親にとっては、成人しても子どもは子ども。「大学生の娘が100万円を借りてきた」という人が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。
相談者によると、娘は「大学の学費や生活費のためにチャットのバイトをしており、50代の男性と知り合った」といいます。親しくなり、事情を話したところ「相手からの申し出で、100万円以上のお金を借りた」のだそうです。
しかし、返済期限や返済方法についての取り決めや借用書はなく、口頭で「教員になる夢を達成してから返してくれればいい」と言われました。
お金を受け取った後で娘から話を聞いた相談者は、後々のトラブルを防ぐため、今からでも借用書を用意し、そこに「借金完済後は娘との関係を断つ」ことも明記したいそうです。
今回のことで娘がトラブルに巻き込まれないよう、相談者はどのような対応をすればいいのでしょうか。西山良紀弁護士に聞きました。
●借用書や契約書を作成したほうが良い
—— 個人間の借金の場合、トラブルを防ぐためにどのような手続きがあるのでしょうか。
一般的に個人間の貸し借りはトラブルになりやすいのでやめておくのが無難です。どうしても個人間で貸し借りをする場合は、返済金額・返済方法・返済期限等の条件を明確にした借用書や契約書を作成したほうが良いと思います。
——そもそも、口頭でも「契約」は成立したといってよいのでしょうか。
今回のケースですが、口頭だけのやり取りであっても、大学生の娘さんが50歳超の男性から現実に100万円を借り受けている以上、金銭消費貸借契約は成立しています。
そして、この契約は、教員になれなかった場合100万円の返済義務があるか否か、返済方法・返済時期などあいまいな点が多く、トラブルの種を多く抱えていると思います。
——教員になれなかった場合、100万円の返済義務はどうなるのでしょうか。
もし裁判になった場合、裁判所は「教員になる夢を達成してから返してくれればいい」という言葉は「教員になれるかなれないかはっきりするまで返済を猶予する」という意味であり、たとえ教員になれなくても100万円の返済義務があると判断する可能性が高いのではないかと思います。
●100万円の一括返済が一番のトラブル防止
——今後の対応はどうすれば良いですか。
今後の対応については、可能であれば100万円の一括返済が一番のトラブル防止だと思います。それが無理な場合、男性と、教員になれなかった場合も含め返済方法・期限等の諸条件を協議して、その結果を書面に残すとよいと思います。
余計なことですが、他人から簡単に100万円もの大金を借りる娘さんの感覚に問題があると思います。しっかり娘さんと話し合いをされたほうが良いと思います。