配偶者に不倫されたら、最初にしておきたい2つのこと
配偶者の不倫を知った直後は、頭が真っ白になったり、怒りと悲しみが交互に押し寄せたりします。そうした状態のまま大きな判断をするのは、誰にとっても難しいことです。
この先どうするかを、今すぐ決める必要はありません。ただ、いま動いておくかどうかで、離婚するにしてもやり直すにしても、後から選べる道が変わることもあります
なかでも急ぐのが、相手に気づかれないうちに、不倫があったことが分かる記録を残しておくことです。
まずは、次の2つから手をつけてください。
証拠になりそうな記録は、消される前に保存する
「不倫の証拠」として、何を残せばよいのかは、判断がつきにくいところです。離婚するのか、再構築を選ぶのかを決めていない段階なら、なおさら迷うでしょう。
迷ったときは、不倫関係がうかがえるものを幅広く残しておいてかまいません。後から使わずに済めばそれでよく、足りないほうが困るためです。
手元で残せるものには、次のようなものがあります。
| 保存しておきたい記録 |
|---|
| 二人のやり取りが分かるLINEやメールの画面 |
| 二人でいるところが写った写真や動画 |
| 宿泊や旅行の記録が残るクレジットカードの明細、領収書 |
| 帰宅時間や行き先を書き留めたメモ |
画面を撮って残す場合は、日付が分かる形にしておくと、後から確認しやすくなります。 一方、保存の仕方によっては別の問題が生じることもあります。相手のスマートフォンのロックを勝手に解除して中身を見るようなやり方は、その行為自体の責任を問われる原因になりかねません。
どのような記録が慰謝料請求で通用するのか、集めるときにどこまでが許されるのかは、関連記事で詳しく解説しています。
関連記事不倫の証拠になるもの一覧!裁判で使える具体例と集め方の注意点 →勝手に離婚届を出されないよう「離婚届不受理申出」を出す
記録を残すのとあわせて、相手が離婚を急いでいないかも確認しておきましょう。以前の夫婦喧嘩などで署名した離婚届が手元に残っていると、知らないうちに提出されるおそれがあります。 こうした事態に備える手続きが、離婚届不受理申出です。あらかじめ役所へ申し出ておけば、自分の意思に反して離婚届が提出されても受理されません。効力は申出が受理された日から生じ、取り下げるまで続きます。 大切なのは、離婚届が出される前に手続きを済ませておくことです。いったん受理されると、戸籍を元に戻すには離婚の無効を求める手続きが必要になります。 まだ離婚するか決めていない段階でも、相手が勝手に提出する可能性が気になる場合は、早めに不受理申出を検討しておくとよいでしょう。 準備を進めるあいだも、感情のままに動きたくなる場面は出てきます。そこで避けたい行動を、次の章で見ていきます。
離婚届不受理申出の出し方や、相手が勝手に離婚届を出しそうなときの対処法は以下で解説しています。
関連記事離婚届の書き方【令和8年版・記入例つき】必要書類と提出前の注意点を解説
相談者の疑問
勝手に離婚届を出されるような気がしたので不受理届けを本籍地の役所には提出済みだったのですが、>>> 質問の続きを見る
弁護士の回答川添 圭弁護士
離婚届が不受理となった場合、役所は、届書不受理処分整理簿へ事実を記録した上で、届書自体は返戻します。>>> 回答の続きを見る
不倫・浮気の発覚直後に避けたい3つのNG行動
相手を許せない、何かしてやりたい。そう感じるのは当然のことです。
ただ、その勢いで動いた行動が、後になって自分の側に不利に働くことがあります。
特に多いのが、次の3つです。
証拠がそろう前に問い詰める
問い詰めれば、こちらが気づいたことは相手に伝わります。やり取りを消され、会うのをやめられてしまえば、後から「不倫の証拠」として示せるものが残りません。逆上してそのまま家を出られれば、話し合いの場も失われます。 記録が手元にそろっていれば、相手が事実を否定しても話は前に進みます。問い詰めるかどうかではなく、いつ問い詰めるかの問題だと考えてください。
不倫相手の職場へ連絡する、SNSで公表する
職場に知らせて、相手を居づらくさせたい。そこまで考える方もいます。 しかし、不倫は私生活の問題であり、勤務先に伝えても会社が退職や異動を命じるわけではありません。それどころか、事実であっても人に広めれば名誉毀損にあたることがあります。不倫をされた側が、責任を問われる立場に回ってしまうのです。 行き過ぎた行動は、受け取れるお金にも影響します。不倫相手から名誉毀損などの損害賠償を求められれば、その分、手元に残る金額は減ることになります。
どこからが名誉毀損にあたるのかは、関連記事で解説しています。
関連記事不倫相手への制裁は違法?職場にバラすリスクと慰謝料請求という選択肢準備しないまま家を出る
