離婚慰謝料

弁護士監修記事 2017年08月25日

離婚慰謝料や養育費が未払いになった場合の対処法

離婚をする時、慰謝料や養育費の額や支払い方法を取り決めたのに、支払いが滞っているーー。 お金の支払いを拒否される・支払いが滞るといったことになると、離婚後の生活設計に影響が出ることもあるでしょう。元配偶者の意思にかかわらず、支払ってもらう方法はないのでしょうか? この記事では、以下のようなポイントを詳しく解説します。

  • 離婚の慰謝料や養育費が取り決め通りに支払われない場合の対処法
  • 内容証明郵便や履行勧告、強制執行などを利用する方法

目次

  1. 慰謝料や養育費を支払ってもらえない…対処法は?
  2. 内容証明郵便
  3. 裁判所による措置
    1. 履行勧告…家裁の調査官が電話や手紙、訪問で支払いを促す
    2. 履行命令…10万円以下のペナルティを課す、より強力な措置
    3. 強制執行…元配偶者の財産を差し押さえ、強制的に支払わせる
    4. 差し押さえることができる限度
  4. 支払督促
  5. 養育費を請求する権利は「5年」で消滅する

慰謝料や養育費を支払ってもらえない…対処法は?

慰謝料や養育費を支払うと決めたのに元配偶者が支払わない…。電話やメールなどで支払いを催促しても応じてもらえない場合、どうすればいいのでしょうか。 対処法は、支払いを取り決めた方法によって以下のような選択肢があります。

  • 内容証明郵便
  • 履行勧告
  • 履行命令
  • 強制執行
  • 支払督促

内容証明郵便

内容証明郵便とは、簡単にいえば「いつ(郵便発送の日付)」、「誰が」、「誰に」、「どのような内容の手紙を送ったか」ということを郵便局が証明してくれる手紙です。 法的な効力は一般な手紙と変わりませんが、書留郵便で配達され、文末には郵便局長が内容証明郵便として差し出されたものであることを証明する記載が入っている点が大きく異なります。 受け取った元配偶者に心理的プレッシャーを与え、支払いを促す一定の効果が期待できるでしょう。 内容証明郵便は自分で作成・発送することができますが、弁護士を代理人とするとより効果的です。 料金は、通常郵便料金80円(25gまで)に、内容証明料金一枚につき420円(1枚増すごとに250円加算)、書留料金420円、配達証明料金300円が加算されます。

裁判所による措置

裁判所を通じて行う対処法として、履行勧告・履行命令・強制執行といった措置があります。 調停や審判で慰謝料や養育費の支払いについて決めたにもかかわらず守られない場合は、これらの措置で支払いを促す、または強制的に実現することができます。

履行勧告…家裁の調査官が電話や手紙、訪問で支払いを促す

「履行勧告」は、家庭裁判所に申し出ることにより求めることができます。履行勧告の申出には費用がかかりません。 家庭裁判所に履行勧告を申し出ると、家庭裁判所調査官が養育費や慰謝料の支払い状況等について調査をします。 そして、元配偶者に対して、支払い義務を果たすよう、電話や手紙、訪問などの方法で勧告をします。 履行勧告は、あくまで自発的に支払いを促すものです。元配偶者にプレッシャーをかける効果はありますが、法的な強制力はありません。

履行命令…10万円以下のペナルティを課す、より強力な措置

履行勧告に元配偶者が応じない場合は「履行命令」を申し立てます。履行命令とは、裁判所が期限を決めて「このときまでに支払いなさい」と命じるものです。 もっとも、履行命令でも強制的に支払わせることまではできません。しかし、元配偶者が履行命令に従わない場合には、10万円以下のペナルティが課せられます。 その意味で、間接的に養育費や慰謝料の支払いを強制する効果があるといってよいでしょう。

強制執行…元配偶者の財産を差し押さえ、強制的に支払わせる

履行勧告や履行命令をしても元配偶者が応じない場合、さらに強力な措置として「強制執行」を行うことができます。 強制執行とは、元配偶者の預貯金や給料、不動産などを差し押さえて、そこから強制的に未払い分を支払わせる方法です。 強制執行をかけるためには、判決書や調停調書など、強制執行によって実現する権利の存在やその範囲などを示した公の文書(債務名義)が必要になることが原則です。 ただし、夫婦間の話し合いで決めた内容でも、その内容が公正証書にまとめられていて、かつ、任意に支払わない場合には強制執行することを認める文言(強制執行認諾文言)が書かれている場合には、強制執行にかけることができます。

強制執行をかけたいと考えたら

元配偶者に給料や財産がなければ、差し押さえる財産がないので強制執行をすることはできません。 強制執行をするときは、まず自分で元配偶者の給料や財産を特定し、その上で給料や財産の差し押さえを裁判所に求めることになります。 「申立てをすれば、裁判所が元配偶者の給料や財産を調べてくれる」というわけではないので注意しましょう。 強制執行の手段を利用したいと考えたら、元配偶者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てましょう。 必要となる書類はケースによって異なるので、詳しく知りたい場合は、裁判所のホームページで確認しましょう。

