養育費の増額はできる?まず押さえるべき2つの前提
養育費の増額を検討する際、最初に知っておきたいのは「必ず裁判が必要になるわけではない」という点です。まずは元配偶者と話し合うことから始まります。 そのうえで、増額ができるかどうかは、大きく2つのパターンに分かれます。
- 話し合いで合意できる場合: 理由を問わず自由に金額を増やせる
- 話し合いで合意できない場合: 法的に「事情の変更」と呼べる変化が必要
1. 話し合いで合意できるケース
養育費の金額は、当事者が合意できるなら自由に決められます。たとえば「子どもの進学でお金がかかるから増やしてほしい」と相談し、相手が納得すれば、書面を交わすだけで増額が可能です。裁判所の算定表の相場を上回ってはいけない、といった制約もありません。合意がまとまるようであれば、今後の紛争防止のため、できるだけ書面にまとめ、交わすことが良いでしょう。
2. 話し合いで合意できないケース
当事者間で合意できない場合は、家庭裁判所の手続き(調停・審判)に進むことになります。そこで重要になるのが法的な「事情の変更」です。 事情の変更とは、養育費を取り決めた当時には想定できなかった変化を指します。たとえば、子どもの進学や病気、双方の収入の増減などです。 ただし、増額を請求する理由が、法的な「事情の変更」にあたるかどうかは、個別の事情をもとに判断されます。生活が苦しいからといって必ず増額が認められるわけではない点には注意が必要です。
養育費の増額が認められるケース・認められにくいケース
当事者間で合意できない場合、法的に増額が認められるためには、主に4つの「事情の変更」が必要です。
逆に、一般的な物価高や、当初から想定できた出費、事前の同意がない習い事、感情的な不満といった理由だけでは、原則として認められにくいのが実情です。
「生活が苦しい=必ず増額できる」ではないことを押さえて、ご自身の状況がどのケースに当てはまるかを確認しましょう。
まずは、増額が認められやすい4つのケースを整理します。
| 増額が認められやすい理由 | 請求の際に必要な資料の例 |
|---|---|
| ①予定外の教育費の増加 | 進学先の資料、学費・受験費用の明細 |
| ②病気・けが・障害による負担の増加 | 診断書、医療費・療育費の記録 |
| ③受け取る側の収入減 | 課税証明書、離職票など |
| ④支払う側の収入増加 | 相手の課税証明書、収入資料 |
①子どもの進学・教育費の増加|私立進学・塾・大学
もっとも多いのが、子どもの進学に伴う教育費の増加です。私立中学・高校への進学、塾や予備校の費用、大学の学費などは、取り決めの当時には見込んでいなかった大きな支出になりがちです。 たとえば私立中学への進学が決まり、入学費用や毎月の学費がかかるようになった場合、事情の変更として増額の理由になり得ます。また、取り決めの際に「入学費用は折半する」といった特別費用の合意があれば、その合意にもとづいて負担を求めることも可能です。 大学の学費は、離婚しなければ受けられるであろう教育水準や、双方の学歴・収入水準などを踏まえて判断されます。私立学校の学費は、原則として公立に通った場合の費用が基準となり、それを超える差額分は、相手の同意など特段の事情がある場合に認められる傾向があります。 なお、養育費の増額は原則として「請求した時点」以降の分が対象となるため、実際に入学する前であっても、進学先が決まった段階で早めに話し合いを始めることが大切です。 合格通知書や入学手続きの案内、学校のパンフレットなど、進学の事実と具体的な費用の見込みがわかる客観的な資料を用意しておきましょう。
②子どもの病気・けが・障害による出費増
子どもが病気やけがをした、あるいは発達障害などで継続的な治療・療育が必要になった場合も、増額が認められやすいケースです。取り決めの当時には想定できなかった医療費・療育費が新たに生じるためです。 このケースでは、診断書や医療費の記録など、出費が客観的に増えていることを示す資料が重要になります。「障害があるから」という事情だけでなく、実際にどのような費用がどの程度かかっているのかを示せると、話し合いや調停で伝わりやすくなります。
③受け取る側(監護親)の収入減少・失業
子どもを育てている側の収入が減った、あるいは失業した事情も、増額の理由になり得ます。養育費は双方の収入をもとに算定されるため、受け取る側の負担能力が下がれば、支払う側の分担割合が上がる方向で考えられるからです。 リストラや病気で働けなくなった、勤務先の事情で収入が大きく下がった、といった変化がこれにあたります。収入の変化は、課税証明書や離職票などでなどで客観的に示すことができます。
④支払う側(非監護親)の収入増加
