「胸を揉ませて」「2人で抱き合って眠りたい」などのセクハラ発言を繰り返す同僚男性(40代)に悩む女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられている。
相談者によると、男性は仕事中に「倒れたらマウス・トゥ・マウスしてね」「俺の裸を洗って」などと何度も話しかけてきたという。「やめてほしい」と伝えても、改善されることはなく、約1年、耐え続けるしかなかった。
意を決して会社に相談すると、男性の異動が決まった。しかし「俺もあなたに『大嫌い』と言われた。パワハラだ」などと主張し、まったく反省していない素振りだという。
慰謝料を請求することはできるのか。寺林智栄弁護士に聞いた。
●慰謝料請求は可能「いかに証拠を残すかが重要」
ーー相談者は、同僚男性の異動だけでは納得しておらず、慰謝料を支払ってほしいと考えているようです。
今回のようなセクハラ発言は、相談者の人格的利益を害するものといえるので、男性には少なくとも過失が認められます。民法上の不法行為が成立し、慰謝料を請求することが可能です(民法709、710条)。
慰謝料額は発言の内容や程度、継続した期間、頻度などの事情によって変わるので、一律にいくらということはできません。
ただし、今回のケースでは、期間も約1年で、内容も「胸を揉ませて」「裸を洗って」など、性的羞恥心を害する程度が高いものといえます。加えて、セクハラ発言をした本人がまったく反省していません。
以上の点を踏まえると、頻度にもよりますが、少なくとも100万円前後の金額が認定される可能性が高いのではないかと思います。
ーーこのようなセクハラ被害を受けた場合、できることはありますか。
セクハラは被害を受けても、証拠がなく、泣き寝入りしなければならないことも少なくありません。可能であれば録音したり、その都度メモを取っておくと、後々証拠にできる可能性があります。
労働基準監督署や都道府県の労働局などに相談すれば、情報開示によって相談資料を取り寄せて証拠にすることができます。
いかに証拠を残すかが重要ですので、いま被害に遭われている方はぜひ試していただきたいと思います。