配偶者に裏切られたショックから一緒にいるのが耐えられず、家を出たくなることもあるでしょう。 しかし、いったん家を出ると、戻るのは簡単ではありません。 生活費の見通しが立たないまま別居を始めると、お金や今後のことを決める話し合いで、不利な立場に置かれやすくなります。家を出るなら、持ち出すものと生活費のめどを先につけてからです。 感情のままに動かなくても、相手の責任を問う方法はあります。その代表が、慰謝料の請求です。
相談者の疑問
夫が同じ社内の女性と浮気していたことが5月に発覚しました。
もう二度と連絡しないと約束してもらいましたが、>>> 質問の続きを見る
弁護士の回答泉 亮介弁護士
1. 会社の内部的機関に相談をする場合はトラブルの種になるでしょう。請求を行うのであれば会社を通さずに本人とか、裁判の場でということとなります。>>> 回答の続きを見る
不倫の慰謝料相場はいくら?請求できる条件と注意点
慰謝料は、いくらと決まっているものではありません。手元にどんな記録があるか、夫婦関係がどんな状態だったか、離婚するかどうかで金額は変わってきます。 いま金額を決める必要はありません。相手とのやり取りのなかで、少しずつ固めていけば十分です。ただし請求できる期間には限りがあり、不倫相手への請求は、不倫と不倫相手を知った時から3年で時効になります。何年も置いたままにするのは避けてください。
時効の3年をいつから数えるのか、時効の完成を止める方法は以下で解説しています。
関連記事不倫慰謝料の時効はいつから?3年・20年の起算点と止める方法離婚する場合・しない場合の慰謝料相場
慰謝料は、違法な行為によって受けた精神的な苦痛への賠償です(不法行為・民法709条)。 不倫の場合、この違法な行為にあたるのが「不貞行為」で、原則として肉体関係を指します。そのため、頻繁な連絡や二人での食事だけでは、不貞行為にはあたりません。 不倫相手に請求するには、不倫相手が、配偶者が結婚していると知っていた(または注意すれば知ることができた)ことも必要です。 おおよその目安は次のとおりです。
| 状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 離婚する場合 | 150万〜300万円 |
| 離婚しない場合 | 50万〜150万円 |
離婚した場合に金額が高くなるのは、不貞行為そのものへの慰謝料に加えて、結婚生活を終わらせたことへの慰謝料も、配偶者に請求できるためです。 ただし、表の金額は配偶者と不倫相手を合わせた総額の目安です。婚姻期間や不貞の期間によっても上下するため、この範囲どおりに決まるわけではありません。
自分のケースがどう見られるのか、金額が何によって増減するのかは、関連記事で詳しく解説しています。
関連記事不倫・浮気の慰謝料相場は?請求の手順と金額が上がる条件 関連記事浮気・不倫の慰謝料はどこから請求できる?法律上の境界線と相場・証拠【注意】探偵費用は、全額を相手に請求できるとは限らない
自分では記録が集められず、調査を依頼しようか迷う方もいます。 ただ、調査にかかった費用を慰謝料とあわせて請求しても、認められるのは、調査が必要だったといえる範囲の、相当な額に限られます。一部しか認められないことも、まったく認められないこともあります。先に確かめたいのは、いま手元にある記録で足りるかどうかです。足りているなら、追加の費用はかけずに済みます。 手元の記録で足りるのか判断がつかない場合は、依頼を決める前に弁護士への相談などで見通しを聞いてみるのも選択肢です。
探偵に頼む前に自分で確認できることと、自力での調査で避けたい行動・限界は以下で解説しています。
関連記事浮気を自分で調べる方法とは?避けたい違法行動と自力調査の限界
相談者の疑問
先日は、離婚せずに浮気相手に慰謝料請求する場合についてだったのですが、
離婚をする場合は浮気相手と旦那からいくらぐらい取れるのでしょうか?>>> 質問の続きを見る
弁護士の回答原田 和幸弁護士
一概にはいえないのですが,離婚をする場合,双方合わせて,150万円~300万円位ではないでしょうか。
悪質な場合だとそれ以上の可能性もなくはありません。>>> 回答の続きを見る
離婚・別居・再構築|今後の選択肢と決めておくこと
不倫が分かったからといって、進む先が離婚だけとは限りません。距離を置いて別居する、同居を続けてやり直すという道もあります。 選ぶ道によって、決めておくことは変わります。
| 選択肢 | 主に話し合うこと |
|---|---|
| 離婚する | ・慰謝料 ・財産分与 ・子どもの親権と養育費 ・面会交流 ・年金分割 |
| 別居して距離を置く | ・別居中の生活費 ・今後の話し合いの進め方 |
| やり直す(再構築) | ・不倫相手との今後の関係 ・同じことが起きたときの取り決め |
どれか一つに絞ってから動き出さなくてもかまいません。話し合いを進めるなかで、方向が見えてくることもあります。
