帰省ラッシュなどで混雑していると、座れなくなることもある新幹線の自由席。会社員のマサオさんは、今年、あまりの混雑で自由席に座れず、立つことを強いられた際、お菓子のゴミが置かれただけの席を見かけた。
これは、いわゆる「席の確保」なのだろうか。もともと座っていた人がトイレなどに行っていることが予想されるが、マサオさんは「さすがにゴミなので、どけて勝手に座ってもいいんじゃないか」と思ったそうだ。
結局、何もできずに立っていると、もともと座っていたとみられる乗客が戻ってきて、再び座ったが、もし、マサオさんがゴミをどけて、自分で座ったとしても問題ないのだろうか。甲本晃啓弁護士に聞いた。
●自由席の利用については、営業規則に定められていない
「自由席」は、その列車に必要な乗車券・特急券等を有する乗客であれば、空いている席に座ることができる座席区分です。
結論からいうと「自由席」の利用について鉄道会社の営業規則等にルールは定められておらず、どのような状態であれば「空いている」として座って良いかは「車掌」の判断に委ねられています。今回のケースのように、判断に迷うような場合は、遠慮なく車掌に申し出て、対応をしてもらうというのが正解です。
実際のところ、上着などを席に置いて「席をキープ」して、トイレや携帯電話の通話などで席を離れたり、出発前・停車中にホーム上の売店に買い物に出かけたりすることはよくあると思います。
他方で、最近では盗難などの懸念から、飲み残しのペットボトルやお菓子の空き箱、新聞など、ゴミと判別つかないようなものを座席に置かれていくケースも見られます。行楽シーズンにはリクライニングを倒したままで降りていく乗り慣れない乗客も多く、その席に座っていた乗客が列車を降りたのかどうかの判断に困りますよね。
車掌に申し出れば、空いていると判断してすぐ案内をしてくれることもありますし、「一応お待ちしましょう。次の新横浜までにお客様がお戻りなられなければ、ご案内します」と言ってくれる場合もあります。
案内をうけて着席した後、万が一、乗客が戻ってきた場合も、車掌に対応をしてもらうのがよいでしょう。あくまでも現場での状況判断になるとは思いますが、他の車両の空いている座席や、列車によっては対応用に予備で確保している座席へ通してもらえる場合もあるようです。
また、「隣が空いているほうが広々とするから」とか「途中駅で乗ってくる仲間のために」という理由で隣の座席に荷物を置いてキープすることや、定員に満たない人数で座席を回転させて向かい合わせで使用することはできません。
列車内で困った状況に出くわしたら、まずは「車掌」に相談してみましょう。長時間、同じ空間で過ごすことになる人とトラブルをさけて、快適に旅行をしたいですね。