あの伝説のクイズ番組が帰ってくる。
『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ)が、番組誕生50周年を記念して復活することが決まり、7月18日から挑戦者の募集が始まった。新MCは櫻井翔さんがつとめる。
ただ、優勝を目指す場合は、合計約3週間、日本を離れることになる。
番組公式サイトによると、一次予選は9月12日に東京都内で開かれる。二次予選を突破すると、その先は海外ラウンドだ。日程は9月20日から10月2日、さらに11月30日から12月7日が予定されている。
公式サイトでは「参加者の自己都合による途中辞退や棄権は、健康上の理由など日本テレビが認める場合以外は認められません」と明記。
さらに、優勝を想定した期間に日本を不在にしても支障がないよう「必ず参加者ご自身で職場や学校等、関係各所に許可を得た上でエントリーしてください」と呼びかけている。
社会人にとって最初の難関は、砂漠でも泥んこクイズでもなく、上司の決裁かもしれない。
はたして「ウルトラクイズに出るので3週間休みます」は通るのか。かつて『SASUKE』(TBS)に出場した経験を持つ西口竜司弁護士に聞いた。
●「クイズ番組だからダメ」は通用しない
──「ウルトラクイズに出る」ことを理由として有給休暇を取れますか。
2022年のサッカーW杯カタール大会では、現地観戦した日本人サポーターが「上司へ、2週間の休暇をありがとう」と書いたボードを掲げ、話題を集めましたね。
勤務先のNTT東日本が公式アカウントで「休暇とW杯を楽しんで」と応じ、好意的に受け止められました。
今回も結論から先に言えば、法的には、ウルトラクイズ参加のために年次有給休暇を取得することは基本的に可能です。
労働基準法上、有給休暇を「どのような目的」で使うかは労働者の自由です(利用目的の自由)。
旅行でも、趣味のイベントでも、ウルトラクイズへの挑戦でもかまいません。会社に詳細な理由を説明する義務も、本来はありません。
また、労働者が指定した日に有給を与えることが原則です。そのため、「クイズ番組に出るなんてダメだ」という理由だけで、会社が有給を認めないことは法律上できません。
●3週間休むなら別問題…会社の「時季変更権」とは
アメリカ横断ウルトラクイズの公式サイトから(https://www.ntv.co.jp/ultraquiz/)
──決勝ラウンドまで進み、約3週間の不在となると話は変わりますか。
ここで問題となるのが、会社に認められている「時季変更権」です。
これは、その時期に休まれることで「事業の正常な運営が妨げられる」場合に限り、会社が有給休暇の取得時期の変更を求めることができる権利です。
今回のように約3週間という長期間の離脱となれば、代替要員を確保できない、重要なプロジェクトが止まってしまうといった事情が生じる可能性があります。
そうした客観的な事情が認められれば、会社が時季変更権を行使し、その期間の有給休暇取得は認めないと判断されるリスクは十分にあります。
●SASUKE出場経験者が語る「職場の理解なしでは無理」
──西口弁護士は『SASUKE』の本戦に出場した経験があります。
撮影期間は1日から数日でしたが、それでも体調管理や事前準備、そして仕事の引き継ぎにはかなり気を使いました。
まして、海外ラウンドを含め約3週間も職場を離れるとなれば、職場の理解と協力なしには成り立たないでしょう。
──会社とのやり取りについて、アドバイスはありますか。
法律上の権利だけを主張して押し切ろうとするのではなく、次のような準備をおすすめします。
(1)早めに相談し、引き継ぎ計画を示す
募集要項にもあるように、できるだけ早い段階で上司へ相談し、留守中の業務を誰がどう引き継ぐのか、自分から具体的な案を出すことが大切です。
(2)有給だけでなく特別休暇や欠勤も含めて相談する
残っている有給の日数によっては、有給だけでは足りない場合もあります。その場合は、会社と相談したうえで、無給の特別休暇や欠勤、場合によっては休職制度などを利用できないか検討する手もあります。
ウルトラクイズへの挑戦は、多くの人にとって人生で一度あるかないかの大きな冒険になるはずです。
だからこそ、職場の応援を背に受けてニューヨークを目指せるよう、ぜひ早めの相談と十分な準備で理解を得るよう心がけてみてください。
私自身も出場したくなってきました。挑戦する皆さんを心から応援しています!