横浜市や東京都町田市の路上で2024年11月、一晩のうちに通行人4人を襲った連続強盗事件などで、主犯格として強盗致傷罪などに問われている松本直人被告人の裁判員裁判が7月8日、横浜地裁であった。
この日の被告人質問では、犯行の動機や経緯について問われたが、松本被告人は「覚えていません」「黙秘します」と繰り返す場面が目立った。
●犯行動機は「黙秘します」繰り返す
松本被告人は2024年10月から12月にかけて、友人である高橋瑠己(るき)受刑者(懲役11年確定)や少年らとともに、一連の路上強盗のほか、神奈川県内や都内のコンビニやリユースショップ、質店での窃盗や、ウーバーイーツ配達員を襲った事件などについて罪に問われている。
被告人質問では、一連の犯行に至った経緯や、グループ内でどのような役割分担があったのかが、焦点となった。
連続強盗のきっかけは、グループの少年からの提案だったという。しかし、実際に誰が言い出したのかを問われると、松本被告人は「覚えていない」と述べた。
また、高橋受刑者の裁判員裁判では、反社会的勢力とのトラブルで200万円の支払いを求められ、現金が必要だったことが犯行の動機の一つとされていた。この点について問われると、松本被告人は「黙秘します」と繰り返した。
●「首謀者」か「対等な関係」か、食い違う証言
一方、高橋受刑者や少年らの証言と食い違ったのが、グループ内で誰が主導権を握っていたのかという点だった。
高橋受刑者の裁判では、弁護人が「(一連の犯行は)いずれも松本被告人の首謀でおこなわれた」と主張し、2人は対等な関係ではなかったとうったえていた。
これに対して、松本被告人は高橋受刑者との関係を「親友」と表現。「2人は対等な関係だったか?」と問われると、「自分の中ではそうです」と答えた。
また、窃盗や連続強盗の実行役となった少年Aについても「無理やり犯罪をさせたことはない」と主張した。
ブランド品などを狙った連続窃盗で、少年Aが実行役となった理由については、「Aの足が速いからですし、Aからも『自分でやります』と言われたので、お願いしていた」と説明した。
しかし、高橋受刑者の裁判で、少年Aは、2人から「俺たちは前科があるからダメだけど、お前は捕まっても少年院に入って1年で出てこられる」と言われ、実行役を任されたと証言しており、双方の言い分は食い違っている。
●「何も考えていなかった」「もったいないと思った」
被告人質問では、短絡的な犯行スタイルも浮き彫りになった。
連続強盗について、検察側から「通行人がお金を持っていない可能性は考えなかったのか」と問われると、松本被告人は「当時は何も考えていなかった」と振り返った。
また、連続強盗の後に高橋受刑者とウーバーイーツ配達員を襲った事件では、高橋受刑者の携帯から呼び出したといい、「アカウントから捕まるとは思わなかったのか」と問われると、「その時は考えていなかった」と述べた。
さらにコンビニで弁当やタバコを盗んだことについて、裁判官からは「買おうと思わなかったのか」と尋ねられると、「お金はあったが、そのお金をあてるのがもったいないと思ってしまった」と答えた。
次回公判は7月13日に開かれる。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)