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年上男性から恋愛迫る「おじアタック」、職場だとセクハラ? 断っても「手紙」届いて困惑する女性
写真はイメージです(beauty-box / PIXTA)

年上男性から恋愛迫る「おじアタック」、職場だとセクハラ? 断っても「手紙」届いて困惑する女性

「おじアタック」という言葉をご存知でしょうか。

年上の男性(いわゆる「おじさん」)が、若い女性の気持ちを考えずに一方的に恋愛関係を迫る行為を指すネットスラングです。

婚活や出会いの場などで使われることが多く、若い女性からは「距離感が不適切」と感じられ、否定的に受け止められるケースが少なくありません。

SNS上では「35歳以上の男性が、8歳以上年下の女性にアプローチをかけること」と定義されることもあります。ただし、年の差カップル自体は珍しくないため、必ずしも「迷惑行為」とは限りません。

しかし、職場では、年上の男性からの一方的なアプローチが問題化することもあるようです。弁護士ドットコムには、困惑する女性からの相談が寄せられています。

●父親よりも年上の男性から「デートしてほしい」

ある女性は、職場で「父親よりも年上」の既婚男性から「デートしてほしい」と繰り返し誘われました。入社時に仕事を教わり、世間話をする程度の関係だったにもかかわらず、「デートはいつ行ってくれるのか」「好きになってしまった」と何度も言われたといいます。

女性はきっぱりと断り、上司も注意しましたが、その後も男性は思いを綴った手紙を送り続けてきたそうです。女性は「迷惑だし気持ち悪い」と困っている様子です。

職場で望まない「おじアタック」を受けてしまった場合、どう対応すべきなのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。

●「何度もデートに誘う」のはセクハラ

──職場で何度も「デートしてほしい」と誘う行為はセクハラになりますか。

セクハラとは、「労働者の意に反する性的な言動」によって、(1)職場環境が害されること(環境型)や(2)労働条件に不利益を与えること(対価型)が生じる場合をいいます。

一度だけ「デートしてほしい」と言う程度では、ただちに違法とまでは評価されにくいものの、断っているのに繰り返し誘う、さらに「好きになってしまった」など恋愛感情を押し付ける発言が続く場合は、業務に支障をきたすほど不快な状況となりやすく、典型的な「環境型セクハラ」に該当します。

特に、加害者が先輩や上司であれば、上下関係による圧力も加わり、よりセクハラ性が強いと評価されるでしょう。

●会社や加害者への損害賠償請求

──被害者が損害賠償を請求できる可能性はありますか。

会社に対しては、使用者責任(民法715条)や安全配慮義務違反(労働契約法5条)に基づき責任を追及できます。

また、加害者本人に対しては、人格権侵害(不法行為・民法709条)として慰謝料請求をする余地があります。

実際に、執拗なデートの誘いや手紙・メール送付によって、慰謝料が認められた裁判例もあります。

●ストーカー規制法に触れる可能性

──拒否や注意を受けても、手紙やメッセージを送り続ける場合、ストーカー規制法に触れますか。

ストーカー規制法上の「ストーカー行為」とは、恋愛感情やその恨みに基づいて、特定の相手に付きまとい・監視・面会要求・無言電話・連続したメール送信などを繰り返すことをいいます。

今回のように、拒否されているのに「好意」を理由に手紙やメッセージを繰り返し送る行為は「つきまとい等」に該当し得ます。特に「恋愛感情に基づく」「繰り返し」「拒否後も続く」という三要素が揃えば、警察が介入できる余地は十分です。

メールや手紙の送付は「文書の交付」として、典型的なストーカー行為に含まれます。警察に相談すれば、ストーカー規制法に基づく「警告」や「禁止命令」を出してもらえる可能性があり、それでも続けば逮捕や刑事罰の対象になります。

一方で、単に「好き」「会いたい」と伝えるだけなら、脅迫罪(刑法222条)や強要罪(刑法223条)といった犯罪にはただちに当たりません。

ただし、各自治体の迷惑防止条例では「つきまとい」「待ち伏せ」「押しかけ」などが処罰対象となるため、これに該当する可能性もあります。

●会社側に求められる対応

──会社にはどのような対応が求められますか。

会社側には、主に以下の4つの対応が求められます。

(1)相談窓口・調査体制の整備 ハラスメント相談窓口を設置し、申告を適切に受理することや、プライバシーに配慮しつつ、迅速に事実確認を行う。

(2)加害者への対応 注意・指導・配置転換・懲戒処分など、行為の内容・頻度・悪質性に応じて適切な措置を講じる。また、「注意してもやめない」「ストーカー化している」ケースでは、停職、解雇といった、より強い懲戒も検討の対象とする。

(3)被害者の就労環境保全 被害者が安心して働けるように、部署変更・シフト調整・テレワーク導入などの配慮を行う。ただし、被害者側を一方的に不利益に異動させることは二次被害になるので注意が必要。

(4)再発防止策 社員研修や就業規則の明記、懲戒基準の明確化などを通じて、ハラスメントを許さない姿勢を示す。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

寺林 智栄
寺林 智栄(てらばやし ともえ)弁護士 NTS総合弁護士法人札幌事務所
2007年弁護士登録。札幌弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)を経て、2022年11月より、NTS総合弁護士法人札幌事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。

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