支払う側の収入が大きく増えた場合も、増額を検討できます。昇進や転職、事業の好転などで相手に余裕が生まれたのであれば、その分を子どもの養育費に反映するよう求められる可能性があります。 相手の収入増は把握しづらい情報ですが、後述する2026年の改正で調べやすくなった点も押さえておきましょう。
⑤増額が認められにくいケース(物価高のみ・事前同意のない習い事など)
一方で、増額が認められにくいケースもあります。取り決めの当時から想定できた範囲の出費や、主観的な不満だけでは、原則として増額の理由になりにくいと考えられます。
| 認められにくい例 | 補足(該当すれば別途考慮される点) |
|---|---|
| 物価が上がった、という理由だけ | 生活費全体が大きく変わったといえる事情があるかで判断される |
| 事前の同意がない習い事・塾の費用 | 進学に必要と認められるなど、事情の変更にあたれば別 |
| 相手への感情的な不満・不公平感 | 感情は法的な増額理由にはならない |
| 当初から予定していた範囲の出費 | 想定を超える新たな負担が生じたかどうかで判断される |
たとえば「物価が上がって生活が苦しい」という理由だけであったり、相手に相談せずに始めた習い事の費用を後から求めるといった理由では、認められるのは難しいことがあります。 もっとも、これらも法的な「事情の変更」にあたる具体的な事実があれば、増額が認められる余地は残ります。最終的には家庭裁判所が個別事情を踏まえて判断します。 ご自身の状況がどのケースに当てはまるか、以下を整理して確認してみましょう。
- 取り決めの当時には想定できなかった出費や収入の変化があるか
- その変化を裏づける資料(進学資料・診断書・課税証明など)を用意できるか
- 求めているのが感情的な不満の解消ではなく、実際の費用の増加分か
養育費はいくら増える?増額後の相場と適正額の調べ方
「具体的にいくら増えるのか」は、多くの方が気になる点です。増額後の目安は、裁判所が公表している養育費算定表を使って、双方の年収・子どもの人数・年齢から求められます。 ただし、収入の見方には注意が必要です。手取り額で計算すると、本来より低く見積もってしまいがちだからです。ここでは相場の調べ方と、見落としやすい「実質収入」の確認方法を解説します。
養育費算定表を使った目安の出し方
養育費の相場は、裁判所の算定表で調べられます。算定表は、子どもの人数と年齢(0〜14歳か、15歳以上か)によって複数の表に分かれています。 まずはご自身の状況に当てはまる表を選びます。そのうえで、表の縦軸(支払う側の年収)と横軸(受け取る側の年収)をあてはめて交わる部分を見ることで、月額の目安が枠として読み取れる仕組みです。 たとえば、相手の収入が増え、算定表で出た「養育費の目安」の金額が、現在受け取っている養育費の額よりも高ければ、増額を求められる可能性があると見当をつけることができます。 もっとも、算定表で示されるのはあくまで目安で、最終的な金額は個別の事情を踏まえて決まります。 養育費算定表の見方については、別記事で詳しくお伝えしています。ぜひご覧ください。
算定表で出た金額が高すぎると感じる場合の見直し方は、以下で解説しています。
関連記事算定表の養育費は高すぎる?理由と無理のない額で合意する方法 →見落としやすい「実質収入」の確認方法
算定表を参照するうえで大切なのが、収入を「手取り」ではなく、税金等を含めた「実質的な収入」で見ることです。手取り額で計算すると本来の算定より低くなり、増額の余地を取りこぼす原因になります。 会社員と自営業では、見るべき収入が異なります。
| 区分 | 収入の見方 |
|---|---|
| 会社員 | 手取りではなく、源泉徴収票の「支払金額」(総支給額)で見る |
| 自営業 | 確定申告書の課税所得を基本に、青色申告特別控除など実際には支出していない控除分を加算して考える |
会社員は、給与明細の手取りではなく源泉徴収票の総支給額をもとに考えます。 自営業は確定申告書の課税所得が基準ですが、青色申告特別控除のように実際にはお金が出ていない控除分は、収入に加えて考えるのが実務的な見方です。 実質収入を確認する手順は、次のとおりです。
- 会社員なら源泉徴収票、自営業なら確定申告書を用意する
- 会社員は総支給額を、自営業は課税所得を基準にする
- 自営業では、実際の支出を伴わない控除分を加算して考える
相手の正確な収入がわからない場合もありますが、後述する2026年の改正では、相手の収入を調べやすくする仕組みも設けられています。
相談者の疑問
養育費は、今後、予定される年収(相手に確認して)で算出しても良いんでしょうか?
