刑事裁判と民事裁判の違い

裁判には大きく分けて刑事裁判と民事裁判の2種類が存在します。刑事裁判では、犯罪を犯した人に有罪無罪や刑罰を決めるための審理を行います。一方で、民事裁判では、個人間や家族間、行政との様々なトラブルを審理しています。どちらとも、証拠を出し合って審理することには変わりませんが、手続きの流れなどは異なるのです。以下では、具体的な両者の違いを説明します。

目次

  1. 当事者が違う
  2. 手続きの流れや結果が違う
  3. 結論を出すために必要な証明の度合いが違う

当事者が違う

alt まず、刑事裁判と民事裁判は当事者が違います。民事裁判は、訴える方(原告)も訴えられる方(被告)も個人・法人(私人)です。あくまでも私人間での争いです。場合によっては、「本人訴訟」といって、弁護士をつけずに、自分だけで裁判を行うことも可能です。 一方、刑事裁判では、裁判を起こす(起訴)のは、国家を代理した「検察官」です。捜査・裁判のプロである検察官に対抗できるよう、犯人だと疑われている人(被告人)には、法律の専門家である弁護士に依頼する権利が認められています。 3年以上の懲役または禁錮、無期刑、死刑にあたる罪の裁判については、弁護人が被告人に付かなければ裁判を開けません。

手続きの流れや結果が違う

alt 民事裁判では、「カネを返せ!」「土地は私のものだ!」など、原告と被告が対等な関係で主張を繰り広げます。自分の主張の正しさを証明するために、お互いに積極的に証拠を提出し合い、どちらの言い分が正しいかを裁判所が判断します。 最終的には、裁判所の判断で白黒つけることになりますが、途中、裁判所から、「双方が譲歩しあって折り合いをつけてはどうか」と、「和解」を勧められることがあります(和解勧告)。 民事裁判は、当事者がお互いに納得できればよいため、和解勧告を受け入れ、判決まで行かずに和解が成立することもよくあります。 一方、刑事裁判は、被告人に刑罰を科すことが適切かどうかを国家が判断するための手続きです。「被告人は無罪である」という無罪推定の原則から始まり、検察官が証拠を提出して被告人が犯罪者であることを立証します。 被告人は、自分が犯人ではないことを積極的に証明する必要はありません。検察官が証明できなければ被告人は無罪です。 また、民事裁判と異なり、和解はありません。 民事裁判の場合、裁判で負けた当事者は、土地の明渡しやお金の支払いなど、勝訴した当事者の言い分を認め、裁判所の判断に従わなければなりません。 一方、刑事裁判の場合、「懲役○年」「罰金○万円」あるいは「無罪」といった形で刑罰の有無・程度が言い渡されます。

結論を出すために必要な証明の度合いが違う

alt 詐欺を行った被告人に対して、被害者が損害賠償を求めて民事裁判を起こすといったケースなど、1つの事件が刑事・民事双方の問題となることがあります。 この場合、常に民事裁判と刑事裁判の判断が一致すればわかりやすいのですが、民事では、相手方の責任が認められて勝訴したにもかかわらず、刑事では被告人が無罪とされることがあります。 このような結論に違いが出るもっとも大きな理由は、民事裁判では当事者間の争いを解決し当事者が納得できる範囲での「真実」でよしとされているものの、刑事裁判ではあくまでも客観的な「真実」が求められるからです。 民事裁判、刑事裁判どちらも事実を証明しなくてはなりませんが、民事裁判とは異なり、刑事裁判では、検察官が、ほとんどの人が疑いを余地がない程度まで(専門用語では「合理的な疑いを入れない程度まで」といいます)立証できないと、被告人は無罪となります。 民事の基準に比べ、立証するハードルが高いため、被告人が有罪であることを立証するまでに至らないことがあるわけです。

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