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婚姻費用

弁護士監修記事 2019年01月09日

別居中の生活費を確保するために…「婚姻費用」を支払ってもらう方法

離婚をめぐって夫婦の対立が激しくなった場合、別居して互いに距離を置くと、冷静な話し合いができるケースもあるでしょう。 ただ、別居をしようにも収入が少なく、生活できないかも…と不安に感じる人も少なくありません。実は別居中でも、配偶者に対して生活費を請求することができます。 夫婦には結婚生活に必要なお金(婚姻費用)を分担する義務があり、別居しても義務は続くからです。この記事では、以下のようなポイントを詳しく解説します。

  • 別居中に婚姻費用を請求できるケース
  • 婚姻費用の相場
  • 婚姻費用を請求する手段
  • 相手が支払わない場合の対処法

目次

  1. 「婚姻費用」とは?
    1. 別居中も配偶者に婚姻費用を請求できる
    2. 婚姻費用の計算方法と算定表の見方
  2. 話し合いがまとまらない時は、調停を利用しよう
  3. 婚姻費用の分担請求調停の手続きの流れ
    1. 申立て先
    2. 申立てに必要な書類
    3. 調停ではどんなことをするのか
  4. 調停や審判が確定するまでの生活費が確保できない場合の対処法
    1. 調停で婚姻費用を支払うよう仮の処分を命じてもらえることがある
    2. 緊急の必要がある場合は、審判前の保全処分を申し立てる
  5. 調停や審判で決まったのに婚姻費用が支払ってもらえない場合の対処法
    1. 裁判所からの履行勧告
    2. 裁判所からの履行命令
    3. 強制執行

「婚姻費用」とは?

alt 婚姻費用とは、結婚生活を営む上で必要な費用のことです。夫婦は、それぞれが同じくらいの水準で生活し続けるために必要な費用を分担する法律上の義務があります。 この費用には、衣食住にかかるお金の他、子どもの養育費、医療費、交際費なども含まれます。

別居中も配偶者に婚姻費用を請求できる

別居中であっても、法的には婚姻関係が続いています。そのため、婚姻費用分担義務があることを理由に、配偶者に対して婚姻費用を請求することができます。 たとえば、夫が生活費を渡してくれない場合、妻に収入がない場合はもちろん、夫より収入が少ない場合や、夫より収入が多くても子どもを引き取って育てているなどの場合は、婚姻費用を請求できることがあります。

婚姻費用の計算方法と算定表の見方

自分がどのくらいの金額を請求できるのかは、家庭裁判所が参考にしている算定表を目安にするとよいでしょう。 子どもの人数と年齢によって、見るべき表が違うので、まずは自分のケースに当てはまる表を探しましょう。 表では、縦軸が婚姻費用を支払う側の年収、横軸が受け取る側の年収となっていて、その交差するゾーンに書かれた金額が婚姻費用の目安を表しています。 子どもの年齢、人数、お互いの年収、会社員か自営業かなどで額が変わります。 一例をあげると、次のようになります。

婚姻費用が月額6~8万円(「算定表」の「第3 婚姻費用・子2人表(子0~14歳)」参照)・夫:会社員で年収600万
・妻:パートで年収150万円
・第1子:12歳
・第2子:10歳

婚姻費用が月額4~6万円(「算定表」の「第2 婚姻費用・子1人表(子15~19歳)」参照)・夫:自営業で年収450万
・妻:会社員で年収400万
・子ども:17歳

話し合いがまとまらない時は、調停を利用しよう

alt 婚姻費用について夫婦間での話し合いで決めることができない場合には、家庭裁判所に対して「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てることができます。 この調停は、話し合いがまとまらない場合だけではなく、相手が話し合いに応じない場合にも申し立てることができます。 また、離婚をするかどうかまだ決まっていない段階でも申し立てることができます。離婚調停を利用することが決まっていれば、同時に申し立てることもできます。

婚姻費用の支払い義務は、請求した時点から発生すると考えられています。調停を起こすならなるべく早い方がいいでしょう。

婚姻費用の分担請求調停の手続きの流れ

alt

申立て先

申立先は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意して決めた家庭裁判所です。

申立てに必要な書類

申立てには、次の書類が必要です。

  • 申立書とそのコピー1通( 裁判所のホームページからダウンロード可能)
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立人の収入に関する資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書等のコピー)

