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スタートアップ企業で賃金支払われず、労基署に刑事告訴 代表取締役は音信不通
会見で被害を訴えた元従業員ら(2022年2月17日、弁護士ドットコム撮影、東京・霞が関の厚労省記者クラブ)

スタートアップ企業で賃金支払われず、労基署に刑事告訴 代表取締役は音信不通

スタートアップ企業(東京都新宿区)で働いていた20〜70代の男女9人が、2021年5月以降賃金が支払われていないとして、会社と代表取締役の男性を新宿労働基準監督署に刑事告訴した。告訴は2月15日。代理人らが2月17日、記者会見を開いて明らかにした。

未払い賃金は計約1700万円に及び、もっとも多い人で約350万円にものぼるという。

代理人の笠置裕亮弁護士は「被害者の多くが大学や大学院を出たばかりで、基本給も賞与も残業代も全て支払われていない。極めて悪質で、労働基準法の罰則が適用されるべき」と指摘した。

●代表とは連絡は取れず音信不通状態に…

告訴状などによると、会社は2020年10月に休眠会社を復活させる形で創業し、ブロックチェーンの新規開発を主な事業としていた。

被害を訴えている元従業員ら9人は、2020年10月〜21年6月に採用されたが、21年5月から基本給を含む一切の賃金が支払われなくなった。代表者は「来月になったら資金調達ができるから信じてついてきて欲しい」などと話したという。従業員らは8月以降退職を余儀なくされた。

元従業員らは2021年9月に新宿労基署に労基法違反の申告を行い、同労基署は10月28日に是正勧告を出し11月までに未払い賃金を支払うよう確約させたが、支払いはされなかった。

その後、代表者は元従業員らの代理人弁護士に対し「2021年内に支払い見込みについて連絡する」と話したが、以後連絡は取れず音信不通状態だという。

代理人の笠置裕亮弁護士は、「労基署はどういう場合に検察庁に送致するかの内部基準があると話したが、その内容は明かせないという。代表者は逃亡の恐れがあり、身柄拘束して逮捕すべき事案だ。なぜ今回のケースで適用されないのか、罰則規定は形骸化しているのではないか」と疑問視した。

企画立案などをしていた男性は「代表から『提案書作って』と言われ、日々リサーチなどをしていた。給与が止まった時も代表は『売り上げが立つから』と言っていた。自分は売り上げを立てる側だったので、皆を助ける一心で当時は必死だった」と振り返った。

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