離婚原因

弁護士監修記事 2016年05月26日

うつ病や精神病を理由に離婚する際の注意点と手続き方法

うつ病などの精神病の看病は、肉体的、精神的な負担が大きいだけでなく、夫婦間の愛情を保つことも難しくなり、離婚を考えてしまうこともあるでしょう。しかし、精神病は症状によってその全てが離婚原因に認められるわけではありません。 また調停や裁判になった場合には、パートナーの代理人をたてる手続きをその夫や妻が行うこともあります。自身のパートナーの病状や夫婦関係が離婚原因として認められているかを確認し、パートナーの症状によって異なる手続きを理解しましょう。

目次

  1. 精神病が離婚原因として認められる基準
    1. 病状以外の基準
  2. 離婚原因に認められない精神病の場合
  3. 精神病の離婚方法
    1. 成年後見人を申し立てる
    2. 離婚調停・離婚裁判

精神病が離婚原因として認められる基準

精神病が法的な離婚原因であると判断されるには、いくつかの基準を満たす必要があります。まず前提として、「回復の見込みのない強度の精神病」であることが条件となります。 「強度の精神病」とは、仕事や家事がほとんどできない等、夫婦の義務である同居・協力・扶助が果たせないような重症を指します。そしてその症状に「回復の見込みのない」ことも離婚の条件となります。 該当する代表的な病気には、次のようなものがあります。

  • 躁うつ病
  • 偏執症
  • 痴呆症(早期性・麻痺性)

通常のうつ病は回復の見込みがあるため、離婚が認められないことがほとんどです。

病状以外の基準

ただし実際の裁判では、病状が重症で回復見込みがないだけで離婚は認められません。今までの夫婦関係や、精神病のパートナーの今後の治療や生活が保証されているかどうかも考慮されます。具体的な判断基準は、以下のものが挙げられます。

  • これまでパートナーに誠意を持った看病を行ってきたこと
  • 受け入れ先の病院など、今後の治療の目処がたっていること
  • 離婚後、パートナーに生活していける経済力があること

離婚原因に認められない精神病の場合

一方で、育児ノイローゼやアルコール中毒、薬物中毒は回復の見込みがあると判断されるため離婚原因とは認められません。ただ、パートナーが仕事や家事を行える病状にも関わらず、協力の意思がない場合や、モラハラDVなど発展している場合には、「悪意の遺棄」「婚姻を継続しがたい重大な事由」として法的な離婚原因に認められる可能性があります。

精神病の離婚方法

通常の離婚手続きは話し合いがまとまらない場合には、裁判所に離婚調停を申し立て、さらに調停が不成立ならば裁判を起こします。しかし、精神病のパートナーと離婚する際には、話し合いや調停を行うことができない場合もあり、直接裁判を起こすことがあります。 また、離婚について正常な判断ができないほど重症の場合は、成年後見人と呼ばれる代理人を立てる手続きを取る必要もあります。

成年後見人を申し立てる

成年後見人は、離婚調停や裁判になった場合に、本人の代わりに調停や裁判に出席する役割を持ちます。成年後見人をつけるためには家庭裁判所に申し立てる必要があり、精神病のパートナーが自身で手続きできない場合には、その夫や妻が代わりに手続きを行うことになります。申立てを行い、後見人をつけることが適切であると認められると、裁判所から後見人が選定されます。後見人には、親族や行政書士、弁護士などが選ばれます。 また、もし精神病のパートナーを持つ夫や妻自身が、パートナーの後見人になっている場合には、成年後見監督人というものをつける必要があります。この成年後見監督人に精神病のパートナーの代わりに調停や裁判に出廷してもらうことになるため、同じく家庭裁判所に申立てを行いましょう。

離婚調停・離婚裁判

通常の離婚手続きであれば、先に離婚調停を行わなければ裁判を起こせません。離婚調停とは、家庭裁判所で調停委員を介して夫婦間の合意点を探り、離婚成立を目指すものです。 しかし、後見人が本人の離婚の意思を代弁することは難しく、調停での合意が見込めない場合は、調停をせずに直接裁判を起こすことができます。また、離婚調停を行うことができたとしても、本人の意思を確認することが難しく、調停が不成立に終わり、離婚裁判が免れない状況が予想されます。 離婚裁判は複雑な手続きを伴い、期間も1年以上にわたる場合が多いことから、弁護士に依頼するケースがほとんどです。パートナーのうつ・精神病が原因で離婚を考えたならば、早期決着を目指して早めに弁護士に相談するとよいでしょう。

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