か業務委託かを判断する要素として、次のような項目を挙げ、総合的に判断しています。

判断要素 雇用 業務委託(請負・準委任)
仕事を引き受けるか断るかを自由に決められるか。 ・断る自由がない。 ・自由に決められる。
勤務時間・勤務場所の指定があるか。 ・指定がある。 ・指定がない。
業務に用いる器具を誰が負担するか。 ・会社の器具を使用できる。 ・自分で用意する。
報酬が労働力の提供に対して支払われるかどうか。生活保障の要素があるか。 ・固定給部分があり、生活保障的な要素が強い。
・欠勤控除、残業手当などがある。
・出来高制。

契約内容を確認する

alt 会社から業務委託契約を結ぶように言われた場合には、仕事の内容と契約内容が合っているかどうかを確認しましょう。 仕事の内容が労働力の提供で、会社の命令に従わなけれならない(雇用)にもかかわらず、会社が業務委託契約を結ぶことを求めてくることがあります。 そのような会社には、「残業代を支払いたくない」、「社会保険の保険料を負担したくない」、「簡単に契約を打ち切れるようにしたい」という狙いがあります。 このような場合に業務委託契約を結んでしまうと、会社の命令に従って労働力を提供したのに、残業代が支払われなかったり、仕事でケガや病気になったとしても労災の補償を受けられなかったり、簡単に契約を打ち切られてしまうといったトラブルになる可能性があります。

雇用契約を結びたい場合

alt 仕事の内容が業務委託ではなく雇用だと思う場合には、契約書を「雇用契約書」にしてもらうように交渉しましょう。 また、雇用契約の場合、会社には、勤務時間や勤務場所などの労働条件を記載した「労働条件通知書」を従業員に渡す義務があります。 労働条件通知書も雇用契約書と一緒にもらうようにしましょう。

契約書の内容を自分で判断することができなかったり、会社との交渉が難しいと考えたりしたときは、弁護士に交渉を依頼しすることを検討してみてもよいでしょう。

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