相手が了承すれば…ということでしょうか?
また、離婚後、生活に掛かる費用を払う義務はありませんよね?>>> 質問の続きを見る
弁護士の回答新保 英毅弁護士
養育費は、現実の収入に基づき算定しますが、当事者間で合意できるのであれば、見込収入を基準に算定しても構いません。>>> 回答の続きを見る
養育費を増額請求する手順|話し合い・調停・審判
増額を求めるときは、いきなり裁判所に申し立てるのではなく、段階を踏むのが基本です。しかし、もちろん話し合いが難しい場合は、最初から裁判所の手続きを利用しても構いません。 一般的には、「①直接交渉 → ②調停 → ③審判」の順に進みます。 まずは話し合いから始め、合意できたら書面に残します。合意できなければ調停、それでもまとまらなければ審判へと進む流れです。
①まず相手と直接交渉する
最初のステップは、相手との直接交渉です。増額してほしい理由と希望額を伝え、話し合いで合意を目指します。合意できれば、それがもっとも早く、費用もかからない解決方法です。 伝え方は、メールや内容証明郵便など、記録が残る形で申し入れるのが安全です。口頭のやり取りだけでは、後で「言った・言わない」の争いになりかねません。 合意できたら、その内容を書面にしておきましょう。とくに、強制執行認諾文言を入れた公正証書にしておくと、万が一相手が支払わなくなったときに、給与や預貯金の差押えなどの手続きに進みやすくなります。
公正証書の詳しい作り方は、以下で解説しています。
関連記事【文例あり】養育費の公正証書の作り方と費用・必要書類まとめ →②養育費増額調停を申し立てる
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に「養育費増額調停」を申し立てます。調停は、裁判所の調停委員が間に入って話し合いを仲介する手続きで、弁護士に依頼せずご自身で申し立てることも可能です。 調停にかかる負担や目安は次のとおりです。
- 申立先: 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
- 費用: 収入印紙・郵便切手などで数千円程度
- 期間の目安: 数か月から半年程度(事案による)
申立てに必要な書類の例は、次のとおりです。
- 養育費増額調停の申立書
- 申立人・相手方の戸籍謄本
- 収入がわかる資料(源泉徴収票・課税証明書など)
- 増額の理由を裏づける資料(進学資料・診断書など)
また、申立ての前には、現在の取り決め内容がわかる書面(調停調書・公正証書・合意書など)も準備しておくとスムーズです。
調停の申立てに必要な書類や費用は、以下でも詳しく解説しています。
関連記事養育費調停の流れ・費用・必要書類|期間や進め方のポイントを解説 →③合意できなければ審判へ移行する
調停でもお互いが合意に至らなかった場合、手続きは自動的に「審判」へ移行します。 審判では話し合いではなく、裁判官が双方の提出した資料や一切の事情をもとに、客観的に養育費の額を判断して決定を下します。 相手が調停に応じない、あるいは折り合わないままであっても、最終的には審判で結論が出る仕組みになっています。
相談者の疑問
離婚後7年が経ちますが、養育費の増額や面会の回数など、離婚時の約束事の仕切り直しは可能でしょうか?>>> 質問の続きを見る
弁護士の回答森田 英樹弁護士
現在のお互いの年収から新たに養育費を試算して、子供が20歳まで支払ってもらいたいです。面会などの約束事も決め直したいと思っています。また、今回は合意書ではなく公正証書を作成したいと考えております。
・・・再協議ができますが 当事者間では話し合いが難しいと思います。>>> 回答の続きを見る
増額を認めてもらうためのポイントと注意点
養育費の増額を通すためには、「すべきこと」と「避けること」の両方のポイントを押さえておくことが大切です。
増額を求めると、相手から減額を主張されることもあります。認められる条件は以下で解説しています。
関連記事養育費を払わなくていい場合とは?離婚後の免除・打ち切りの条件と手続き →増額を認めてもらうための3つのポイント
- 事情の変更にあたる客観的な証拠をそろえる
- 相手の実質収入(手取りではなく総支給や課税所得)を正確に把握する
- 早めに請求の意思を示し、記録に残す
感情的に「苦しい」と訴えるよりも、事情の変化を裏づける客観的な資料をそろえるほうが、話し合いでも調停でも説得力があります。
増額はいつから認められる?
