養育費請求調停とは|離婚した後に養育費を請求するときに利用する手続きを解説

子の養育費については、離婚の際に取り決めることが一般的ですが、離婚した後でも養育費を求めることはできます。また、いったん決めた金額を変更することも可能です。こうした離婚後の養育費請求や金額の変更について、話し合いでまとまらない場合は「養育費請求調停」という手続きを利用することができます。

  • 養育費請求調停とは
  • 養育費請求調停の手続きの流れ

この記事では、こうした点について詳しく解説します。

目次

  1. 養育費の金額を変更する場合も調停を利用できる
    1. 養育費請求調停の手続きの流れ
  2. 申立て先
    1. 申立てに必要な書類
    2. 調停ではどんなことをするのか
    3. 調停が不成立になったら、自動的に審判へ
    4. 養育費が未払いになった場合の対処法
  3. 裁判所からの履行勧告
    1. 裁判所からの履行命令
    2. 強制執行

養育費請求調停とは

離婚によって、法的な夫婦の関係は解消されますが、親子の関係は続きます。離婚して子どもと離れて生活するようになった親にも、子どもを扶養する義務があります。 そのため、親権を持つ親(親権者)は、親権のない親(非親権者)に対して、養育費を請求することができます。 離婚にともなって養育費に関することも決めたいときに、夫婦の話し合いで結論が出ない場合は、離婚調停の手続きの中で、養育費についても話し合うことができます。

一方で、養育費について取り決めないまま離婚した場合は、親権者が、非親権者に対して「養育費請求調停」を申し立て、養育費の支払いを求めることができます。

養育費の金額を変更する場合も調停を利用できる

「これまでは自分も働いていたが失業して経済的に苦しくなった」「子どもが病気をして継続的に医療費がかかるようになった」ーー。養育費の額を決めた後でも、決めた時点と事情が変わることがあるかもしれません。 このような場合、監護親は非監護親に対して、養育費の増額を求めることができます。話し合いでまとまらない場合は、養育費請求調停を申し立てることができます。

反対に、非親権者から「養育費を減らしてほしい」と求められる場合もあります(養育費の減額)。この場合も、養育費請求調停が利用されます。

養育費請求調停の手続きの流れ

申立て先

養育費請求調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意して決めた家庭裁判所に対して申し立てることでスタートします。 親権者が「養育費を請求したい」「養育費を増額したい」と考えた場合は、非親権者の住所地を管轄する裁判所に申し立てることになります。 反対に、非親権者が「養育費を減らしてほしい」と考えた場合は、親権者の住所地を管轄する裁判所に申し立てることになります。

申立てに必要な書類

養育費請求調停を申し立てるには、次の書類が必要です。

  • 申立書とそのコピー1通( 裁判所のホームページからダウンロード可能)
  • 未成年の子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立人の収入に関する資料(源泉徴収票のコピー、給与明細のコピー、確定申告書のコピー、非課税証明書のコピーなど)

この他、追加書類の提出が必要な場合もあります。また、申立ての費用として、収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手が必要です。

調停ではどんなことをするのか

第1回目の調停は、申立てから1か月後あたりに開かれることが一般的です。1回の調停で結論が出ない場合は、さらに約1か月毎に2回目の調停、3回目の調停…と話し合いを重ねていきます。 調停は平日に行われ、1回あたりの所要時間は2時間ほどです。 調停には、裁判官1名と調停委員が2人(一般的には男女1人ずつ)参加します。調停では、親権者と非親権者は別々の待合室で待機します。 そして、交互に(例外的に同時となる場合もあります)に調停室という部屋に入り、調停委員と話をします。 調停委員は中立的な立場で、子どもの年齢や人数、それぞれの収入をはじめ、あらゆる事情について聞き取りを行います。 聞き取りが一通り終わると、事情を踏まえて、調停委員から、解決策やアドバイスが提示されます。

調停が不成立になったら、自動的に審判へ

調停では合意できなかった場合や、これ以上調停を続けても解決の見込みがないと家庭裁判所が判断した場合は、調停は不成立となり手続きは終了します。 その後、手続きは自動的に「審判」に移ります。審判では、裁判官が一切の事情を考慮して判断を下します。 調停で解決すると「調停調書」、審判で解決すると「審判書」という文書が家庭裁判所で作られます。

養育費が未払いになった場合の対処法

非親権者が養育費を支払わないなど、調停調書や審判書で書かれたことを守られない場合は、履行勧告・履行命令・強制執行といった措置をとって、養育費の支払いを促す、または強制的に実現することができます。

裁判所からの履行勧告

家庭裁判所に申し出ることにより、「履行勧告」という措置を求めことができます。履行勧告の申出には費用がかかりません。 履行勧告を申し出ると、家庭裁判所調査官が養育費の支払い状況等について調査をします。そして、非親権者に対して、養育費支払義務を果たすよう、電話や手紙、訪問などの方法で勧告をします。 履行勧告は、あくまで自発的に支払いを促すものです。相手にプレッシャーをかける効果はありますが、法的な強制力はありません。

裁判所からの履行命令

履行勧告に相手が応じない場合は「履行命令」を申し立てることができます。履行命令とは、裁判所が相当と認める場合に、期限を決めて、「この時までに支払いなさい」と命じるものです。 もっとも、履行命令でも強制的に未払いの養育費を支払わせることまではできません。しかし、相手が履行命令に従わずに養育費を支払わない場合には、10万円以下のペナルティが課せられます。 その意味で、間接的に養育費の支払いを強制する効果があるといってよいでしょう。

強制執行

非親権者の給料や預貯金、不動産などを差し押さえて、そこから強制的に養育費を支払わせることができます。 養育費等の支払いのために強制執行を行う場合、原則として、給与から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1までを差し押さえることができます。 例外的に、給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1が33万円をこえる場合は、差し押さえることができない金額は33万円が限度になります。つまり、2分の1を超える範囲についても差し押さえることができます。 なお、養育費等の扶養義務に基づく債権については、差押えは、過去に支払われなかった分だけでなく、将来の支払いにまで適用されます。 ただし、強制執行の申立てをすれば自動的に裁判所が非親権者の給料や財産を調べてくれるわけではありません。 強制執行をするときは、まず自分で相手の給料や財産を特定し、その上で給料や財産の差し押さえを裁判所に求めることになります。

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