離婚するなら、お金と子どものことを決めてから離婚届を出す
離婚届を先に出してしまうと、残りの話し合いは後回しになります。相手が応じなくなれば、あらためて調停を申し立てるほかありません。 離婚に向けて決めておきたいのは、次の項目です。
| 離婚前に決めておきたいこと |
|---|
| 慰謝料の金額と支払い方法 |
| 婚姻中に築いた財産の分け方(財産分与) |
| 子どもの親権者と養育費 |
| 子どもと会う頻度や方法(面会交流) |
| 年金分割 |
話し合いは一つずつ進めてかまいません。ただ、離婚が成立したあとでは相手が話し合いに応じる理由もなくなり、財産分与と年金分割は、離婚から5年を過ぎると請求できなくなります。表の項目がすべて決まり、その内容を書面にまとめてから、離婚届を出してください。
離婚に向けて決めておくこと・やることを順番に確認できるチェックリストは、以下にまとめています。
関連記事【弁護士監修】離婚する前にやっておく事とは?準備・手続きの全手順別居するなら、生活費の分担を先に確認する
別居していても、夫婦である間は生活費を分担する義務があります。この生活費を婚姻費用といい、収入が少ない側は相手に負担を求められます。 金額は双方の収入や子どもの人数によって変わり、裁判所が公表している算定表で目安が分かります。家を出る前に、どのくらいになりそうかを確かめておくと安心です。 また、婚姻費用は、原則として請求した時からの分しか認められません。話し合いでまとまらない場合は家庭裁判所に調停を申し立てる方法もあるため、別居したら早めに請求しておくことが大切です。
別居を始める前の準備や、婚姻費用の請求・住民票の手続きの注意点は以下で解説しています。
関連記事離婚前に別居するメリット・デメリット|期間・生活費・住民票の注意点やり直すなら、話し合った内容を書面に残す
やり直すと決めた場合も、口約束だけで終わらせないほうが安心です。不倫相手と今後どう距離を取るか、同じことが起きたときにどうするかを話し合い、その内容を書面にしておけば、後から言った言わないになりにくくなります。 ただし、「二度と会ったら1,000万円」といった行き過ぎた取り決めは、書いても効力を認められないことがあります。
実際にどう書けばよいのかは、関連記事で詳しく解説しています。
関連記事不倫誓約書の効力と書き方|浮気防止に使えるテンプレート・無効になるNG例 →何をすべきか迷うときは、弁護士への相談も選択肢
手元にある記録で足りるのか、いま急ぐべきことがあるのか。判断がつかないまま時間だけが過ぎることもあります。 そんな時でも、弁護士に相談することで、次のことが分かります。
| 相談の段階で分かること |
|---|
| 手元の記録で慰謝料請求ができそうか |
| ほかに残しておくべきものがあるか |
| 離婚・別居・やり直しのどれを選ぶかで、何が変わるか |
| 費用をかけて調査を依頼する必要があるか |
実際に依頼すれば、相手とのやり取りを任せることもできます。逆上した相手と直接話すのがつらい場合や、決めた内容を書面にまとめたい場合は、その負担を減らせます。 離婚や慰謝料を請求すると決めてから相談する必要はありません。いま何ができそうかを聞いてみるだけでも、これからの進め方は考えやすくなるでしょう。
不倫の悩みを相談できる窓口の選び方や、無料相談を活かすための事前準備は以下で解説しています。
関連記事不倫・浮気の相談は誰にすべき?目的別の窓口と弁護士費用不倫・浮気に関するよくある質問(FAQ)
∨ Q1. 肉体関係がない(プラトニック不倫)でも慰謝料は請求できる?
原則として、肉体関係がなければ不貞行為にはあたらず、慰謝料を請求するのは難しくなります。
ただし、キスや抱き合うといった性的な接触を含む親密な交際で、夫婦の平穏な生活を害したと裁判所に判断されれば、例外的に慰謝料が認められることもあります。
∨ Q2. 不倫相手の本名や住所が分からない場合はどうすればいい?
まずは配偶者本人に確認し、相手の名前や連絡先が分かれば、そこから交渉に入れます。
それが難しく、携帯電話の番号などが分かっている場合は、弁護士に依頼する方法があります。弁護士は、弁護士会を通じて携帯電話会社などに問い合わせる制度(弁護士会照会)を使えるため、契約者の氏名や住所が判明することがあります。ただし必ず開示されるわけではありません。
∨ Q3. 慰謝料を分割払いにすると言われたが応じるべき?
分割払いは、途中で支払いが止まることがあります。応じる場合は、合意した内容を公正証書(公証役場で作る書面)にしておくと安心です。強制執行を認める文言を入れておけば、支払いが滞ったときに、あらためて裁判をしなくても、相手の給料や預金を差し押さえられます。あわせて、1回でも支払いが遅れたら残りを一括で支払う、という取り決めも入れておくと、遅れた回の分だけでなく、残りの全額について差押えができます。