
事実婚と法律婚との違い
今ドラマで話題沸騰の事実婚や契約結婚。あなたは、どのくらい知っていますか?
- 事実婚の成立条件は?
- 事実婚でできること、法律婚との違いは?
- 今後、事実婚は"お試し婚"として定着する……?
恋愛でも法律婚でもない「未届の夫婦関係」のフシギについて、その仕組みや人々の意識などを調べてみました。
3割以上が「自分もアリかも」
出典:「籍を入れない事実婚について、あなたは?」(エキサイト)
スウェーデンのサムボ法やフランスのPACSなど、婚姻関係以外でカップルを家族組織として認める国では、いわゆる事実婚を選択する人が増えています。 これらの国では、結婚の前の「お試し婚」として、または婚姻そのものの代替として制度が利用されていますが、日本であえて事実婚を選ぶ人はまだまだレアケース。法律婚以外で愛する人と人生を共にする選択肢について、皆さんはどのような印象を持っているのでしょうか? エキサイトが2015年、婚活中の男女に実施した意識調査によると、「自分もアリかも」と答えた人は男女ともに3割以上。自分は抵抗がありながらも、人それぞれの事情で事実婚を選ぶのは「アリ」と答えた人を合わせると、7割以上が肯定的な意見を持っているという結果に。 2012年に実施した同じ調査と比較しても、事実婚を肯定する男女は増加傾向にあり、「形にとらわれないで良い」「緊張感のある関係でいられそう」など自由で自立した関係という考えが浸透してきています。
事実婚とは?どのような条件で認められる?
では、事実婚はどのようにして成立するのでしょうか?付き合いや同棲期間の長いカップルを「2人は事実婚だ」とする見方もありますが、法律婚の夫婦と同じように法律や保険制度、税制が適用されるには、2人に結婚の意思があることや、生計を共にしているなど、限りなく夫婦に近い関係であるかどうかが判断基準となります。
実際には具体的な線引きがあいまいなことから、事実婚を確実に成立させるためには、住民票を夫が世帯主の場合は「妻(未届)」(妻が世帯主の場合は「夫(未届)」)で申請したり、準婚姻契約(内縁契約)を結ぶことで、入籍した夫婦と同等(一部例外あり)の権利が認められるようにします。
婚姻(法律婚)とは何が違うのか?
事実婚と認められた場合、2人は未届の妻(または夫)となり、通常の法律婚と同じように健康保険の扶養家族に認定され、別れる時は離婚と同じように財産分与や慰謝料、養育費の請求も行うことができます。
事実婚に理解のある会社なら、社会保険の家族手当や生命保険の受取人申請も可能ですが、入籍はしていないため、当然ながら戸籍、姓は同じにはなりません。
子どもが生まれた場合に配慮が必要になり、税金の配偶者控除が利用できないなど税制面でのデメリットがあります。
"プロの独身"が増える時代、事実婚が"お試し婚"に?
晩婚化や少子化など、結婚に対する意識や実態の変化は進み、婚姻件数は1972年をピークに減少傾向にあります。これに比例するように、2035年までに男性の未婚率は29%、女性は19%に達する見込みで、おおよそ男性は10人に3人、女性は10人に2人がシングルという"プロの独身"時代がやってきます。(※「プロの独身」とは、一人で生計を立て、望んで独身として生きている人のこと。ドラマで話題となった言葉です) 様々な原因が入籍に至るまでのハードルを上げているなら、まずは"お試し婚"の感覚で、事実婚というパートナーシップを検討してみる。そして、この期間にNOと思えば関係を解消し、YESと思えば入籍する――。これからの時代、一人の他人を家族に迎え入れるための覚悟と責任を持つ準備期間として、事実婚は逃げでも恥でもなく、恋愛から結婚への正当な通過点としての市民権を得ていくのかもしれません。
「契約結婚」は、正しくは「婚前契約書を交わして籍を入れる」ことを含みますが、話題になっているキーワードとして記事冒頭で取り上げています。
参考情報
「籍を入れない事実婚」についての意識調査を実施(エキサイト)
選ぶ結婚 事実婚と法律婚は何がどう違うのか(日経ウーマン)
子どもを産み育てやすい環境づくり(平成28年版 厚生労働白書)