この他、追加書類の提出が必要な場合もあります。また、申立ての費用として、収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手が必要です。

調停ではどんなことをするのか

調停は平日に行われ、1回にかかる時間は2時間ほどです。申立人と配偶者はそれぞれ別の待合室で待機し、交互に調停室と呼ばれる部屋に入ります。 実務上、調停が始まる時に、両当事者同席のもとで、調停という手続について説明されることが原則ですが、同席を拒否することもできます。 調停室では、夫婦の資産・収入・支出といったあらゆる事情について、調停委員による聞き取りが行われます。 調停委員とは、弁護士や医師など豊富な専門知識と経験をもつ人で、当事者それぞれの事情をニュートラルな立場で聞き取り、解決案やアドバイスを提示します。 調停での話し合いがまとまらない場合、調停は不成立となり終了します。その後、自動的に審判に移り、裁判官が一切の事情を考慮して、婚姻費用の金額を決定します。 審判の決定に納得できない場合は、2週間以内に不服申立てをすれば、審判は確定せず、高等裁判所で判断がやり直されます。

調停や審判が確定するまでの生活費が確保できない場合の対処法

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調停で婚姻費用を支払うよう仮の処分を命じてもらえることがある

調停での話し合いに決着がつくまでには、ある程度の時間がかかります。「すぐに婚姻費用を支払ってもらわないと生活に困る」という場合もあるでしょう。 そうした場合に、調停委員や裁判官が、職権で婚姻費用を支払うように仮の処分を命じてくれることがあります(調停前の処分)。 この仮の処分は、相手が支払いを拒否した場合は、強制的に支払わせることまではできません。 ただし、正当な理由なくこの処分に従わない場合、10万円以下の過料というペナルティがあります。その意味で、間接的に支払いを促す意味はあるといえるでしょう。

緊急の必要がある場合は、審判前の保全処分を申し立てる

調停前の処分をしてもらえるかどうかは、調停員や裁判官の職権であるため、実際に行われるかどうかは不確定です。 そこで、生活費を手に入れないとすぐにでも生活が困窮してしまうなど、緊急の必要がある場合には、審判前の保全処分という手続を利用することを検討してみましょう。 緊急性が認められれば、配偶者に対して、婚姻費用として仮に一定額を支払うように決定が下されます。

調停や審判で決まったのに婚姻費用が支払ってもらえない場合の対処法

alt 調停や審判により婚姻費用を支払うよう判断してもらっているのに、配偶者が支払いに応じない場合は、次のような手段をとることができます。

  • 裁判所からの履行勧告
  • 裁判所からの履行命令
  • 強制執行

裁判所からの履行勧告

家庭裁判所に申し出ることにより、「履行勧告」という措置を求めことができます。履行勧告の申出には費用がかかりません。 履行勧告を申し出ると、家庭裁判所の調査官が婚姻費用を支払うよう、電話や手紙、訪問などの方法で配偶者に勧告をします。

履行勧告は、あくまで自発的に支払いを促すものです。相手にプレッシャーをかける効果はありますが、法的な強制力はありません。

裁判所からの履行命令

履行勧告に相手が応じない場合は「履行命令」を申し立てます。履行命令とは、家庭裁判所が相当と認める場合に、期限を決めて、「この時までに支払いなさい」と命じるものです。 履行命令でも強制的に未払いの婚姻費用を支払わせることまではできません。しかし、配偶者が履行命令に従わず、婚姻費用を支払わない場合には、10万円以下のペナルティが課せられます。 その意味で、間接的に婚姻費用の支払いを強制する効果があるといってよいでしょう。

強制執行

相手の財産(給与、口座預金、不動産等)を差し押さえて、そこから婚姻費用を支払わせることができます。 婚姻費用の支払いのために強制執行を行う場合、原則として、給与から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1までを差し押さえることができます。

給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1が33万円を超える場合は、差し押さえることができない金額は33万円が限度になります。つまり、2分の1を超える範囲についても差し押さえることができます。

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