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JR東「新幹線オフィス」からオンライン会議に出席…移動中の仕事、労働時間になる?
ドア部分でも表示されていた(12月2日、弁護士ドットコムニュース撮影)

JR東「新幹線オフィス」からオンライン会議に出席…移動中の仕事、労働時間になる?

国内のコロナ感染状況は一時期より落ち着いており、出張など移動を伴う業務が活発化してきている。そんな中、JR東日本はこのほど、新幹線内でリモートワークができるサービス「新幹線オフィス車両」の運行を始めた。

各新幹線の8号車限定だが、座席での通話やウェブ会議が可能で、追加料金は特にかからない。一部の対象列車では、リモートワーク支援ツールの無料貸し出しも実施する。

●実際に乗って、ウェブ会議に参加してみた

画像タイトル 車外からもわかるように出入口ドアにも掲示(12月2日、弁護士ドットコムニュース撮影)

弁護士ドットコムニュース編集部員が12月2日朝、実際に新幹線(上越新幹線新潟行き)の8号車に乗車して、編集部のウェブ会議(Google meet)に参加してみた(マイク付きイヤホンを使用)。対象列車ではなかったため、リモートワーク支援ツールは使用していない。

8号車は乗客なら誰でも利用できる実質自由席なのだが、車両には「指定」と表示されているからか、高崎駅までの1時間、他の乗客はゼロ。気兼ねすることなく会議で発言することができた。

画像タイトル たまたまなのか、他の乗客は一切いなかった(12月2日、弁護士ドットコムニュース撮影)

ただ、新幹線のフリーWi-Fiの接続が不安定なため、30分で会議から落ちてしまい、その後はスマホでのテザリングに切り替えざるをえなかった。

また、「次は大宮です」など、新幹線のアナウンスが頻繁に入るため、会議に参加していた他の編集部員から「アナウンスがうるさい」と苦言を呈されてしまった。こっそり新幹線車両から参加する場合、いくら背景画像を変えても、このアナウンスですべてバレてしまうだろう。

可能かどうかわからないが、JR東日本は8号車のアナウンス音量を下げたほうがいいのかもしれない。

●移動時間は労働時間に含まれない?

今回の新サービスについて、ネットでは「会社に移動中でも休まず仕事しろと言われそう」「移動時間は労働時間に含まれないんじゃなかったっけ?」など、車内で仕事ができてしまうことに不安を感じている声もあるようだ。

もし移動時間が労働時間に含まれないということになれば、働き損ということにもなりかねない。本当に移動時間は労働時間に含まれないのだろうか。波多野進弁護士に聞いた。

●労働時間と評価されることもある「証拠が重要」

——移動時間は法的にはどのように扱われるのでしょうか。

移動時間は、会社の就業規則や賃金規定でも労働時間と扱わないことが多いことや、仕事から解放されているという先入観があるせいか、労働時間ではないという事実上の取り扱いになっていることが多いと思われます。

しかし、たとえば、新幹線の乗車中にノートパソコンで業務に必要な資料を会社のサーバーにアクセスし資料を閲覧、作成、修正したり、業務上必要なメールの送受信の対応をし続けており、その成果物(仕事をし続けていたことを裏付ける客観的なファイルやメールなど)があれば、移動時間も労働時間と評価されるでしょう。

一般論として、使用者の出張命令にしたがって特定の業務を行うために特定の地に移動するものですから、業務命令に従った業務であることは他の業務と変わりありません。

たとえば、出張業務は長時間の移動や待ち時間を余儀なくされ、それ自体苦痛を伴うものである上に、日常生活を不規則なものにし、疲労を蓄積させるものとした脳心臓疾患の労災に関する裁判例(三井東圧化学事件・東京高裁平成14年3月26日判決)や、自家用車による出張の移動時間を含めて時間外労働時間数を算出した例(東急リゾート事件・東京地裁平成20年6月25日判決)もあります。

また、残業代をめぐる裁判で、被告(使用者側)が会社から作業現場までの往復の時間は通勤時間などとして労働時間とはならないと主張したことについて、所定始業時刻前後の作業道具や資材の準備・片付けや業務日報の作成などに要する時間は、使用者の明示または黙示の指示によりその業務に従事した時間だとして、会社から作業現場までの往復の移動時間も労働時間としたケースもあります(総設事件・東京地裁平成20年2月22日判決)。

——移動中に仕事をした場合、後で万が一「労働していた・していない」と揉めた場合に備えておくべきことは何でしょうか。

どのような労働事件でも証拠が最も重要です。

移動中に実作業を行う場合には、パソコンのログ、移動中に作成したファイル、移動中に送受信したメールといったものが証拠になります。作成ファイルについては、1つのファイルに上書きし続けるのではなく、ファイル名をこまめに変更しておくなどして履歴を残しておきましょう。

プロフィール

波多野 進
波多野 進(はたの すすむ)弁護士 同心法律事務所
弁護士登録以来、10年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。

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