2019年08月28日 09時58分

「よくそんな学歴で応募しようと思ったね」就活生への露骨な差別発言、法的問題は?

「よくそんな学歴で応募しようと思ったね」就活生への露骨な差別発言、法的問題は?
写真はイメージです(polkadot / PIXTA)

「その程度の学歴で…」。就職活動の面接で学歴に対する差別発言をされ、傷ついている学生も少なくないようだ。

インターネットのQ&Aサイトにも、今年7月、「面接で、学歴のことで露骨に嫌味を言われたり、遠回しに馬鹿にされたりして、落ちることが多いです」という投稿が寄せられている。

投稿者によると、あるメーカーのグループ面接では、MARCHなどの学生と、国士舘大学に通う投稿者とで、面接官の態度があからさまに違ったのだという。

「私以外の学生に対しては、フレンドリーで、大学生活について興味津々に聞いていました。しかし、私に対しては質問もほとんどなく、『よくそんな学歴でウチに応募しようと思ったね』というようなことまで言われました」と投稿者はいう。

面接で学歴に対する差別的な発言をしたり、学歴を理由に不採用とすることは、法的に問題ないのだろうか。労働問題にくわしい山田長正弁護士に聞いた。

●企業には「採用の自由」がある

ーー学歴を理由に「不採用」とすることは、法的には問題ないのだろうか

「結論として、違法ではないと考えられます。

たしかに、『学歴』のみで特定の応募者の機会を奪ってしまうことは、差別のようにも思われます。公正な採用選考という観点でいうと、『性別』での差別を禁止する男女雇用機会均等法や、『年齢』制限を禁止する雇用対策法などの各種規制がありますから、学歴を理由に不採用とすることも許されないのではないか、と考える人がいてもおかしくありません。

しかし、企業には『経済活動の自由(憲法22条および29条)』が認められています。最高裁判決では、これを根拠に、企業の『採用の自由』を広く認めています(三菱樹脂事件・昭和48年12月12日判決)。

そのため、採用時の学歴による選別自体が、違法になるとは考えられないのです」

●学歴に対する差別的な発言、不法行為にあたる可能性も

ーー選考の結果、企業が学歴を理由に不採用とすること自体は違法ではないようだ。では、面接で、学歴に対する差別的な発言をすることは違法ではないのだろうか

「学歴を踏まえた差別的な発言がなされた場合、これが違法と判断される可能性は大いにあります。採用担当者が学生に対して、人格的非難を行ったとして、人格権侵害により民事上違法とされるリスクが高いためです。

また、投稿者が経験したケースのように、公然の場である集団面接の場において他人の名誉を傷つける行為は名誉棄損行為に当たり、不法行為が成立する可能性があります。

この場合、内容次第では、民事事件だけでなく、名誉毀損罪や侮辱罪といった刑事事件にまで発展する可能性もありえます」

ーーでは、集団面接ではなく、面接官1人と学生1人だけの場の場合は名誉毀損行為にあたるのだろうか

「この場合は公然の場ではないため、基本的に名誉棄損行為には当たりません。ただし、人格権侵害には当たります。

『売り手市場』といわれる採用難の時代に、SNS等がさかんな現代の情報社会で悪評が広がることは、企業の採用活動だけではなく、事業活動本体にとってもデメリットしかありません。面接時の発言には、日頃から注意が必要です」

取材協力弁護士

山田 長正弁護士
山田総合法律事務所 パートナー弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。

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