離婚協議書とは?公正証書にする意味や離婚後でもつくるべきかも解説

離婚協議書とは、養育費や親権など、話合いで決めた離婚の条件を記した書面です。この記事では、離婚協議書とはどのような書面で、公正証書にするとどんなメリットがあるのか、離婚後でもつくるべきなのか、といったポイントを詳しく解説します。離婚協議の進め方や協議で決めることもガイドしているので、ぜひ参考にしてください。弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談も紹介します。

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目次

  1. 離婚協議書とは
    1. 離婚協議書に書く内容
  2. 離婚協議書をつくるメリット
  3. 離婚協議書は公正証書で作成する
  4. 離婚協議書を公正証書にしない場合の効力
  5. 離婚協議書を公正証書にする方がよいケース
  6. そもそも離婚協議とは?
    1. 離婚協議の流れ
    2. 離婚協議をスムーズに進めるポイント
  7. 離婚が成立した後でも間にあう?
    1. 離婚後に財産分与・年金分割・慰謝料を請求するときの期限
  8. 離婚協議書の内容を離婚後に変更できるか
  9. まとめ
  10. 次はこの記事をチェックしましょう

離婚協議書とは

離婚協議書とは、養育費や親権など、話合いで決めた離婚の条件を記した書面です。 書面にしておくことで、後になって約束が守られなかったときなどに、適切に対処することができます。

離婚協議書に書く内容

離婚協議書に決められた書式はありませんが、たとえば、以下のようなことを記載します。

  • 離婚に合意した日および夫婦のどちらが離婚届を提出するか
  • 親権者および監護権者の指定(未成年の子がいる場合)
  • 養育費の取決め
  • 面会交流の取決め
  • 慰謝料の取決め
  • 財産分与の取決め
  • 年金分割に合意した場合の取決め
  • 清算条項
  • 通知義務(住所、連絡先、勤務先などが変わったときはすぐに連絡すること)
  • 公正証書作成への協力(執行認諾文言を入れる合意を記載する)

これ以外にも夫婦で取り決めた内容があれば、細かいことでも記載しておきましょう。

離婚協議書をつくるメリット

協議離婚では、夫婦の話し合いで合意すれば離婚協議書を作成しなくても離婚できますが、離婚の条件などを書類にしておくことで、後になって約束が守られなかったときなどに、適切に対処することができます。 口約束だけで離婚の条件を決めてしまうと、離婚条件の内容が書面として残りません。そのため、離婚後に相手が約束を破った場合でも、「そんな約束をした覚えはない」などと言われて、泣き寝入りせざるをえない状況になる可能性があります。

有責配偶者からの離婚協議書の作成希望について。拒否できますか。

相談者の疑問 夫の不倫が原因で、近日中に離婚します。子どもはなく、分与する共有財産もありません。

先日互いの両親を交えて慰謝料の額が決まり、離婚することが正式に決定し、その場で夫に押印つきの覚書をもらいました。

夫には記入済みの離婚届を渡してあり、慰謝料の入金があり次第、提出してもらうことになっています。

夫から、今後のトラブルを防止するために、離婚協議書など双方の署名押印入りの文書を残したいと言われたのですが、応じるべきか迷っています。離婚協議書を作成するメリットと、作成しないデメリットを教えてください。

中川 博貴の写真 弁護士の回答中川 博貴弁護士 多額の金銭の移動が生じている以上、相手方が多く支払ったことについて、後々に払いすぎたので返還してほしいやだまされたので返還してほしい等の訴訟になった場合のとても重要な証拠になると考えます。その点で、将来の紛争防止の観点から作成される方がいいと考えます。

作成しないデメリットとしては、合意が不明確であるので、後に発生するかもしれない紛争で本件離婚以外の慰謝料請求ができない場合や返金を求められた場合に客観的な証拠がないことによる敗訴のおそれがあると考えます。