差し押さえることができる限度

強制執行では、元配偶者の給与を差し押さえることができますが、給与全額を差し押さえることはできません。 原則として、給料から税金などを控除した額(手取り)の4分の1までというルールがあります。元配偶者の生活を保障するためです。 ただし、このルールが適用されない場合があります。 慰謝料の場合、手取り額の4分の3が33万円を超える場合、それを超える部分を全額を差し押さえることができます。 たとえば、手取り80万円の元配偶者から差し押さえる場合、20万円(4分の1)に加えて、残り60万円(4分の3)から33万円を差し引いた額27万円も差し押さえることができるので、合計47万円差し押さえることができます。 また、養育費の場合は、原則として、給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1までを差し押さえることができます。 養育費の場合も、給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1が33万円をこえる場合は、差し押さえることができない金額は33万円が限度になります。つまり、2分の1を超える範囲についても差し押さえることができます。 たとえば、手取り80万円の元配偶者から差し押さえる場合、20万円(4分の1)に加えて、残り60万円(4分の3)から33万円を差し引いた額27万円も差し押さえることができるので、合計47万円差し押さえることができます。 そして、養育費等の扶養義務に基づく債権については、差押えは、過去に支払われなかった分だけでなく、将来の支払いにまで適用されます。 養育費は、毎月定額支払われるという性質があること、また子どもを保護する目的があることから、このような仕組みとなっています。

支払督促

履行勧告・履行命令・強制執行が行えるのは、原則として調停や審判で養育費や慰謝料について決めた場合です。 調停や裁判をしていなくても、夫婦の話し合いで慰謝料や養育費の条件を決めている場合は、裁判所の「支払督促」という制度を利用することができます。 支払督促とは、簡単にいうと、支払いに応じない元配偶者に対して、裁判所から督促状(請求書)を出してもらう制度です。 支払督促は書類審査のみなので、裁判所に足を運ぶ必要がありません。手数料は、裁判をする場合の半額です。 注意したいのは、この制度では、支払督促を受け取った元配偶者から、「身に覚えのない債務だ」「今は支払えないから猶予がほしい」などと異議を申し立てられる可能性があることです。 異議を申し立てられると、支払督促の効果は失われ、手続きは通常の裁判に移ります。 このことから、支払督促は、養育費や慰謝料の支払いについてあらかじめ夫婦で取り決めていて、金額などの条件がはっきりしており、元配偶者がある程度財産を持っているにも関わらず支払いに応じない、という場合に有効といえるでしょう。

申立て方・その後の流れ

支払督促は、元配偶者の居住地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して申立てを行います。 申立ての際には、「支払督促申立書」という書類を提出します。申立書では、元配偶者との間で慰謝料や養育費の支払いがどのような経緯で決まり、どのくらい請求できるのか、といった申立ての経緯を説明します。 裁判所の審査を経て申立てが認められると、元配偶者に対して支払督促が送られます。 元配偶者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てをしなければ、「仮執行宣言」の申立てをすることができ、裁判所が支払督促に仮執行宣言を付した場合には、これに基づいて強制執行の申立てを行うことができます。 なお、仮執行宣言付与の申立ては、元配偶者が支払督促を受け取ってから2週間が経過した後、30日以内に行わなければ効力がなくなってしまうので、注意しましょう。 元配偶者が支払督促を受け取ってから2週間が経つ前に異議申立てをした場合、支払督促の効果は失われてしまいます。 異議申立ては、仮執行宣言に対しても行うことができます。期間は、元配偶者が仮執行宣言付支払督促を受け取ってから2週間以内です。 異議申立てがされると、手続きは通常の裁判に移ります。

養育費を請求する権利は「5年」で消滅する

養育費の金額を定めた場合、養育費を請求できる権利は、一定の期間が経過すると時効により消滅します。原則として、5年で消滅すると考えられています。 月ごとの支払いを定めている場合が多いと考えられますが、その場合、5年が経過した時点で、その月分の養育費を請求する権利が消えてしまうということです。 たとえば、「2012年の4月から、毎月月末に月々4万円の養育費を支払う」と夫婦の話し合いで取り決めたのに、養育費は1回も支払われないまま2017年7月になってしまったとしましょう。 この場合、2012年4月から6月分の養育費を求める権利は時効により消えてしまい、請求できるのは、2012年7月から2017年7月までの5年分ということになります。 こうした事態を防ぐために、時効が進むことを止める手段があります。時効の「中断」と呼ばれる手続きで、元配偶者に対して裁判を起こすことや、話し合って養育費を支払ってもらう権利があることを元配偶者に認めてもらうことで時効の進行はとまります。 こうした対応がすぐに難しいという方は、内容証明郵便などで、元配偶者に対して「養育費を支払ってほしい」という意思を表明すれば、一時的に時効が進むことを止めることができます。「催告」という手段です。 ただし、「催告」は6か月間に限って時効が進むことを止める一時的な対処法です。また、「催告」はくりかえすことはできません。6か月後になって、もう一度内容証明郵便を送ったとしても、そこからまた6か月間時効を止めることはできないのです。 そのため、「催告」を行った場合は、すぐに具体的に養育費を請求するための準備を行い、6か月以内に裁判を起こすなどの手続きをとることが必要です。

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