見落とされがちなのが、「増額はいつから認められるのか」という点です。原則として、増額は過去に遡って認められるわけではなく、「請求の意思を示した時点」(内容証明での申し入れや調停の申立てなど)以降の分が対象になるのが一般的です。 つまり、増額したいと思ってから請求を先延ばしにすると、その間の増額分は受け取れない可能性が高くなります。「後からまとめて請求すればよい」と考えていると、取りこぼしにつながりかねないため、増額を考えたら早めに動くことが重要です。
やってはいけない3つの行動
一方で、避けるべき行動もあります。 やりがちな行動と、推奨されるアクションを表で整理しました。
| やりがちな行動 | 推奨されるアクション |
|---|---|
| 口約束だけで済ませる | 合意内容を書面・公正証書に残す |
| 手取り額で養育費を計算する | 総支給額・課税所得(実質収入)で計算する |
| 増額の請求を先延ばしにする | 早めに請求の意思を形に残す |
口約束は、後から「そんなことは言っていない」と覆されてしまうと、合意の証明が困難になってしまいます。合意できたら必ず書面に残しましょう。 増額を認めてもらうための準備として、最後に以下を確認してみてください。
- 事情の変更を示す客観的な資料はそろっているか
- 相手の実質収入を確認できているか
- 請求の意思を、記録が残る形で早めに示せているか
2026年改正民法|相手が払わない・収入を隠すときの新しい対処法
養育費の問題では、「相手が払わない」「収入を隠している」といった悩みが根強くあります。この点について、2026年4月に施行される改正民法で、回収をしやすくする新しい仕組みが設けられました。
これまで「強制執行には公正証書が必要」と考えられてきた場面でも、対応の幅が広がります。
法定養育費と一般の先取特権
2026年の改正民法では、取り決めがないまま離婚した場合でも、一定額の養育費を請求できる「法定養育費」の仕組みが導入されました。これにより、離婚を急いで養育費を決められなかったケースでも、最低限の養育費を求めやすくなります。 あわせて、養育費の請求権に「一般の先取特権」という優先的な地位が認められます。これにより、公正証書のような債務名義(強制執行の根拠になる公的な書類)がそろっていない場合でも、相手の財産に対する差押えの手続きに進みやすくなる方向です。 主な法改正のポイントを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 2026年改正のポイント |
|---|---|
| 取り決めがない養育費 | 「法定養育費」として一定額を請求しやすくなる |
| 差押えの前提 | 「一般の先取特権」により、公正証書等がなくても差押えに進みやすくなる |
これにより、「公正証書を作っていないから回収できない」という古い前提は、当てはまらない場面が増えていきます。
共同親権を選んだ場合の養育費の扱いと、法定養育費の目安は以下で解説しています。
関連記事共同親権で養育費はどうなる?法定養育費の仕組みと注意点 →相手の勤務先・預貯金・収入を調べる手続き
もうひとつのポイントが、相手の財産や収入を調べやすくする仕組みです。裁判所を通じた情報開示の手続きにより、相手の勤務先や預貯金、収入に関する情報を把握しやすくなります。
この情報開示は、段階によって使える仕組みが分かれます。
養育費の金額を決める段階では、家庭裁判所が相手に収入資料の開示を命じる制度(収入情報の開示命令)があります。
一方、決まった養育費が支払われず強制執行に進む段階では、相手に財産を申告させる財産開示手続や、勤務先・預貯金を市区町村・年金機構・金融機関などから調べる第三者からの情報取得手続を使えます。
2026年施行の改正では、これらを一度の申し立てでまとめて進めやすくする仕組み(ワンストップの執行)も整いました。
たとえば、相手が自営業で収入を隠しているように見える場合でも、手続きを通じて実態を把握できる可能性が高まります。これは相手を責めるためではなく、適正な養育費を求めるために「事実を明らかにする手続き」と考えるとよいでしょう。
もっとも、これらの手続きをご自身だけで進めるのは負担が大きい面もあります。相手が収入を隠している疑いがある場合や、差押えまで見据える場合には、弁護士への相談も一つの選択肢です。
弁護士に依頼すべき?費用と回収額の費用対効果を考える
