相続放棄の申述書とは?
相続放棄を行うには、被相続人の最後の住所地を担当する家庭裁判所で手続きします。 その際、いくつかの書類を提出する必要があります。そのうちの1つが、相続放棄の申述書です。 申述書は2枚あり、1枚は相続放棄をする人と亡くなった人(被相続人)の情報を記入します。もう1枚には、被相続人の財産の内容や相続放棄をする理由などを記入します。 相続放棄の手続きに必要な他の書類や、手続きの詳細については、記事末尾のリンクで詳しく解説しています。
申述書の書き方
相続放棄の申述書をどのように記入すればよいのか、サンプル画像を用いて解説します。
記入する書類は以下の2枚です。
裁判所名は「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」
相続放棄の申述書には、提出先として、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所名を記入します。
管轄の裁判所はこちらから調べられます。
「申述人」のところには、相続放棄をする人の情報を、「被相続人」のところには、亡くなった人の情報を記入します。
財産や負債の金額は分かる範囲で書けばOK
亡くなった人の財産や負債について記入する欄には、手続きをする時点で判明している範囲で記入します。金額はおよその額で問題ありません。
相談者の疑問
今回父の相続放棄手続きをしております。その際、相続放棄申述書に「相続財産概略」に負債の金額記入欄がありますが、正確に把握出来ておりません。そこで先生方に教えて頂きたいことが一点あります。
1 家中を探し回れば追加で請求書、督促状は出てくる可能性は高いのですが、現時点で父宛の書類などで把握できた負債の総額を記入する程度でよいのでしょうか?
弁護士の回答大西 康嗣弁護士
現時点でわかる範囲での負債を書けば大丈夫です。相続放棄の申述においては、そこまで、細かい記載は求められません。
また、負債について、金額以前に、あるかどうかもわからない場合は、「不明」と記入しておきましょう。
相談者の疑問
先日、死亡した父親の医療費の督促状が郵送されてきましたが、親は15年以上前に離婚していて、父親の所在もわからず、郵送されてきた書面で死亡していたことも知りました。
そこで、相続放棄を考えましたが、相続財産の概略が調べようがなくわかりません。申述書には請求されている分を負債として記入するだけで良いのでしょうか?
相続放棄が認められた後、新たに未返済の借金等が発覚した場合どうなるのでしょうか?
弁護士の回答中井 陽一弁護士
相続放棄の申述書の財産や負債の欄には、現在判明しているものだけを記載し、そのほかは空欄か「不明」と書いておけばよいでしょう。
相続放棄が認められれば、その時点で判明していなかった負債(申述書に記載していなかった負債)に対しても原則として相続放棄の効力は及びます。
したがって、もし新たな借金等が発覚した場合でも、債権者に相続放棄をしたことを伝え、必要に応じて相続放棄受理証明書の写しを提出すれば大丈夫でしょう。
申述書を代筆してもよい?
相続放棄をする相続人が複数いる場合、他の人の申述書を代筆してよいのでしょうか。
相談者の疑問
夫が親の相続放棄をします。仕事が忙しくて時間がないのと、家庭環境が良くなかったのが理由で、夫は「あいつらのことに関わりたくない。相続放棄はするが必要書類は任せる」と言っています。
もし代筆が許されるのであれば、私が書こうと思うのですが、問題ないでしょうか。
弁護士の回答小坂 誉弁護士
署名・押印を本人である夫自身が行えば、その他の部分は他人が記載しても大丈夫です。ただし、他人が記載した書面の内容を理解して夫本人が署名・押印する必要があります。
申述書上部の「申述人」の署名押印を本人がすれば、他の部分は代筆でもかまわないようです。
申述書を両面印刷してもよい?
申述書を両面印刷したいと考える人もいるかもしれません。問題ないのでしょうか。
相談者の疑問
申述書と申述の趣旨は1枚ずつにしなければなりませんか。表裏の両面にしてはいけないでしょうか。
弁護士の回答後藤 貞和弁護士
両面では受け付けないですとか、書面としての効力が否定されるというようなルールがあるわけではありません。
しかし、裁判所が作成する書類は片面印刷ですし、提出するものも通常は片面印刷です。証拠を出すにあたりそれが元々両面印刷である場合や、あまりにもページ数が膨大なために両面印刷にして出すということはあるかもしれませんが、裁判所はA4左とじでファイリングするため見やすさなどを考えれば少ない枚数であえて両面印刷にするメリットはないと思います。
なお、申述書と申述の趣旨については、おそらく裁判所の書式をご覧になっているのだと思いますが、両者は一体の書類として出すもので、別のものとして出したりページを分けなければならないものではありません(裁判所の例示している書式がページが分かれているだけです)。
書式のことであれば裁判所も教えてくれると思いますので、疑問でしたら提出先の書記官にも確認してみてください。
両面印刷しても書類の効力が否定されるわけではないようですが、念のため、事前に提出先の裁判所に確認した方がよいでしょう。
雛形はどこでダウンロードできる?word形式はある?
相続放棄の申述書の雛形は、裁判所のホームページからダウンロードできます。相続放棄をする相続人が20歳以上かそうでないかで雛形が異なるので注意しましょう。 相続放棄をする相続人が20歳以上の場合の申述書は、こちらからダウンロードできます。 相続放棄をする相続人が20歳未満の場合の申述書は、こちらからダウンロードできます。 申立先の家庭裁判所によっては、ホームページにword形式の雛形を掲載している場合があります。東京家庭裁判所の場合は、こちらからダウンロード可能です。
申述書を提出するまでの手続きの流れ
申述書などの必要書類をそろえたら、それらを裁判所に提出します。 相続放棄の手続きは、原則として、被相続人が亡くなり、自分が相続人になることを知った時点から3か月以内(熟慮期間)に行う必要があります。 熟慮期間を過ぎてしまうと、自動的に「相続することを認めた」という扱いになってしまうので注意しましょう。 書類は、直接裁判所に持参するほか、郵送で提出してもかまいません。
相談者の疑問
相続放棄の手続きをするのですが、書類の提出は郵送でもOKですか?
申述書に収入印紙を貼るスペースが有りますが、郵便局で購入して貼るんでしょうか?
弁護士の回答鈴木 克巳弁護士
郵送でも可能ですので、ご安心下さい。収入印紙を貼るスペースに印紙を貼って下さい。多少はみ出ても大丈夫です。
申述書を提出した後の流れ
家庭裁判所に申述書などの書類を提出すると、家庭裁判所から照会書が届きます。 照会書には「相続放棄は自分の意思で行うのか」「なぜ相続放棄を行うのか」といった質問が記載されていますので、回答して返送しましょう。 家庭裁判所が書類をチェックして、相続放棄をするための条件が満たしていると判断されれば、「相続放棄申述受理通知書」が届きます。 以上で、相続放棄の手続きは終了します。
まとめ
相続放棄の手続きは自分で行うことも可能ですが、書類の収集や申述書の作成が手間だと感じる場合、弁護士への依頼を検討してもよいでしょう。自分でおこなうよりも手間なくスムーズに手続きを完了できます。 弁護士に依頼することで、そもそも相続放棄をすることが適切かどうかも判断してもらえるでしょう。相続放棄すべきかどうか迷っている場合は、弁護士にアドバイスを求めることも1つの方法です。 相続の手続きを弁護士に依頼するメリットや費用の相場について、詳しく知りたい方は、以下で紹介する記事を参考にしてみてください。


