これってマタハラ?マタハラの具体例と実際に被害にあった場合の対処法

会社に妊娠を報告すると、退職や、正社員からパートになるように言われることがあるかもしれません。上司や同僚の心ない言葉に傷ついて、仕事の意欲が低下することもあるでしょう。

  • 産休・育休を認めてもらえない
  • 妊娠を理由に退職するよう言われる
  • 上司や同僚に嫌味を言われる

この記事では、こうしたマタハラの具体例と対処法について詳しく解説します。

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目次

  1. 妊娠を報告したときのマタハラ
  2. 上司・同僚からのマタハラ
    1. 妊娠などに関する制度を利用することに対する嫌がらせ
    2. 妊娠している・つわりが酷いなどの状態に対する嫌がらせ
  3. マタハラ・パタハラの被害を避けるためにできること
    1. どんな制度が利用できるのかを確認する
    2. どの制度を利用したいのかを、はっきりと伝える。
  4. もしマタハラ・パタハラを受けてしまったら
    1. はっきりと意思を伝えましょう
    2. 会社の窓口に相談しましょう
    3. 労働局に相談しましょう

妊娠を報告したときのマタハラ

会社に妊娠を報告したら、このように言われたことはありませんか?

  • 産休・育休を認めない。
  • 妊娠を報告したら、退職するように言われた。
  • 正社員なのに、パートになるように言われた。
  • 次の契約は更新しないと言われた。

このように、妊娠・出産・育休などを理由として、会社が労働者に対して不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。 もし、会社からこのように言われたとしても、産休・育休を取得できます。退職などをする必要はありません。

  • パート・派遣社員・契約社員として働く女性も産休を取得できます。育休も条件を満たせば取得できます。
  • 妊娠したからといって、退職したり、正社員からパートになったり、契約更新を拒否されたりする理由はありません。
  • 男性も育休を取得できます。

このような扱いを受けた場合には、最寄りの労働局に相談しましょう。

上司・同僚からのマタハラ

上司や同僚に、このようなことを言われたことはありませんか?

  • 妊娠を報告したら、「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。
  • 妊婦健診のために休みを取りたいと上司に相談したら、「病院は休みの日に行くものだ」と相手にしてもらえなかった。

このように、妊娠・出産や、そのための制度を利用することなどに関して、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うことを、マタハラ(マタニティーハラスメント、パパに対する場合はパタハラ)といいます。 会社は法律により、マタハラ・パタハラを防止する措置を講じることが義務づけられています。 マタハラ・パタハラには、大きく次の2種類があります。

  • 妊娠などに関する制度を利用することに対する嫌がらせ
  • 妊娠している・つわりが酷いなどの状態に対する嫌がらせ

妊娠などに関する制度を利用することに対する嫌がらせ

たとえば、次のような例があります。

  • 立ち仕事を免除してもらったら、「あなたばかり座って仕事をしてずるい!」と、同僚から仲間はずれにされた。
  • パパが育休を申請したら、「男のくせに育休とるなんてあり得ない」とパパの上司に言われた。
  • 育休復帰後に短時間勤務をしていたら、 「あなたが早く帰るせいで、まわりは迷惑している」 と同僚に言われた。

妊娠をすると、産休をはじめとする様々な制度を利用できます。このような制度を利用することで、あなたが嫌がらせを受ける理由はありません。

妊娠している・つわりが酷いなどの状態に対する嫌がらせ

たとえば、次のような例があります。

  • 「就職したばかりのくせに妊娠して、産休・育休をとろうなんて図々しい」と先輩に言われた。

妊娠したことや、つわりで思うように仕事ができないこと、出産をすること、産休を取得することなどを理由に、あなたが嫌がらせを受ける理由はありません。

マタハラ・パタハラの被害を避けるためにできること

マタハラ・パタハラを予防するためにできることとして、次の2つが考えられます。

  • どんな制度が利用できるのかを確認する。
  • どのような制度を利用したいのかを、はっきりと伝える。

どんな制度が利用できるのかを確認する

自分はどんな制度を利用できるのか、まずは確認してみましょう。 たとえば、次のようなことを知っておきましょう。

  • 産休と育休は違う制度です。
  • 産休には、産前休業と産後休業の2種類があります。
  • 産前休業は希望した人が取得できます。産後休業は必ず取得しなければなりません。
  • パート・アルバイトとして働く人も産休を取得できます。条件によっては育休も取得できます。
  • 男性も育休や時短勤務など、育児のための制度を利用できます。

会社の社内規則に規定がない、社内規則を見たことがない、前例がないという場合でも、制度を利用できます。

自分がどのような制度を利用できるのかわからない場合には、労働局に問い合わせると教えてもらえます。

どの制度を利用したいのかを、はっきりと伝える。

自分が利用できる制度がわかったら、その制度を利用したいことを、会社(上司、同僚)にはっきりと伝えましょう。 自分は制度を理解していても、会社や上司・同僚は知らないかもしれません。 妊娠中の体調不良には個人差があります。同じ女性でも、妊娠中に全く変わりなく働ける人もいれば、業務に差し支えるほど具合が悪くなる人もいます。 自分の状況を伝えないまま、会社や上司などに配慮を求めても、うまく伝わりません。

  • 「医師から◯◯という指導が出ている」
  • 「妊娠中は◯◯を持ち上げる仕事が難しい」

このように、自分の状況と、どの制度を利用したいのかを具体的に伝えるようにしましょう。

医師から勤務時間の短縮や作業の制限をするようになどと言われた場合には、「母性健康管理指導事項連絡カード」を医師に書いてもらいましょう。そのカードを会社に見せることで、医師の指導内容を会社に効果的に伝えることができます。

産休や育休を取得する場合には、休みに入る時期と復帰する時期を、はっきり伝えましょう。曖昧なまま休みに入ると、復帰の段階になって会社とトラブルになる可能性があります。

もしマタハラ・パタハラを受けてしまったら

もしマタハラ・パタハラを受けてしまったら、次のような対応が考えられます。

  • はっきりと意思を伝える
  • 会社の窓口に相談する
  • 労働局に相談する

はっきりと意思を伝えましょう

マタハラ・パタハラを受け流しているだけでは、状況は改善されません。

  • 「やめてください」
  • 「私はイヤです」

このように、あなたの意思を伝えましょう。 黙って我慢していると、事態をさらに悪化させてしまうことがあります。 問題を解決していくことで、同じように悩んでいる他の人を救うことにもつながります。

会社の窓口に相談しましょう

マタハラ・パタハラは、個人の問題ではなく会社の問題です。 会社の人事労務などの相談担当者や、信頼できる上司に相談しましょう。 労働組合に相談する方法もあります。 社内に相談相手がいない場合には、労働局に相談しましょう。

労働局に相談しましょう

労働局は、厚生労働省が管轄する国の機関です。マタハラ・パタハラなど、労働者と会社に関係する相談に乗ってもらえます。 労働局は、必要に応じて、次のようなことを行なってくれます。

  • 会社に対して、法律や制度の説明をする。
  • 相談の内容に応じて会社に事実確認を行い、会社に働きかけを行う。
  • 会社との間に紛争が生じている場合は、助言、調停など解決のための援助を行う。

ただし、相談者の了承がなければ、労働局が会社に相談者の情報を伝えることはありません。 労働局への相談は無料です。 もし、この記事で紹介したような扱いを受けた場合には、最寄りの労働局に相談しましょう。

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