7月13日に発売される「週刊少年ジャンプ」33号が発売前から争奪戦となり、付録である「ONE PIECEカードゲーム」の特別限定カードが、発売前からフリマサイトで出品される事態となっています。
発売前にもかかわらず、メルカリなどのフリマサイトでは、カードの出品が複数確認できます。出品の注意書きには「発送は13日」などと書かれていることから、手元にカードがないのに出品していると見られます。
このように、手元に商品がない状態なのにフリマサイトに出品することは許されるのでしょうか。簡単に解説します。
●手元にない商品でも、売る約束はできる
手元にない商品を売ることは、民法上は禁止されていません。
売買は、売る人と買う人の合意だけで成立します(民法555条)。売る時点で商品の所有権を持っていなくてもかまいません(「他人物売買」といいます)。
この場合、売主は自分で現物を手に入れ、買主に引き渡す義務を負います(民法561条)。
●チケットの不正転売とは違う
コンサートやスポーツのチケットには、高額転売を禁じる法律(チケット不正転売禁止法)があります。
ただ、この法律の対象は、販売時に転売禁止が明示されるなど、一定の要件を満たすイベントチケットに限られます。
雑誌やその付録カードは対象外で、物品の転売自体を正面から禁じる法律は今のところありません。ただ、業として反復継続する転売には古物営業法の規制が及ぶ可能性はあります。
●フリマサイトでは「規約違反」
法律で禁止されていなくても、フリマサイトの利用規約では話が別です。
メルカリは、違反の具体例として「出品時に手元にない商品を販売すること」に加え、発売前・公開前の商品を予約や取り寄せで販売することも挙げています。
違反と判断されると、取引キャンセル、商品削除、利用制限などの措置の対象になります。
Yahoo!オークション(旧ヤフオク!)は、ガイドライン細則で、商品の現物が手元にない状態での出品(落札後に発注・取り寄せするものなどを含む)を禁じているだけでなく、発売・配布予定の商品を公表された発売日より前に出品することを、現物が手元にある場合も含めて禁止しています。
つまり、Yahoo!オークションの場合、たとえ先に現物を入手していても、発売日前の出品自体がルール違反です。運営は、予約が完了しているだけでは「手元に商品がある」とは扱わないことも明らかにしています。
Yahoo!フリマも、Yahoo!オークションと同様に、公表された発売日・配布日より前の出品を、現物の有無を問わず禁止しています。
楽天ラクマは、購入申請が入ってから仕入れるなど、手元にない商品を出品する行為を禁止しており、発売日前の予約商品もこれに含まれるとしたうえで、違反には商品ページの削除やアカウント停止等の措置を取るとしています。
●買う側・売る側それぞれのリスク
買う側には、商品が届かないリスクがあります。出品者がそもそも現物を確保できないおそれがあるためです。
最初からだますつもりの詐欺のケースもあれば、だますつもりはなくても売主が入手に失敗する場合もあります。
売る側のリスクはさらに大きいといえます。規約違反による利用停止に加え、詐欺罪(刑法246条、10年以下の拘禁刑)に問われるおそれもあります。
入手できる見込みがないのに「入手できる」と装って代金を受け取れば、詐欺罪の成立が問題になり得ます。
もちろん、犯罪が成立する場合は限定的ですが、犯罪を疑われること自体が大変なリスクです。このような売り方は、やめるべきです。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)