離婚協議書は公正証書で作成する

離婚協議書は、「公正証書」の形で作成することをおすすめします。 公正証書とは、取決めた合意の内容を、公証人が書面化した公的な文書です。公証人は、裁判官や検察官検事の経験者など法律の専門家がなります。 公正証書を作成するときに、「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」を入れておくと、裁判所の判決がなくても、給与の差押えなどの強制執行をすることができます。 強制執行認諾文言とは、「この書面に書かれた取決め内容を守らなかったら、強制執行を受けても文句は言いません」と約束する一文です。 具体的には、「甲は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨を陳述した。」というような一文を入れておきます。 離婚して時間がたつと、離婚で決めた条件を、相手が守らなくなることがあります。 特に、養育費や財産分与などを分割払いにした場合には、途中で支払ってくれなくなり、トラブルになるケースが少なくありません。 離婚協議書を作成しただけでは、相手が取決めを守らない場合に、給与を差し押さえるなど、強制的に取決めを守らせることができません。裁判を起こして判決を得る必要があります。 こうした手間をかけないために、離婚協議書の内容を「強制執行認諾文言」付きの公正証書の形にしておくことをおすすめします。 離婚協議書を公正証書にするための具体的な手続きは、この記事の最後に紹介する「離婚協議書の書き方」の記事で解説します。

離婚協議書を公正証書にしない場合の効力

離婚協議書を公正証書にしない場合でも、離婚協議書を作成する意味はあります。 そもそも、離婚協議書を作成しない場合でも、離婚の条件について双方で口頭で合意できれば、その合意の内容は法的な効力を持ちます。これは、お店で商品を購入する際に、売買契約書を作成しなくても売買契約が法的に成立し、お店に代金を支払わなければならないのと同じことです。 しかし、その場ではお互いに納得して離婚条件に合意したとしても、時間が経つにつれて合意の内容を忘れてしまったり、勘違いしてしまったりすることがあります。たとえば、面会交流の頻度や回数などです。そのようなトラブルを防ぐために、離婚協議書を作成します。これは、家などの大きな買い物をするときに売買契約書を作成するのと同じです。 また、離婚するときに合意した離婚条件の内容が、離婚後に守られないことがあります。たとえば、養育費・慰謝料・財産分与などが合意に違反して支払われないケースが挙げられます。そのような場合に、直ちに相手の給料などを差し押さえることはできません。まずは養育費などの支払いを求める訴訟を提起して、勝訴したら判決書をもとに差押えの手続きをすることができます。訴訟の中では、養育費などの支払いについて合意があったことを証拠を提出して証明しなければなりません。このときに証拠となるのが離婚協議書です。 このように、離婚協議書は、公正証書にしない場合でも、合意の内容を忘れるなどのトラブルを防いだり、離婚後に合意内容が守られず訴訟を提起する場合の証拠になったりするといった意味があります。

離婚協議書を公正証書にする方がよいケース

財産分与や慰謝料、養育費など、お金の支払いを離婚条件とする場合には、離婚協議書を公正証書にすることをおすすめします。 では、慰謝料を請求せず、財産分与をしないことを合意した場合はどうでしょうか。

慰謝料および財産分与なしの離婚協議書

相談者の質問 離婚協議中です。妻の不倫により離婚することになりました。慰謝料は不倫相手が全額負担し、和解書を作成したので、妻には請求しないことにしました。

財産については、妻の預金口座をそのまま渡し、財産分与はしないことにしました。

この場合、離婚協議書は作成した方がよいのでしょうか?また、公正証書にした方がよいのでしょうか?

原田 和幸の写真 弁護士の回答原田 和幸弁護士 > 離婚協議書は作成した方がよいのでしょうか?

お互いの意思を明らかにするためあったほうがよいでしょうね。

> また、公正証書にした方がよいのでしょうか?

