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前科・不起訴

弁護士監修記事 2016年05月26日

前科・前歴とは?不起訴処分を獲得し前科をつけないための対処法

前科という言葉を、多くの方が聞いたことがあるでしょう。しかし、意外なようですが、前科は法律上の用語ではなく、明確な定義もありません。そのため、内容をきちんと理解している人は少ないものです。ここでは、前科について説明するとともに、前科をつけないための対処法として、不起訴処分について説明します。

目次

  1. 前科とは
    1. 前科がつくことによる影響
    2. 前科と前歴
  2. 前科と起訴・不起訴
    1. すぐに釈放されること
    2. 刑罰を免れること
  3. 不起訴の種類
    1. 嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴
    2. 起訴猶予による不起訴
  4. 不起訴処分を獲得するには

前科とは

まずは、前科とは犯罪者としての経歴である、と考えてください。 裁判となり、有罪判決により「刑」が言い渡されたとき、前科がつきます。「刑」には、懲役刑や禁錮刑といった身体的拘束を伴う刑はもちろん、罰金や科料といった軽微な刑も含みます。また、実刑に限らず、執行猶予がついた場合も含みます。 前科は、公的に記録されます。具体的には、検察が管理する前科調書と、本籍地の市区町村が管理する犯罪人名簿に記録されます。 前科調書に記載された前科は、一生消えることがありません。したがって、再び罪を犯した場合、検察が前科の存在に着目して、不起訴処分ではなく起訴を選択することがありえます。裁判でも、前科の存在が裁判官の心証に影響し、刑罰が重くなることもあるでしょう。 一方、犯罪人名簿の前科は、一定の条件を充たし、刑の言い渡しが効力を失ったときに抹消されます。

前科がつくことによる影響

前科がつくと、多くの国家資格の取得が制限され、その結果として、一定期間、その資格を必要とする職業に就くことができなくなる場合があります。資格によって、どの犯罪の前科があると制限されるのか、罰金刑も対象なのか、どのくらいの期間が制限されるのか(例えば、執行猶予期間の満了までか、実刑期間の満了後何年か)、といった条件は異なります。 ご自分の仕事に影響がある方は、取得したい資格の規定(例えば、国家公務員法38条、裁判所法46条、弁護士法7条)を確認することをお勧めします。 また、国家資格を必要としない職業であっても、履歴書の賞罰の欄に前科の記載があれば、事実上、就職に不利に働くでしょう。だからといって前科を隠し、その後発覚した場合には、解雇されるおそれがあります。さらに一部の業界では、就職に際していわゆる無犯罪証明書(犯罪経歴証明書)の提出を求められる場合があり、前科が就職に不利に働くことは否めません。 海外で働こうとしても、就労ビザが取得できない場合もあります。海外で働く場合、通常、就労ビザが必要になり、その発行の際に無犯罪証明書(犯罪経歴証明書)の提出を求められます。前科があっても就労ビザが取れるケースもありますが、前科が不利に働くことは否定できないでしょう。 そして、万が一、再び罪を犯し、逮捕されるようなことになれば、前述のように、前科調書に記載された前科が不利な資料となります。例えば、同種の犯罪であれば、不起訴処分の可能性がなくなったり、刑罰が重くなったりします。種類が違う犯罪であっても、裁判官の心証が悪くなることは否定できません。

前科と前歴

前科に似た言葉として「前歴」があります。前歴とは、警察・検察の捜査の対象となったという事実を指します。 裁判の前には必ず捜査がありますから、前科がある人には前歴がある、と言えます。不起訴処分となり、前科がない人でも、逮捕・勾留されたことがあれば前歴がある、と言えます。 しかし、前歴だけであれば先に挙げたような資格や就職の制限を受ける心配はありません。

前科と起訴・不起訴

前科をつけないためには、起訴されないことが重要なポイントとなります。今の日本では、刑事事件は、ひとたび起訴されたならば99.9%の確率で有罪判決が下る、という現実があるからです。 不起訴処分となった場合のメリットとしては、前科がつかない以外にも以下のものがあります。

すぐに釈放されること

勾留されていたとしても、不起訴となると、すぐに釈放され、拘置所や警察の留置施設から出ることができます。

刑罰を免れること

有罪判決を下される可能性がない以上、刑罰を課されることはありません。懲役刑や禁錮刑といった身体的拘束を伴う刑はもちろん、罰金や科料といった軽微なものも含めて免れることができます。

不起訴の種類

不起訴には2種類あります。嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴と、起訴猶予による不起訴です。

嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴

検察は、証拠によって有罪を立証できる確信が持てないときには、起訴しない傾向にあります。つまり、有罪を立証できる確信がないとして不起訴となるのが、嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴です。 嫌疑不十分による不起訴とは、証拠不十分で立証可能性が低い場合です。嫌疑なしによる不起訴とは、捜査を進めた結果。被疑者が犯人でないことが明らかになった場合です。

起訴猶予による不起訴

検察は、犯罪を立証できる場合であっても、すべての事件を起訴するわけではありません。罪状や被害者の心情、被害弁償の有無、被疑者の反省の程度や再犯可能性などを考慮し、裁判というコストをかける必要があると判断した場合にだけ起訴します。 軽微な犯罪である、前科がない、被害者の処罰感情が和らいでいる、弁償もなされている、といった場合には、裁判にする必要はないと判断され、起訴猶予による不起訴となることが多いでしょう。

不起訴処分を獲得するには

逮捕された時から数えて、最長でも23日以内に、検察は起訴するかどうかを決定します。 いったん起訴された事件を、取り消して不起訴にすることはできないため、不起訴処分を獲得したいならば、この23日間が勝負となります。 具体的に、どのようにすれば起訴されずに済むのでしょうか。まず、親告罪の場合には、告訴を取り下げてもらうことで起訴を防げます。起訴前に告訴を取り下げてもらえるよう、被害者側に働きかける必要があります。 ただ、働きかけるといっても、多くの場合、被害者は加害者に対して恐怖心、嫌悪感を抱いていますので、直接の接触は逆効果となるおそれがあります。弁護士を立て、弁護士を通じて被害者に謝罪し、被害を弁償し、示談に応じてもらえるよう働きかけるのがよいでしょう。 親告罪ではない場合には、不起訴処分の獲得を目指すべきです。そのためには、何よりも検察に対して反省を示す必要があります。再犯防止策を示すことで真摯な反省を表明したり、被害者がいる事件では、罪を犯したことを認めて示談を成立させたり、といった対応が求められます。 これに対して、裁判を覚悟してでも無実を主張して闘う場合には、取り調べ段階から注意深く対処する必要があります。勾留されながらの取調べの辛さから逃れたいがために安易に、反省していると述べ、罪を認める内容の供述調書に署名すると、後から「事実ではない供述をしてしまった」と言って無実を主張しても、裁判官は信用してくれません。そうなると、無実を得るのは難しくなるでしょう。 弁護士の客観的なアドバイスを求め、無実の証拠(いわゆるアリバイ)を収集するなど、慎重な対応にとるべきです。

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