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「法律なんて関係ない!」 ブラック企業が開き直ったら、労働者はどうすればいい?
企業からの理不尽な扱いに悩む女性は少なくない

「法律なんて関係ない!」 ブラック企業が開き直ったら、労働者はどうすればいい?

「奥さんが妊娠を理由に解雇されそうになった」――。そんな書き出しではじまるツイートが8月、大きな反響を呼んだ。リツイート数は9月8日時点で6100件を超え、多くのコメントが寄せられている。この投稿主の妻は、妊娠したことを理由に、勤めている会社から解雇されそうになったというのだ。

一連のツイートによると、その妻が「産前産後1年以内の解雇は無効」と定めた法律を持ち出したところ、この会社は「『法律はそうかもしれないけどうちはそうじゃない』的な回答」をしてきたという。さらに、裁判に訴えたら「あなたの職場での人間関係が気まずくなる」などと、釘を刺されたそうだ。

投稿者によると、この件は「一応の解決」をみたというが、法律を持ち出しても、開き直ってしまうような会社に対して、労働者はどう対処すればよいのだろうか。労働問題にくわしい光永享央弁護士に話を聞いた。

●「かしこい戦い方」がある

「残念ながら、この会社のように確信犯的に違法行為に踏み切るブラック企業は珍しくありません。泣き寝入りしないためには、労働者も『かしこい戦い方』を知っておく必要があります」

光永弁護士はこう注意を呼びかける。ぜひ「戦い方」を教えてもらおう。

「何といっても基本は、『証拠の確保』です。会社との間でトラブルが起きたら、ICレコーダーを常に携帯し、相手の言動をしっかり録音しましょう。メール等のやりとりも保存しておきましょう。

また、『自分から辞める意思がない』ことも、繰り返し表明し、証拠に残しておいたほうがよいでしょう」

なぜそうした証拠を残す必要があるのだろうか。

「裁判所や労基署など、第三者に相談する際に必要だからです。

『辞めるつもりがない』と表明するのは、ブラック企業がしばしば、法の規制から逃れるために、『解雇ではなく自主退職』という逃げ道を作ろうとするのを封じるためです」

●会社からの報復を心配する必要はない

「ある程度証拠がそろったら、まずはそれを持って労基署に相談し、会社を指導してもらうようお願いしましょう。

うまくいかなければ弁護士に依頼して示談交渉をし、それがまとまらなければ裁判手続・・・という風に、時間と費用がかからない順に段階的に進めていきます。裁判になっても、強力な客観的証拠があれば、有利な内容で早期に和解できることもあります」

一方で裁判を起こすと、仮に勝てたとしても、職場の人間関係に影響しないだろうか?

「たしかに、職場での人間関係が気まずくなる可能性がないとは言えません。

しかし、会社からしてみれば、裁判中も裁判後も、報復的なことをすれば、自分の首を締めるだけです。むしろ、かえって手を出しづらくなるほどです。それほど心配することはないでしょう」

光永弁護士はこのように述べていた。

たとえブラック企業が「法律なんて関係ない」と言っても、法律のほうは「ブラック企業なんて関係ない」とは言ってくれないようだ。同じようなケースで悩んでいる人がいたら、まず、証拠の確保から始めてみてはどうだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

光永 享央
光永 享央(みつなが たかひろ)弁護士 光永法律事務所
一橋大学社会学部卒。2007年弁護士登録(旧60期)。福岡県弁護士会所属。労働者側専門の弁護士として過労死事件や労働事件を数多く手がけ、新卒学生の採用「内々定」取消しの違法性を認める画期的判決も獲得している。

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