金銭的な請求が絡む場合は特にそうでしょうし、そうでなくても公証人が関与していますから、文書の信用性という意味では私的に作るよりはよいと思います。

 

お金の支払いが発生しない内容の合意でも、お金の支払いや請求をしないという合意をしたことの証拠として、離婚協議書を作成する方がよいようです。 慰謝料を一括で支払ってもらう場合でも、離婚協議書を公正証書にするべきでしょうか。

離婚慰謝料を一括でもらえる場合でも公正証書にした方がよいでしょうか。

相談者の質問 離婚協議書にて慰謝料200万円を月末までに一括で振り込むように記載したとします。その月末までの期間が2~3週間空いている場合、たとえ一括であっても公正証書を作成した方がよいのでしょうか。

小寺 悠介の写真 弁護士の回答小寺 悠介弁護士 先に離婚届を出す場合は支払いを確保するために、公正証書は作成しておいたほうがよいでしょう。公正証書には、強制執行受諾文言といって、仮に支払いをしなかった場合に強制執行をうけることを予め了承するという条項を入れます。そうすれば、裁判をせずとも強制執行が可能となります。

 

そもそも離婚協議とは?

離婚には、夫婦間の話合いによって離婚する協議離婚の他に、裁判所の手続きを利用する、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があります。 協議離婚とは、夫婦が離婚をすることについて話し合い(離婚協議)をし、市役所に離婚届を出すことによって成立する離婚のことです。 厚生労働省の「離婚に関する統計」の概況(平成21年度)によると、 離婚する夫婦の約9割が協議離婚で離婚しており、審判離婚で離婚したケースはほとんどありません。少し古いデータですが、近年、裁判所が関与する離婚事件が急増した、といったデータはないため、現在も協議離婚が多数を占めることに変わりないと考えられます。 離婚協議書は、協議離婚をする場合に作成する書類です。調停離婚、審判離婚、裁判離婚では、離婚協議書の作成は不要です。

調停離婚の場合は、離婚が成立すると、「調停証書」が、審判離婚の場合は「審判書」が、裁判離婚の場合は「判決書」が作成されます。これらの書類があれば、離婚後にお金の未払いなどが生じた場合に裁判をせずに差し押さえができます。そのため、別途、離婚協議書を作成する必要はありません。

離婚協議の流れ

離婚協議は、以下のような流れで進めていきます。

  1. 夫婦で離婚条件を話し合う
  2. 合意できた条件を離婚協議書にまとめる
  3. 離婚協議書を公正証書にする
  4. 離婚届を役所に提出する
  5. 離婚成立

離婚協議をスムーズに進めるポイント

離婚協議を進めるにあたっては、相手の意見にも耳を傾けつつ、できるだけ冷静に話し合いましょう。場合によっては、相手に一歩譲ることで解決の糸口が見つかり、スムーズに離婚できる可能性があります。 弁護士のアドバイスを受けることを検討してもよいでしょう。法律相談のみであれば、正式に依頼するよりも費用を抑えることができます。

離婚協議に際しての弁護士さんへの相談に関して

相談者の疑問 離婚協議に入る際に、弁護士に相談をしたほうが良い理由は何でしょうか?

また、費用はどれくらいかかりますか?

中井 陽一の写真 弁護士の回答中井 陽一弁護士 離婚協議に入る前に相談をした方がよい理由としては、

1.各種金銭面(養育費・財産分与・慰謝料・年金分割)について、あなたの具体的なケースに即した相場をアドバイスしてもらえる。

2.相手が離婚を拒否したときや、親権でもめた場合の、見通しや今後の採るべき方法を教えてもらえる。

3.協議がまとまった場合に、今後トラブルとならないようにどうすればよいか(EX.公正証書や離婚協議書の作成方法など)を教えてもらえる。

4.協議がまとまらず、調停などになった場合に、一度相談して事案をわかってもらえているので、依頼することになればスムーズに依頼しやすい。

などがあげられると考えます。

費用は弁護士によって異なりますが、通常、相談であれば30分~1時間で5000円~1万円くらいのことが多いです。

弁護士に正式に依頼する、つまり、弁護士にあなたの代理人として相手との交渉をしてもらうとなると、着手金や成功報酬がそれぞれ10万~40万円程度かかることが多いです。

いきなり正式に依頼する必要はなく、まずは相談だけで十分ですし、それだけでも価値はあると思います。

離婚が成立した後でも間にあう?

