失火罪・業務上失火罪・重過失失火罪とはl罪が成立する要件と刑罰の内容

たばこの火の不始末など、過失によって火事を起こし、建物などを燃やしてしまった場合、失火罪が成立します。 火災が起きた状況や過失の程度などによって、業務上失火罪や重過失失火罪など、より重い罪にあたる可能性があります。 この記事では、失火罪について詳しく解説します。

目次

  1. 失火罪とは
    1. 「過失により」とは
    2. 「焼損」とは
    3. 「公共の危険を発生させた」とは
  2. 業務上失火罪が成立する要件
  3. 重過失失火罪が成立する要件
  4. 失火罪・業務上失火罪・重過失失火罪の刑罰

失火罪とは

過失により、建物などを燃やしてしまうと、失火罪という罪にあたります。 ただし、次の場合は、公共の危険(火災の被害が拡大する危険)が発生していなければ失火罪で処罰されることはありません。

  • 燃えた建物が自分の所有物で、誰も使用していなかった・住んでいなかった場合
  • 燃えたモノが建物以外だった場合(自動車など)

これらの失火が、業務上必要な注意を怠ったことで起きた場合は、業務上失火罪が成立します。過失が重大な場合は、重過失失火罪が成立します。

「過失により」とは

火災が起きる可能性があることを不注意によって認識しなかったり、認識していたのに防止措置をとらなかったりしたことです。 たとえば裁判例では、職場のガスコンロの火を消し忘れたケースや、ローソクに火をつけて使用したあと、消えたかどうかを確認しないまま外出してしまったケースで、過失があるとして、失火罪の成立を認めています。

「焼損」とは

「焼損」とは、失火の対象となる建物などが、独立して燃え続ける状態になることをいいます。 たとえば、裁判例では、床板を約30cm四方・押入れの床板と上段部分を約90cm四方焼いたことを「焼損」と認定しています。

「公共の危険を発生させた」とは

以下のケースでは、公共の危険を発生させたといえる場合でなければ、失火罪で処罰されることはありません。

  • 燃えた建物が自分の所有物で、誰も使用していなかった・住んでいなかった場合
  • 燃えたモノが建物以外だった場合(自動車など)

公共の危険とは、不特定または多数の人の生命・身体・財産を脅かす状態のことです。簡単に言えば、延焼などによって他の建物に火が燃え移って被害が拡大するなどの危険が生じたことを意味します。 その火事が、公共の危険が発生する程度かどうかは、火力の程度や周囲の状況などを総合的に考えて判断されます。 古い判例では、船での失火により、荷物などが燃えた場合に、公共の危険が生じたと判断されたケースがあります。一方、過失により森林を燃やしたケースで、その森林の近くに建物がなく、周囲の私有林などに燃え広がる可能性もなかった場合には、公共の危険が発生したとはいえないとされた裁判例もあります。

業務上失火罪が成立する要件

業務上失火罪が成立するのは、調理師など、火の安全に注意すべき仕事に就いている人が、必要な注意を怠ったことで、火事を起こし、建物などを燃やしてしまった場合です。 裁判例では、石油販売業者が、ガソリンを誤って灯油として販売したために、客の石油ストーブから火災が発生したケースについて、業務上失火罪の成立を認めています。

重過失失火罪が成立する要件

過失により火事を起こすと失火罪が成立しますが、その過失が重大だと認められる場合は、重過失失火罪が成立します。 たとえば裁判例では、夏の晴れた日に、ガソリンが揮発している給油場内で、ガソリン缶の間近でライターを使用して火災を発生させたケースについて、重過失失火の成立を認めています。 また、酔っていた犯人が、ベッドから30センチの至近距離に電気ストーブを設置し、トレンチコートを着たまま眠り込んだ結果、コートがストーブの上にずり落ちて発火したケースについて、「実行が極めて容易であるのに僅かな注意をも払うことなく最少限の結果発生の回避措置をとら」なかったなどとして、重過失失火罪の成立を認めています。

失火罪・業務上失火罪・重過失失火罪の刑罰

失火罪の刑罰は、50万円以下の罰金です。 業務上失火罪と重過失失火罪の刑罰は、3年以下の禁錮か150万円以下の罰金です。

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