増額を進めるうえで、弁護士に依頼すべきか迷う方も多いはずです。 円満に合意できそうならご自身で進めることも可能ですが、相手が非協力的なケースでは専門家のサポートが有効に働きます。
相談を検討すべきケースと自分で進められるケース
弁護士への相談がとくに有益なのは、相手が話し合いを無視する、収入を隠している、あるいは調停や強制執行の手続きに不安があるケースです。
| 相談を検討したいケース | ご自身で進められるケース |
|---|---|
| 相手が話し合いに応じない・連絡がとれない | 相手が増額に前向きで合意できそう |
| 相手が収入や財産を隠している | 相手の収入を把握でき、算定表で目安がわかる |
| 調停や強制執行などの手続きに不安がある | 手続きにかかる時間や負担を自分で担える |
ご自身が相談すべきか迷ったときは、以下を基準に整理してみましょう。
- 相手と直接交渉できる関係か、それとも連絡自体が難しいか
- 相手の収入や財産を自分で正確に把握できているか
- 調停・審判・強制執行などの裁判所手続きをご自身で進められそうか
弁護士費用と長期的な回収額の費用対効果
「少額の増額のために弁護士に依頼するのは損では?」と感じる方もいますが、長期的な回収額で見ると印象が変わることがあります。 たとえば、月2万円の増額が認められ、子どもが成人するまでの残り支払期間が10年あるとします。単純計算で「2万円×12か月×10年=240万円」の増額となり、これに対して弁護士費用が数十万円であれば、十分に費用対効果が見込めるケースも少なくありません。 もちろん、この試算はあくまで目安です。とはいえ、長期的な回収額を考えれば依頼のメリットが大きいケースも多いため、まずは初回の無料相談などで「ご自身のケースで費用対効果が見込めるか」を試算してもらうのも一つの有効な方法です。
養育費の増額に関するよくある質問(FAQ)
∨ Q1. 子どもが15歳になったら養育費は自動的に増額されますか?
自動的には増えません。養育費の算定表では、子どもが15歳以上になると区分が上がり、目安の金額も高くなる傾向があります。
しかし、年齢が上がったからといって自動的に金額が変わるわけではなく、実際に増額するには相手との合意か、調停・審判での変更手続きが必要です。15歳を迎えるタイミングは、増額を申し入れる一つの目安と考えるとよいでしょう。
∨ Q2. 私立中学・高校や大学の進学費用は養育費で追加請求できますか?
個別の事情によりますが、認められる場合があります。
判断のポイントは、「事前の同意があったか」「その進学が必要と認められるか」「双方の学歴や収入水準に照らして相当か」といった点です。
私立の学費は原則として公立の学費を基準に考え、それを超える差額分は、特段の事情がある場合に認められる傾向があります。
なお、成人年齢が18歳に引き下げられた後、大学に進学して経済的に自立していない間は「未成熟子」として、卒業まで(20歳や22歳の3月など)養育費が認められるのが一般的です。18歳になったからといって当然に打ち切られるわけではありません。
∨ Q3. 相手が増額調停を無視・欠席した場合はどうなりますか?
調停は不成立となり、「審判」へと移行して結論が出されます。
審判では、裁判官が双方の提出した資料や一切の事情をもとに養育費の額を判断します。相手が無視や欠席を続けても、それだけで逃げ切れるわけではありません。むしろ、資料をそろえて誠実に対応した側の主張が通りやすくなる面もあります。
∨ Q4. 自分や相手が再婚したら養育費の増額に影響しますか?
影響する可能性があります。
支払う側が再婚して扶養する家族が増えれば「減額」の方向に、受け取る側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合も、「減額・免除」の要因になることがあります。
逆に、双方の収入や家庭状況の変化によっては増額に働くこともあります。いずれも個別の事情によって結論が変わるため、変化があった時点で改めて話し合うか、調停で整理することになるでしょう。
∨ Q5. 共同親権になったら養育費はどうなりますか?
共同親権になっても養育費がなくなるわけではありません。
2026年に導入された共同親権のもとでも、子どもを主に監護する(日々の世話をする)分担に応じて養育費は発生し得ます。共同親権になったからといって、養育費が当然になくなるわけではありません。