離婚届を提出して離婚が成立した後に、離婚協議書を作成しようと考えている人もいるかもしれません。

離婚協議書は離婚届を出す前に作成しないと、効力がないのですか?

相談者の疑問 離婚届を提出して役所に受理された後に、離婚協議書を作成しました。お互いに署名捺印しています。

ところが、妻が知人から「離婚後の離婚協議書は法的に効力がないので、協議内容を守る必要はない」と言われたらしく、協議書で取り決めた養育費の支払いを拒否されています。

離婚後に作成した離婚協議書には、本当に効力がないのでしょうか?

高橋 建嗣の写真 弁護士の回答高橋 建嗣弁護士 離婚後にした約束でも双方が合意していれば効力は当然ありますが、離婚した後は通常、義務を負う側が約束をすることは無いため(不利にしかならないので)、そのような事態を防ぐために、離婚する前に、離婚する際の条件(養育費等)を予め決めてから離婚をすることが多いと思われます。

養育費の支払いをしないのであれば、養育費の約束をしたのに支払わないとして、養育費を請求する調停を申し立てればよいと考えます。

離婚が成立した後でも、双方が合意のうえで内容を取り決めれば、法的に効力がある離婚協議書を作成できます。 ただ、離婚後は相手が話合いに難色を示したり、義務を負うことを拒否したりする可能性があるため、できれば離婚前に離婚条件について話し合い、離婚協議書を作っておくことをおすすめします。

離婚後に財産分与・年金分割・慰謝料を請求するときの期限

離婚後に財産分与や年金分割、慰謝料を請求する場合、請求できる期間が決まっているので注意しましょう。 財産分与と年金分割は離婚してから2年、慰謝料は3年で、請求できる権利が時効により消滅します。

離婚協議書の内容を離婚後に変更できるか

離婚協議書の内容は、一度合意して書類に署名押印してしまうと、後から片方だけの言い分で変更したり取り消したりすることはできなくなります。 後から内容を変更するには、お互いの話し合いで合意することが必要です。 離婚協議書の中でも、養育費については、合意したときに予測できなかった事情の変化が生じた場合には、養育費の増額・減額を請求することができます。たとえば、次のような場合です。

  • 離婚後に親権者が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合。
  • 離婚後に養育費を支払う側が再婚し、再婚相手との間で子どもが生まれた場合。
  • 父母のどちらか、または双方の収入が増加・減少した場合。大きな病気や怪我により収入が減少したり、特別な費用がかかったりする場合。
  • 子どもの進学や病気などにより当初想定していたよりも養育費がかかる場合

養育費の増額・減額を請求する場合でも、お互いの話し合いにより合意することが必要です。話し合いで合意できない場合には、調停を申し立てることになります。

まとめ

離婚届を提出する前に、離婚協議書を公正証書の形で作成しておきましょう。後から約束が守られなくなった場合に、協議書で取り決めたとおりに履行するよう、法的な手続きによって相手に求めることができます。 「離婚協議書の内容が適切なのかわからない」「そもそも、この条件で離婚してよいのか」といった不安を抱えている方は、弁護士への相談を検討することをおすすめします。 法律の専門家である弁護士は、離婚条件が適切か、離婚協議書の記載に漏れがないか、といったあらゆる観点からアドバイスをし、あなたが不安なく離婚に踏み切れるようサポートしてくれるでしょう。

次はこの記事をチェックしましょう

離婚協議書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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